しげよし、返金トラブルで注意喚起 無回答続く中で消費者被害顕在化、運営体制に疑義
㈱ノコト(三重県四日市市、中野正宏社長)が展開する仕出し宅配サービス「しげよし」を巡り、消費者への返金トラブルについて特定適格消費者団体の(特非)消費者支援機構関西(KC’s/ケーシーズ)が注意喚起を公表した。
従業員への給与未払いなど内部問題が指摘される中、消費者被害も顕在化しており、ノコトの対応姿勢と事業運営の構造が大きく問われている。
消費者団体が指摘する返金・二重払い問題
ケーシーズは4月28日、同社について「株式会社ノコトが展開する「仕出し割烹『しげよし』」に係る、商品代金未返金等のトラブルについて」とする注意喚起を公表した。
発表によれば、「事業者都合で注文がキャンセルされたにもかかわらず返金されない」、「クレジットカード決済後に現金での支払いを求められ、二重払いとなった」などの苦情が複数寄せられているという。
ケーシーズは2月26日付でノコトに対し、苦情件数や返金対応の進捗などについて照会を行ったが、期限を過ぎても回答はなく、回答遅延の連絡もなかったとしている。回答期限の3月27日の後に督促したものの「やはり回答はなかった」としている。
その後も同様の苦情が継続していることから、消費者に対する注意喚起の公表に踏み切った。
ケーシーズに寄せられている相談件数については、具体的な数字は明らかにしなかった。相談は同団体に直接寄せられるものと、他団体から共有されるものがあり、内部の検討資料として扱っているため、外部公表を前提とした数値ではないという。ただし、相談が単数ではなく「複数に上る」ことは認めた。
主なトラブル内容について聞いたところ、事業者都合によるキャンセル後にクレジットカード決済分が返金されないケース。また、クレジットカードで事前決済しているにもかかわらず、配達時に現金払いを求められ、カード決済分は後日返金すると説明されたものの返金されないという二重払いの相談もあるという。
商品到着時に現金払いを求められた場合、消費者側としては支払わざるを得ない状況があるとし、問題の核心は、すでに支払ったクレジットカード決済分が返金されない点にあると説明した。
今後の対応については、現時点でノコトから回答がないため、訴訟など具体的な法的措置について言及できる段階ではないとした。まずは注意喚起を通じて消費者からの情報提供を受け、被害実態の把握を進める方針のようだ。
無回答の継続と現場に見える組織の混乱
こうした「無回答」の姿勢は、ウェルネスデイリーニュース編集部の取材でも確認されている。
編集部は4月7日付で同社に質問書を送付し、返金対応や支払い状況、関連会社との関係などについて照会したが、同24日の期限が過ぎても回答は得られていない。さらに、その後の電話確認においても、明確な説明は行われなかった。
内部においても、同様の問題が指摘されている。既報のとおり、複数の元従業員への取材によれば、同社の運営に関わる現場では給与未払いや支払い遅延が発生しており、従業員が業務に必要な費用を立て替える状況も常態化していたとされる。さらに、衛生管理の停滞や業務内容の変質など、事業運営の基盤そのものに関わる問題も複数確認している。
編集部が過去5回にわたり津店(三重県津市)に電話取材を行ったところ、同店は数少ない直営店舗の1つで、現在、従業員数が3人程度という。
今年の春ごろに別の部門から移動してきたという女性の従業員は自らを「一般従業員」と説明したが、同時にノコトの前身とされる「寿美家和久」時代から在籍していることを認めた。
アルバイトを自称する男性は「寿美家和久については知らない」と説明しているものの、自ら2024年12月頃から働いているとも説明しており、当時はまだ従業員がノコトに転籍(25年8月)する前と考えられるため、その説明には整合性を欠く点がみられる。これまでの証言によれば、転籍同意書は全店舗同じ日付だという。
また、この女性従業員は、寿美家和久の小清水社長が津店にたまに顔を見せることがあると説明する一方で、アルバイト男性従業員は「全く顔を見たこともない」と述べており、ここにも矛盾点が生じている。
アルバイト男性によれば、「ノコトの中野社長は月に1~2回、視察に来る。寿美家和久はノコトに売却された。我々は業務畑でやっているので小清水・中野両氏の関係については分からない」などと述べている。
きのう4月30日、改めて編集部が津店に電話取材を行ったところ、前出の女性従業員は自らを製造部門の担当と説明。給与の支払い状況については、未払はないと応じた。給与の支払い状況について、アルバイトの男性従業員は過去の電話で1カ月超の遅延が今も続いていると話しており、従業員間で差がある可能性が示唆されている。
実は、この当該アルバイト男性については、その立場や関与に関して、複数の情報提供が寄せられている。30日の電話では、それを示唆するかのような女性従業員の対応が垣間見られた。
電話口に出た女性従業員に対して、記者がアルバイト男性の名前を挙げて在席の有無を確認したところ、「今は居ない。休みかどうか分からない」と応答した。そこで不在の理由を尋ねたところ「上層部の予定が分からない」と言うのである。
「彼はアルバイトでしょう?」と問いを重ねたところ、間をおいて、少し慌てたように「そうそう、そうです。彼はそうですね」と女性従業員。記者が「今おっしゃっていたのは小清水さんのことですか」と尋ねると、「そうです。そうです」と、こちらが尋ねもしない小清水社長について、彼女が記者に答えていたというわけである。このやり取りからは、当該人物の位置付けについて、説明に混乱がある状況がうかがわれた。
取材の終盤では、消費者団体による未払い・キャンセル問題に関する注意喚起について質問したところ、女性従業員は「そうなんですか」と述べるにとどまり、具体的な事情は把握していない様子だった。一連の取材では、全体として、現場従業員が経営層の動向や組織の詳細を十分に把握していない状況がうかがえ、運営体制の不透明さが改めて浮き彫りとなった。
こうした内外の問題が同時に生じている点は、個別のトラブルにとどまらず、事業運営上の構造に起因する可能性も否定できない。
【田代 宏】
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