しげよし運営実態を現地確認(前) 小清水氏が取材対応、FC崩壊と資金難の認識語る
仕出し宅配サービス「しげよし」を巡る返金トラブルや賃金未払い問題が拡大する中、ウェルネスデイリーニュース編集部は5日、三重県津市の「しげよし津店」および関連拠点「アルクス」を現地取材した。現場では、寿美家和久の小清水丈久社長本人と対面。同氏は後日のオンライン取材に応じる意向を示した上で、FC加盟店との関係悪化やコールセンター拡大による資金負担、返金問題の発生経緯などについて、自身の認識を語った。
現地訪問で小清水氏と対面
津店では、㈱寿美家和久(三重県津市八町2-2-6)の代表取締役・小清水丈久氏本人と対面。短時間ながら直接話を聞くことができた。小清水氏は、後日のオンライン取材に応じる意向を示し、メールアドレスを開示した。
今回の訪問は事前通告を伴わない現地確認。現場でどのような運営が行われているのか、現在の状況を確認することが目的だった。

津店は近鉄「津新町駅」から徒歩圏に位置する。店舗向かいのビルには㈱ALXUS(アルクス、三重県津市新町2-10-27)が入居しており、元従業員や加盟店関係者によれば、過去にコールセンター機能を担っていたとの証言を得ている。3月17日取得の登記簿によれば、代表取締役は佐伯有香氏とされている。
記者が津店を訪れ、「責任者の方はいらっしゃいますか」と声を掛けたところ、最初に応対した男性は「今日は責任者はいない」と説明。名前を聞いたところ、「小清水と申します」と名乗った。記者が名刺を差し出し、「小清水さんにお会いしたかった」と伝えると、本人は「ノコトのバイトになっちゃってるんですけど」と応じた。
記者が短時間でも話を聞きたい旨を伝えると、小清水氏は「きょうは5日(祭日)なのでめちゃくちゃ忙しい」と述べ、その場での長時間取材は困難であると説明。もっとも、「オンラインだったら」と後日の取材には応じる姿勢を示し、自らメールアドレスを書き残した。
立ち話の中で、小清水氏は現在の状況について、自身の認識を語った。
編集部が「会社はまだ登記ありますよね」と尋ねると、小清水氏は「潰せるだけのお金がないんですよ」と返答。「大変でしたから」と続けた。
「料亭再建」から始まった事業拡大
その後、小清水氏は仕出し割烹「しげよし」事業立ち上げの経緯について話し始めた。
同氏によれば、自身は料亭の婿養子で、「嫁さんとこの料亭を再建する」という目的で、事業を始めたという。全国の料亭が経営難に直面する中、「仕出しだったら注文を取れる」と考え、加盟店舗へ注文を振り分ける仕組みを構築したと説明した。
「そこからどんどん大きくなって、いろんなお店が入ってきた。料亭だけじゃなくて、居酒屋みたいなところとか」
当初は料亭中心だった加盟店構成も、居酒屋などさまざまな飲食店もFCとして参加し、事業拡大とともに加盟店舗が急増したという。
コロナ後に深まった加盟店との亀裂
さらに、小清水氏はコロナ禍とコロナ明けの状況変化が事業崩壊の転機になったと語った。
コロナ禍では飲食店への客足が減り、売上に貢献する仕出し注文が感謝されていたが、コロナ明けに客が戻ると東京・大阪のFC加盟店などの一部で「ドタキャン」や注文拒否が相次ぐようになったという。
また、同氏は、「(FCは)しげよしという名前で注文を取っているので、店からするとキャンセルしても自分の店に痛みがない」とし、こうした状況への対応として、本部側ではコールセンター機能を拡大していったという。そして、「どんどんコールセンターの規模が大きくなって、お金がかかった」と振り返った。
その上で、同氏は、「FCさんがお金を払えなくなった。本部の方もお金が回らなくなり、その間に二重払い問題が出た」と、自身の認識を語った。
当時、一部加盟店について「お客さんからお金を貰い、本部からも振り込まれていた状態があった」と小清水氏は説明した。
また同氏は、一部加盟店について「お客さんからも、本部からも代金を受け取っていた」と主張し、これらへの返金対応によって「本部側の資金が枯渇した」と述べた。
さらに、こうした過程の中で、本部と加盟店双方の資金繰りが悪化していったとの認識を示した。同氏によれば、こうした状況が続く中で、読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」で問題が報じられることとなったという。
ノコト承継と“川村”説明の食い違い
小清水氏は現在のノコトとの関係についても説明した。
同氏によれば、「ノコト」はもともと三重県内で葬儀関連事業を担っていたフランチャイズ加盟事業者であり、以前から関係の深い加盟店だったという。事業継続が困難となる中で、料亭関係者や従業員を含めた事業全体を引き受けてもらうかたちになった。自身が責任を負う前提で承継を依頼したと述べている。
また、記者がこれまでの電話取材で「川村」と名乗る人物と複数回やり取りしていた点について確認したところ、小清水氏は自身の関与を否定し、「(私と話すのは)初めてだと思う」と述べた。その一方で、店には「川村」姓の料理人が在籍していると説明した。小清水氏は彼を「アニキ」という通称で呼んでいるのだという。
また、小清水氏は、向かいの建物にある「アルクス」について、過去にコールセンターとして機能していた旨を説明した。ただ、現在の稼働状況については明確な説明はなく、実際の運営実態は確認できなかった。
取材時には、ノコトの中野社長は配達対応中で不在であるとの説明もあった。
編集部では、今後オンライン取材などを通じ、これらの説明内容についても引き続き確認を進める方針である。
(つづく)
【田代 宏】
(冒頭の写真:しげよし津店、文中の写真:近鉄「津新町駅」)
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