カルビー2色包装、月末流通へ 中東情勢受け“外見削り供給維持”へ
カルビー㈱(東京都千代田区、江原信社長)が中東情勢の緊迫化に伴う一部商品のパッケージ仕様見直しを発表したことを受け、ウェルネスデイリーニュース編集部きょう13日朝、対象商品の一部を東京都内のコンビニエンスストアで購入した。
購入したのは「ポテトチップス うすしお味」、「ポテトチップス のりしお」、「ポテトチップス コンソメWパンチ」の3商品で、いずれも現行のフルカラーパッケージ仕様で販売されていた。

カルビーは12日、中東情勢の緊迫化に伴う一部原材料の調達不安定化を理由に、商品の安定供給を最優先する観点から、パッケージに使用する印刷インクの色数を従来仕様から2色へ変更すると発表している。対象は「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」、「フルグラ」など計14品で、5月25日以降、順次切り替えるとしている。
編集部が商品を購入した複数のコンビニエンスストアの店員も、5月末から6月にかけてパッケージが変更されるとの認識を示していた。
関係者によれば、切り替え後のパッケージは従来より大幅に色数を抑えた仕様となる見通しで、消費者の間では「喪服のようなデザインになるのではないか」との声も上がっている。一方で、「限定仕様としてプレミアが付くのではないか」、「逆にレア感がある」といった受け止めもあるという。
こうした状況について政府は、印刷インク原料の供給について現時点で深刻な不足は生じていないとの認識を示している。
佐藤内閣官房副長官は昨日午前中の記者会見で、「インクの材料としての合成樹脂や溶剤等の生産については、輸出量の削減や川中在庫の活用を通じて国内出荷量としては平時と同様に国内需要量に応じた必要量を供給することができていると承知している」と説明。その上で、「したがって印刷用インクあるいはナフサについて現時点では直ちに供給上の問題が生じるとの報告は受けておらず、日本全体として必要な量は確保されていると認識している」と述べた。
政府は同日、カルビー側から状況のヒアリングを行ったようである。
【解 説】
編集部としては、今回の事態に、ある種の歴史的符合を感じざるを得ない。
カルビーは広島で創業し、被爆によって事業基盤を失いながら再出発した企業である。コーポレートサイトでも、「1945年、広島に原爆が落とされ、日本が終戦を迎え、会社はゼロからのスタートを余儀なくされました」と、自社の原点を明記している。
今回の「2色パッケージ」問題は、もちろん戦災や被爆と同列に論じられるものではない。しかし、中東情勢の緊迫化という地政学リスクが、日本の消費財の包装資材にまで影響を及ぼし始めたという事実は、平時の供給網がいかに国際情勢に依存しているかを改めて浮き彫りにしている。
しかも今回は、食品そのものではなく、「印刷インクの色数」を減らすことで供給を維持しようとしている点が象徴的だ。企業側が、「中身を守るために外見を削る」という判断を行ったとも言える。
政府は、現時点では印刷インクやナフサについて「日本全体として必要な量は確保されている」と説明しており、カルビー側へのヒアリングも進めるとしている。つまり、現段階では「危機」そのものというより、「危機への備えとしての企業行動」が表面化した局面と見るべきなのかもしれない。
それでも、広島で被爆から立ち上がった企業が、80年後に再び地政学リスクを背景に「色を減らす」という対応を迫られている構図には、時代の緊張感がにじむ。将来、日本が再び、「ゼロからのスタート」を強いられるような事態にならないことを願うばかりである。
【田代 宏】

