いわゆるサプリから「サプリ」へ 【特集:サプリの定義】定義の先にある規制、そして問われる表示のあり方
日本でもようやくサプリメントが法的に定義付けられることになった。法令上の名称がどうなるか現時点では不明だが、いよいよ「いわゆる」が取れる日がやってくる。日本の健康食品業界の歴史における大きな画期。しかし、その目的は規制だ。サプリの規制を望む人、望まぬ人、望むか否かは問わず正面から受け入れようとする人──受け止めはさまざまだろうが、誰もが1つの定義と向き合うことになる。
規制のために定義を検討
なぜ、いまになってサプリメントの法的定義が検討されることになったのか。背景には、死亡事例も報告された小林製薬「紅麹サプリ」健康被害問題(2024年~)がある。
機能性表示食品のサプリメント形状(錠剤)で発生したこの問題は、機能性表示食品制度(一部、特定保健用食品制度も)の規制強化に発展。健康被害疑い情報の行政への報告義務化、錠剤やカプセル剤などサプリメント形状のGMP(適正製造規範)に基づく製造・品質管理の義務化といった措置が行われた。
ほかにも、届出内容及び届出後遵守事項の自己点検報告義務(実質的な届出更新制)等の新ルールが新たに導入。こうした規制の法的根拠は、食品表示法の規定に基づく食品表示基準(内閣府令)に置かれた。
そこで話が終わっていれば、サプリの法的定義が検討されることはなかったに違いない。小林製薬の紅麹サプリ事案の対応に当たった、内閣官房長官を筆頭とする関係閣僚会合は、「さらなる検討課題」を掲げていた。その1つが以下だ。
「食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制の在り方、許可業種や営業許可施設の基準の在り方などについて、必要に応じて検討を進める ※平成30年の改正食品衛生法において施行後5年(令和7年6月)を目途とした検討規定が設けられている」(2024年5月31日、「紅麹関連製品に係る事案を受けた 機能性表示食品制度等に関する今後の対応」から)。
サプリに関する「規制のあり方」。その検討を求められたのは、食品衛生行政を所管する厚生労働省と消費者庁だった。2024年4月以降、同行政のうち前者は監視・指導、後者は規格基準をそれぞれ所管している。関係閣僚会合が対応方針を示した後、両省庁の事務方が水面下で協議を進めていた。
そして2025年の後半、検討が公の場に移される。同年10月23日、厚労省の諮問機関である厚生科学審議会の食品衛生監視部会で、サプリの規制のあり方検討がキックオフされた。同部会の事務局を務めるのは、同省の食品監視安全課。同課の課長は現在、紅麹サプリ事案を受けた機能性表示食品制度の改正に携わった、前消費者庁食品表示課保健表示室長の今川正紀氏が務めている。
サプリの規制のあり方検討が単独で行われているわけではない。2018年改正、20年施行の食品衛生法に新規導入された、HACCPに沿った衛生管理をはじめ、指定成分等含有食品制度などの必要に応じた見直し検討とセットで検討されている。その中で、同課が提示したサプリ規制に関する検討事項は大きく4つ。その筆頭が「定義」である。
繰り返しとなるが、検討されているのはサプリの「規制のあり方」だ。紅麹サプリ事案を受けて、実効性ある規制をサプリ全体にかけていくための方策が検討されている。
定義に続く検討事項とされた「製造管理のあり方」、「事業者による健康被害情報の報告」、「営業の許可・届出」といった規制の方向性と内容を定め、行政として措置していくためには、そもそも食品におけるサプリの範囲を規定しなければならない。健康食品はもとよりサプリの法律上の定義が日本にはないからだ。
このため、サプリの法的な定義を決める必要がいよいよ生じた。そしてその法的定義は、食品衛生法の体系の中に位置付けられようとしている。さらにそれは、機能性表示食品のサプリから、それ以外のいわゆる健康食品におけるサプリまで、横串が刺されるものになる。
今回の規制のあり方検討が及ぼす今後の事業への影響を考えるとき、以上の文脈を押さえておく必要がある。法令上の定義がないため「いわゆる」を付けざるを得ないサプリからそれを取り払い、法的な、あるいは社会的な地位を明確とするために定義が決められようとしているわけではないのだ。そうであれば良かったが…
(続きをお読みいただけるのはWNG会員のみです。残り約5,600文字。会員申込はこちら。全文の閲覧は「会員ページ」の「月刊誌閲覧」内「Wellness Monthly Report」2026年6月号(第96号)特集「サプリの定義、どう考える?」から)
【石川太郎】
「サプリ規制」テーマに会員限定セミナー 7月17日午後3時からオンラインで開催
㈱ウェルネスニュースグループ(WNG、東京都港区)は、厚生労働省らが間もなくとりまとめを行う見通しの「サプリメントの規制の在り方」をテーマにしたWNG会員限定オンラインセミナーを、7月17日午後3時からライブ配信形式で開催する。
定義、製造管理(GMP)、健康被害情報の報告、製造施設の把握──厚生労働省と消費者庁にそれぞれ置かれた審議会部会が昨秋から審議してきた検討事項はどうとりまとめられるのか、それは業界にどのような影響を及ぼすのか。現在までに分かっていることと今後起こりそうなことをWNG記者が取材を踏まえて解説する。
解説を担当するのは、WNG石川太郎記者。聞き役としてWNG田代宏記者が加わり、規制の在り方に対する疑問や懸念などについて、参加者も交えながらの意見交換などディスカッションを行う予定だ。
WNG会員企業であれば何人でも参加できる。参加費は無料。申込はこちら。
<開催概要>
日時:2026年7月17日(金)午後3時~5時
開催方式:Zoomミーティングによるオンライン(参加者名の変更等は参加者様サイドでお願いいたします)
参加対象:WNG会員限定
参加費:無料
説明者:石川太郎記者
聞き役:田代宏記者
【編集部】
【サプリ規制の在り方検討】
関連記事:①サプリ規制の在り方検討がスタート
:②営業の許可・届出、審議事項に追加
:③定義、「形状だけで判断すべきでない」
:④サプリメントの定義なき時代に終止符か
:⑤消費者委員会、検討の行方注視
:⑥取りまとめは2026年4月以降に
:⑦消費者庁食品衛生基準審査課長インタビュー 行政は原材料事業者に何を求める
:⑧サプリの定義と規制の行方 「機能性食品」提唱から40年、問われる日本の選択
:⑨サプリの定義、議論スタート
:⑩サプリとは何か、GMPは義務化か
:⑪消費者庁が論点 方向性示さず「どう考えるか」問う
:⑫サプリメントの目的とは何か 「通常の食事による栄養摂取・生理機能の補助」
:⑬グミと原材料、GMP義務化巡り温度差
:⑭グミ形状サプリGMP義務除外に懸念 厚労省食品衛生監視部会
:⑮中間とりまとめ サプリメントを横串で定義、GMP原則義務化と整理
:⑯審議の舞台、厚労省に移る 消費者庁、中間まとめを報告
:⑰サプリ規制の在り方、方向性固まる 健康被害情報の報告も義務化
:⑱サプリ規制めぐり担当課長が講演 薬健研シンポに厚労省食品監視安全課長

