元SV証言、しげよしの舞台裏(後) 資金難、精神的苦痛、そして加盟店との連帯へ
前編では、元スーパーバイザー(SV)のY氏が、加盟店への契約説明や「手数料5%」を巡る実態、本部と加盟店との板挟みになった日々について証言した。
Y氏はその後、提携店運営部だけでなく、直営店運営やコールセンター業務などにも携わった。取材では、会社の変化をどのように感じたのか、そして現在、加盟店に対してどのような思いを抱いているのかについても語った。
「少し危ないのではないか」と感じ始めた
Y氏は入社当時について、「毎月10店舗近いペースで加盟店が増え、とても勢いがあった」と振り返る。
名古屋を拠点にSVとして勤務し、富山、長野、福井などを担当。その後、東京へ異動し、関東以北の加盟店支援などに携わった。
しかし、入社から約1年が過ぎた頃から、「少し危ないのではないか」と感じ始めたという。
Y氏によると、当初からロイヤリティの支払いに苦慮する加盟店は存在していたが、会社の資金繰りが厳しくなるにつれ、加盟店の負担も次第に大きくなっていったとの認識を示した。
「そこから会社の状況は変化していった」
Y氏は、当時をそう振り返った。
現場が対応に追われる日々
会社の状況が変化する中で、Y氏ら運営部門の業務も増えていった。
加盟店から寄せられる契約や手数料に関する問い合わせに加え、さまざまな苦情や相談への対応を担うことも多くなった。
しかし、自らに経営判断や支払いを決定する権限はなく、本部の立場として説明や謝罪を繰り返すしかなかったという。
Y氏は、「加盟店にも申し訳ないという思いがあった。しかし、自分にできることには限界があった」と振り返る。そうした状況が続く中で、精神的な負担は次第に大きくなっていった。
元従業員にも残る精神的影響
前編で述べたとおり、Y氏自身だけでなく、元従業員にも精神的な影響が残っていると話す。退職後、新しい職場へ就いたものの、体調を崩して退職を余儀なくされた人や、精神的な理由から1カ月も仕事が続かなかった人もいたという。
自身についても現在も通院を続けており、「いい時と悪い時がある」と体調に波があると話す。
実際、編集部はこれまで数カ月にわたりY氏から継続的に情報提供を受けてきたが、体調不良を理由に取材が延期となることもあった。
精神科医からは「忘れる日を作らないと体は良くならない」と助言されているというが、「(しげよし問題に)何らかの結論が出ない限りむずかしい」と苦しい胸の内を語った。
こうした状況が続く中、Y氏は会社を退職した。給与の未払いも生じていた。会社を離れた後も問題を忘れることはできず、現在も精神科への通院を続けている。
加盟店と向き合いたい
取材の最後、Y氏は加盟店への思いについて語った。加盟店の中には今、被害者が結束して声を上げようとする動きがある。
SV時代は会社の立場として加盟店へ説明を続けてきたことから、「一緒に活動したとしても、加盟店から怒られるのではないかという思いはある」と複雑な胸の内を明かす一方、「一緒に戦っていけるなら戦っていきたい」とも語り、立場の違いを超えて加盟店と協力していきたい考えを示した。
編集部がこれまで取材した加盟店関係者からも、「元従業員も被害者」との声が聞かれている。また、「前向きにみんなで協力したい」と話す関係者もおり、立場の違いを超えて連携を模索する動きも見られる。
加盟店、元従業員、取引先――。
それぞれ立場は異なるものの、取材を重ねるにつれ、会社の混乱の中で苦悩を抱えてきた人々の姿が少しずつ浮かび上がってきた。
Y氏は、「当時はそれが正しいと思っていた。しかし今振り返ると違っていた」と繰り返した。
その言葉には、会社の一員として加盟店に向き合ってきた当時の葛藤と、現在もなお続く苦悩、そして立場を超えて歩み寄ろうとする思いがにじんでいた。
記者が最後に「一連の問題で最も大きかったことは何だったと思うか」と尋ねると、Y氏は「小清水氏による会社の私物化です」と静かに答えた。
(了)
【田代 宏】
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