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しげよし運営実態を現地確認(後) アルクス訪問で浮上 不透明な組織運営の実態

 ウェルネスデイリーニュース編集部は、「しげよし津店」の取材後、道路向かいに所在する関連拠点「ALXUS(アルクス)」を訪問した。現場では、寿美家和久時代から勤務を続ける女性従業員が応対し、現在もメール対応などの業務が継続していることを認めた。一方で、自らの所属法人や組織変更について十分把握していない様子もみられ、給与支払いの不安定さも示唆された。現地取材では、これまで加盟店や元従業員から寄せられていた証言と重なる実態が複数確認された。

アルクスで続いていた“現在進行形”の業務

 ALXUS(アルクス)については、これまでの取材の中で、元従業員や加盟店関係者から「しげよし」のコールセンター機能を担っていたとの証言が複数寄せられている。小清水氏自身も現地で、アルクスについて「以前はコールセンターとして使っていた」と説明していた。他方、現在の稼働状況について、「現状は居たり居なかったりだと思う」と曖昧な答えだった。
 記者がアルクス事務所の呼び鈴を押しても反応がなかった。ドアをノックし「ごめんください」と2度声を掛けると、ようやく女性がドアを開いた。

 記者が、「こちらはもう閉まっていると聞いた」と伝えると、女性は「コールセンターはしてません」と返答。その上で、「メール対応などをさせてもらっている」と述べ、現在も何らかの業務が継続していることを認めた。

 記者が「佐伯様ですか」と尋ねたところ、彼女は否定。
「私は組織図があまり分かっていない」と述べる一方、「佐伯は分かるのですが」と話し、名前自体は認識している様子だった。
 3月17日に取得した㈱ALXUSの登記簿によれば、代表取締役は佐伯有香氏となっている。

 さらに雇用形態について確認すると、彼女はアルバイトやパートではなく、「普通に働かせてもらっている」と説明。記者が「正社員の方ですか」と確認すると、これを否定しなかった。
 勤続年数については「もう5、6年」と回答。編集部が「寿美家和久の頃からですか」と確認すると、彼女は「そうです」と答えた。
 つまり、彼女は、「寿美家和久」時代から現在に至るまで、法人や事業体の変遷をまたぎながら勤務を続けていることになる。

“自分の会社が分からない”現場の混乱

 一方で、所属会社については曖昧な説明が続いた。
 記者が「今はノコトさんの社員なんですか? アルクスさんの社員ですか?」と尋ねると、女性従業員は「ノコトさんだったと思うんですけど」と返答。その上で、「変わってるの聞いてなくて」と述べ、会社名や組織変更について十分把握していない様子を見せた。

 このやり取りからは、現場従業員自身が、自らの所属法人や組織構造を十分認識できていない状況がうかがえる。
 記者が「今大変なのをご存知でいらっしゃいますよね」と尋ねると、彼女は「そうですね」と答えたものの、「詳しくは聞いてない。どうなっているのかわからない」と説明した。

給与遅延示唆と小清水氏の説明

 さらに、給与の支払い状況について確認すると、「もらったりもらってなかったり、いろいろ」と回答。
 記者が「遅延もあるっていうことですか」と確認すると、彼女は笑いながら「いろいろ・・・」と、これを否定しなかった。詳細な未払い額や頻度については語られなかったものの、給与支払いが不安定な状況にあることが示唆された。

 また、編集部が訪問した当日、アルクス側は通常2人体制で業務を行っているものの、もう1人が休みだった。こうした現場の状況は、津店で小清水氏が語った「資金が回らなくなった」という説明とも一定程度符合している。

 小清水氏は取材に対し、元従業員への未払い賃金問題について、「分割払いでやってます」と説明。「口座も全部見られてる」、「本当に何もない」と述べ、労働基準監督署の調査が入っていることも認めていた。会社を法的整理できない理由については、「潰せるだけのお金がない」と説明している。 記者はこれまで、加盟店や元従業員、関係者への取材を継続してきた。

現地確認で見えた組織実態の不透明さ

 そこでは、「加盟店への支払い遅延」、「従業員への賃金未払い」、「電話応対を巡る人物説明の不一致」、「法人間関係の不透明さ」、「ファクタリング会社との交渉問題」など、複数の問題が指摘されている。
 今回の現地訪問では、これまでの証言と重なる状況が複数確認された。とりわけ特徴的だったのは、「現場従業員自身が、会社の実態を十分把握していない」という点である。

 女性従業員は、自らの所属法人について「ノコトさんだったと思う」と述べる一方、「(会社が)変わっているのを聞いてなくて」と説明した。また、小清水氏自身も現在の立場について、「ノコトのバイトになっちゃってるんですけど」と話している。

 さらに、「川村」とされる人物についても、小清水氏は自身の関与を否定しつつ、料理人はいるが、今は忙しくて手を離せないと説明しているため、記者がこれまで確認してきた通話内容との整合性については、なお検証を要する状況が続いている。

 今回の訪問で記者は、既報の「しげよし、返金トラブルで注意喚起」で紹介した「今年の春ごろに別の部門から移動してきたという女性従業員とみられる人物」も見かけた。これから配達に行く準備をしており、弁当を車に積み込むところだったが、声を掛けると挨拶を返してきた。これまでの電話取材では、「給料の遅延はない」との説明も受けていた。

 編集部は今回の現地訪問を通じ、「営業自体は現在も継続していること」、「小清水氏本人が現場にいること」、「未払い問題の存在を本人が認めていること」、「給与支払いが不安定な従業員が存在すること」、「組織構造や責任関係が不透明な状態にあること」を確認した。

過去を知る関係者から指摘も

 実は、前編記事公開後、過去の運営実態を知る関係者から、編集部に対し補足説明が寄せられた。それによれば、コロナ禍やコロナ明けにおいても、本部側は現場に対し「キャンセルさせるな」、「断るな」との方針を示していたとされる。現場側では、受注能力を超える注文が入り、「対応し切れない」との声も上がっていたという。
 また、加盟店舗についても、料亭や仕出し店だけでなく、焼き鳥店や鉄板焼店など多様な業態へ拡大していたと説明。その上で、「料理人にはそれぞれの味ややり方へのこだわりがあり、全国共通ブランドとしてFC化していくこと自体に無理があったのではないか」との指摘もある。

 さらに同関係者は、経営悪化の要因について、「コールセンター拡大そのものというより、広告宣伝費の増大と、受注・キャンセル構造の問題が大きかった」と指摘。「加盟店が受けられない注文まで広告で集客し続けた結果、キャンセルが増え、広告費だけが膨らんでいった」と説明している。
 これらの説明は、小清水氏が現地取材で語った内容と異なる部分も含まれており、編集部では今後、オンライン取材等を通じて事実関係の確認を進める方針だ。

 小清水氏は、後日のオンライン取材に応じる意向を示している。編集部では、今回得られた事実関係に加え、加盟店や元従業員から寄せられている証言との整合性を引き続き検証するとともに、オンライン取材を通じ、事業譲渡の経緯や未払い問題の詳細、加盟店との資金関係、「川村」とされる人物の位置付けなどについて、さらに確認を進める方針だ。

(了)
【田代 宏】

(冒頭の画像:ALXUS(アルクス)が入居するビル)

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