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しげよし加盟契約の実像(後) 支払い請求が「営業妨害」契約解除へ

 支払予定日が繰り返し延期される中、T氏は本部側(寿美家和久・小清水丈久代表)に対し、売上金の支払いと今後の見通しについて説明を求め続けた。
 T氏によれば、連絡が取れない状態が続いたため、電話やLINEを通じて状況を確認していたという。約束した期日までに支払われないのであれば、少なくともその理由と新たな予定を知らせてほしい――。T氏が求めていたのは、その1点だった。

 ところがその後、㈱寿美家和久(小清水丈久社長)から届いたのは、支払いに関する具体的な説明ではなく、契約解除を通知する書面だった。
 編集部が確認した通知書には、深夜の電話や関係者への連絡などを理由に、契約を解除する旨が記されていた。さらに、寿美家和久が有するとする損害賠償請求権と相殺するため、T氏に支払うべき売上金を凍結するとの内容も盛り込まれていた。

 これに対し、T氏は、支払期限が過ぎても連絡がなく、何度も約束を先延ばしにされたため確認を続けていただけだと説明する。

 「こちらは仕事をして、材料費も人件費も払っている。その売上金を支払ってほしいと言っただけ。それがなぜ営業妨害になるのか、今も納得できない。通知書には『家族への接触』とあるがその意味が分からない」

「迷惑料」と未払い金を相殺

 T氏に送付された書面では、電話や連絡によって本部側(寿美家和久)に損害が生じたとして、未払いとなっていた売上金と相殺する旨が示されていた。
 編集部が確認した範囲では、損害額の算定根拠や、どの行為によって、いくらの損害が発生したのかについて具体的な説明は記載されていない。
 また、契約解除通知書には、「当社に対して貴店より発信された一連の迷惑行為(深夜の執拗な連絡、誹謗中傷、家族への接触行為等)により、当社および関係者に対する精神的・業務的被害が発生しており、これに関する損害賠償請求の可能性を含めた法的整理を進めております」とあり、「つきましては、未払金に関して、現在のところ支払い義務の履行を一時凍結とさせていただき、損害賠償請求との相殺を前提に、今後法的窓口にて調整させていただきます」(2025年4月24日付)とある。

 また、「その後も貴殿より当社代表者ならびに当社関係先(特に、株式会社〇〇様)等に対する直接的な接触・働きかけが継続しており、当社の信用・取引関係に重大な支障を来しております。これらの行為は、すでに契約関係の解消を通知済みであるにもかかわらず、当社または関係先への不当な干渉に該当し、業務妨害・信用棄損にあたる重大な不法行為であり、到底看過できるものではありません。
 本件について、下記の当社顧問弁護士に代理人として対応を委任したため、以後一切の連絡・接触は、下記の当社顧問弁護士宛にお願いいたします。なお、代理人弁護士を立てたにもかかわらず、これを飛ばして直接交渉を繰り返した場合には不法行為責任が成立することを付言いたします」とし、東京都渋谷区在住の弁護士事務所と弁護士の氏名、メールアドレスと電話番号が記載されている。

 それでもT氏は、小清水丈久氏に対して支払いを求める連絡を続けているが、弁護士からの連絡もなく、「いまだに何も起こらない」と話している。

 編集部が確認した提携店契約書第29条には、「甲の代表取締役の記名・押印のある書面のみが法的効力を有する」と定められているが、編集部が確認した契約解除通知書および支払一時凍結通知書には、代表取締役名の記載はあるものの、押印は確認できなかった。この点について、契約書との関係をどのように考えるのかについて確認の必要があるだろう。

未払い額は80万円超

 T氏によると、現在も支払われていない売上金は約80万円超に上る。
 これとは別に、加盟時に支払った約300万円についても、IT導入補助金が採択されなかった場合の取扱いを定めた覚書に基づき、返還を求める考えである。
 T氏の覚書では、IT導入補助金が3年以上採択されなかった場合に預かり金を返還すると定められている。T氏は2023年に加盟しており、契約上の期限が到来した段階で請求する意向を示している。

 売上金約80万円と約300万円の預かり金を合わせれば、T氏が問題視している金額は約400万円に上る。もっとも、約300万円については返還条件や期限を巡って本部側の見解を確認する必要があり、現時点で支払義務が確定したものではない。

元SV、元従業員の証言とも重なる

 T氏が訴える支払遅延は、他の関係者の証言とも重なる。
 元SVのY氏は、資金繰りが厳しくなるにつれ、加盟店から支払いを求める電話や苦情が運営部に集中したと証言している。Y氏自身には支払日を決める権限がないため、加盟店や取引先に謝罪を繰り返す日々が続いた。
 編集部には、複数の元従業員からも、給与の支払いが遅れるようになり予定日が示されても履行されないことがあったとの証言が寄せられている。
 加盟店への売上金、外部取引先への支払い、従業員給与。立場は異なるものの、「約束された期日に支払われない」、「問い合わせても明確な説明が得られない」という点では共通している。

 ただし、それぞれの債権の発生原因や契約関係は異なる。編集部では、これらを一括して同じ問題と断定するのではなく、契約書、請求書、LINE、通知書などを個別に確認しながら今も取材を進めている。

加盟店をつないだ支払トラブル

 編集部は、同様の問題を抱える複数の加盟店と連絡を取り合っている。加盟店同士は当初、互いの契約内容や支払い状況をほとんど知らなかった。しかし、支払遅延や返金問題が表面化した後、個別に連絡を取り、契約書や本部側とのやり取りを照合するようになった。そして今回の取材で確認されたのは、単に加盟店ごとの契約書に違いがあったということだけではない。

 IT導入補助金を前提とした加盟契約が交わされ、その返還条件は加盟店によって異なっていた。加盟後には売上金の支払いが遅れ、説明を求めた加盟店に契約解除通知が届いた。さらに、その申請を支援した寿美家和久は、後にIT導入支援事業者としての登録を取り消されている。
 これらの出来事が、どこまで相互に関係していたのかは、現時点では断定できない。ただ、加盟店の個別トラブルとして片付けるには、共通する証言や資料がかなりの量に上る。

 契約条件はどのような基準で決められていたのか。IT導入補助金は加盟勧誘の中でどのように説明されていたのか。なぜ売上金の支払いが繰り返し遅れたのか。支払いを求めた加盟店に対する契約解除と相殺は、どのような判断に基づくものだったのか。
 編集部は、IT導入補助金事務局からの回答を待つとともに、寿美家和久、ノコト及び関係者に対し、改めて見解を求める予定だ。
 IT導入補助金については昨日、補助金事業を運営する(一社)サービスデザイン推進協議会の広報より、準備が出来次第回答する旨のメールが編集部に届いている。

 T氏は取材の最後に、こう話した。
 「約束どおりにやってくれていれば、今も続けていたと思う。この仕事そのものは、必要とされている仕事だから・・・」そして振り絞るように言った。
「彼(小清水氏)には被害者と向き合い、罪ほろぼしをしてほしい」

 加盟店が信じた事業の可能性と、それを支えるはずだった契約や支払いの仕組み。その間に何が起きていたのか。検証はまだ終わっていない。

(了)
【田代 宏】

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