サプリ規制の方向性定まる 【厚労省食品衛生監視部会】とりまとめ案を了承、GMPと健康被害報告を義務化へ
小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題を受け、厚生労働省と消費者庁が連携して検討を進めていた、サプリメントに対する今後の規制の方向性が定まった。
原材料GMPと営業許可業種化は見送り
すでに一部で義務化されているGMP(適正製造規範)による製造・品質管理のほか、健康被害情報の自治体への報告義務を、食品衛生法上で新たに定義付けるサプリメント全体に適用する。ただし、グミ・チョコ・ゼリーなど、錠剤・カプセル剤・粉末剤・液剤等の形状ではないサプリメントに関しては、「当面の間」、GMP遵守義務の対象から除外し、自主的な取り組みを促す。
また、同法に基づき、サプリメントの製造・加工施設を各自治体が把握できるようにする仕組みを新たに導入する。事前規制となる営業許可の対象業種にサプリメントの製造・加工を加えることは、今回は見送る。

こうした規制を導入し、「健康食品」と呼ばれる加工食品のうち、過剰摂取リスクのあるサプリメントの安全性を高め、健康被害の発生や拡大を未然に防止したい考えだ。
ただ、サプリメントの法令上の定義案には目的規定を取り入れ、通常の食事による「栄養摂取」または「生理機能の調節」を補助することが目的とされる食品だとして、通常の食品とは異なるサプリメントの意義を一定程度示す。
他方で、同健康被害問題の製品品質上の要因となった原材料の品質確保を巡っては、「規制の実効性」を踏まえ、原材料を製造したり、輸入したりする事業者へのGMP義務付けは見送る。引き続き、HACCPに沿った衛生管理の徹底や自主的な安全性の確認などを求める。
機能性表示食品や特定保健用食品は、すでに健康被害の報告が義務付けられている。また、それぞれ天然抽出物等を原材料とする錠剤やカプセル剤などの加工食品の製造・品質管理に関しては、GMP基準の遵守が食品表示法等に基づき義務化されている。これらも、健康被害問題を受けて導入された規制だ。
厚生労働省の厚生科学審議会食品衛生監視部会は22日に会合を開き、同省の食品監視安全課がこれまでの審議を踏まえて作成した、サプリメント規制の在り方を含む、「平成30年食品衛生法改正の施行後5年を目途とした検討のとりまとめ」の案を審議、おおむね了承した。一部修文の上で、正式なとりまとめとして公表する。
食品衛生法を所管する厚生労働省と消費者庁は、同部会のとりまとめを受け、定まったサプリメント規制の方向性を具現化し、法令等に落とし込む作業を進める。
改正法令の公布・施行の時期は未定だが、とりまとめ案の結びでは、サプリメントの製造・加工施設に対するGMP遵守義務付けの対応などについて、営業者をはじめ、監視・指導を担う自治体が対応できるようにするため「十分な周知期間を設ける」よう求めている。一定の経過措置期間が設けられそうだ。
また、とりまとめを受け、消費者庁の食品表示担当課が、法令で規定されるサプリメントの容器・包装等の表示規制に関する検討を本格化させる。
この日の部会では委員から、「表示の在り方は消費者によるサプリメントの適切な利用の促進や健康被害防止の観点からも重要な論点だ」(近藤麻子委員=日本生活協同組合連合会執行役員組織推進本部長)とする意見が挙がった。表示の在り方も合わせたサプリメント規制の全体像が明瞭になるのは、来年以降になりそうだ。
とりまとめ案には、HACCPに沿った衛生管理の徹底を図るための対応策も盛り込まれた。「再三の指導にもかかわらず、衛生管理計画の作成に取り組まない営業者等に対しては、行政処分等を含め対応を徹底するよう、地方自治体に周知を行う」などとして、強い対応方針も示された。
サプリ規制、委員が指摘「本質的な対策に課題」
サプリメントの規制の在り方を巡る検討は、厚生労働省の食品衛生監視部会と、消費者庁の食品衛生基準審議会新開発食品調査部会が昨秋から進めていた。
検討事項のうち、これまでなかったサプリメントの法令上の定義と、製造管理の在り方(GMP)に関する審議は新開発食品調査部会が所掌。先月19日、中間とりまとめを公表していた。これを受け、食品衛生監視部会が今月1日、事業者による健康被害情報の報告と営業の許可・届出(製造・加工施設の把握)に関して審議し、22日のとりまとめ案の審議を迎えた。
この日の食品衛生監視部会の審議では、とりまとめ案に対して多くの委員が意見を述べた。大きな修正を迫る意見はなかったものの、サプリメント規制の在り方を巡っては一部の委員が厳しく指摘した。
(公社)日本輸入食品安全推進協会の理事を務める森信二委員は、原材料の製造に対するGMP義務化を見送ったり、グミ等の形状のサプリメントのGMP遵守が当面の間、事業者の自主的な取り組みとされたりする方向性に対し、「小林製薬の紅麹問題に対する再発防止の本質的な対策や実効性に課題が残る」と発言した。
そのうえで、厚生労働省に対し、GMPの義務化対象範囲外や当面は自主的な取り組みとなる事業者向けの「手引書」を、業界団体と連携して作成することを要望。「サプリメント製造事業者に対してより効果的にリスクの低減を図るべく指導するための手引書の作成をお願いしたい」とした。
【石川太郎】
(冒頭の写真:7月22日午前に開催された厚労省食品衛生監視部会の様子/文中画像:第13回厚生科学審議会食品衛生監視部会配付資料から)
関連資料:第13回厚生科学審議会食品衛生監視部会配付資料はこちら
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