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東京都、パーソナルジム紛争を付託 解約・返金巡るトラブル、相談件数が急増

 東京都はこのほど、「無料体験を契機としたパーソナルトレーニングの定期コース契約に係る紛争」について、東京都消費者被害救済委員会(会長:宮下修一中央大学大学院法務研究科教授)に解決を付託した。パーソナルトレーニングを巡る都内の消費生活相談が増加する中、中途解約時の追加請求や解約手続、エステとのセット契約などの問題について検討する。

 東京都によると、パーソナルトレーニングは一般消費者向けサービスとして普及し、市場が拡大している。それに伴い、都内の消費生活センターに寄せられる相談も年々増加傾向にあり、2025年度は前年度比約1.7倍に急増した。解約や、それに伴う返金についての相談が多いという。

無料体験から12カ月契約へ

 今回の申立人は、20歳代の給与生活者の女性Aと50歳代の給与生活者の女性Bの2人。いずれも12カ月、月額約3万円のパーソナルトレーニングの定期コースを契約した。このほか、Aは4万円弱、Bは5万円弱のエステ契約も締結した。

 Aは、「短期集中、月8回、1回3,000円」という事業者のSNS広告を見て無料体験を申し込んだ。体験後、入会金などがキャンペーンで無料になる、中途解約しても特別な料金はかからないなどと説明され、12カ月の定期コースを契約。セットだと言われ、エステも契約したという。

 数カ月後、予約が思うように取れないことから解約を申し出たところ、契約時に無料とされた入会金やオプション料金など、合計約8万円を「差額金」として請求された。Aは勧誘時の説明と異なるとして、差額金を支払わずに解約することを求めている。

 Bは事業者のホームページから無料体験を申し込み、その後12カ月の定期コースを契約した。キャンペーンによる無料分を差額金として支払えばいつでも中途解約できるとの説明を受けたものの、具体的な金額や内訳、毎月通える回数について説明がなかったという。

 キャンペーンの適用にはエステ契約が条件だと言われ、不要だと思いながらも契約。後日、サプリメントの定期購入も強く勧められ、契約したとしている。

解約後も半年以上引き落とし

 Bは数カ月後、予約が取れないとして解約を申し出た。事業者からメールが届いたため解約できたと思っていたが、半年後、事業者からのメールに返信しなかったことを理由に解約申請を取り消したと連絡された。
 その間も半年以上にわたり月額料金が毎月引き落とされていた。Bは、事業者から解約を申し出た時点に遡った精算はできないと言われたとして、納得できないと主張している。

不実告知や解約条項など検討

 東京都は今回の紛争について、主に4つの問題点を挙げている。

 第1に、中途解約時に支払いを求める精算金や予約の空き状況について、事実と異なる説明や不利益となる事実を告げない行為があった場合、消費者契約法第4条第1項第1号の不実告知、または同条第2項の不利益事実の不告知に基づいて契約を取り消すことができるのではないかという点。

 第2に、通常価格が実質的に存在しない場合、中途解約時にキャンペーンで無料とされた金額を「差額金」として請求する条項が違約金的な性質を持ち、消費者契約法第9条第1項第1号により「平均的な損害の額を超える部分」が無効となるのではないかという点である。

 第3は、未精算金がある場合には精算後に退会手続が完了するとする条項について。東京都は、今回の定期コース契約を準委任契約とした上で、いつでも契約を解除できるとし、この条項が実質的に中途解約を妨げる場合、消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする消費者契約法第10条により無効となるのではないかとしている。

 第4はエステとのセット契約。定期コースの契約条項ではエステとのセット契約を条件としていないにもかかわらず、事業者が「エステはセット」などと説明したことで、本来希望していなかったエステ契約に至ったとして、消費者に選択肢を与えない勧誘方法に問題がなかったかを検討する。

部会であっせん案を検討

 東京都消費者被害救済委員会は、東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関。宮下会長をはじめとする学識経験者16人、消費者委員4人、事業者委員4人の計24人で構成されている。

 今回の付託を受け、委員数人による部会を構成して審議する。両当事者から話を聴いた上で公正な解決策を検討し、あっせん案として提示する。両当事者が受諾すれば解決となる。

 東京都は、あっせん案の考え方について、今回の紛争だけでなく類似する紛争の解決にも役立つことから、東京都消費生活条例に基づき広く周知するとしている。

【田代 宏】

発表資料はこちら(東京都HPより)

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