厚労省、攻めの予防医療に493億円 2027年度概算要求、栄養・食生活対策など強化
厚生労働省は、2027年度(令和9年度)予算の概算要求をまとめた。健康・ヘルスケア分野では、「攻めの予防医療」の関係施策に493億円を要求。適切な栄養・食生活に関する国民のリテラシー向上や生活習慣病対策、歯科健診、女性の健康課題への対応、AIを活用した予防医療などを重点施策に位置付けた。
厚労省は、少子高齢化・人口減少が進む中、国民が健康に活躍し続けることに加え、社会保障の担い手確保や経済社会の活力維持・強化につなげる観点から、「攻めの予防医療」を推進する。
概算要求資料では、関連事業を広く含めた「攻めの予防医療」として509億円(2026年度当初予算302億円)を計上しているが、厚労省が「U.E.N.O.Plan~攻めの予防医療厚生労働省関係施策~」として整理した要求額は493億円。厚労省は本紙の取材に対し、509億円にはスマート・ライフ・プロジェクトなど、493億円の集計には含まれない事業が複数含まれていると説明した。

栄養・食生活に「食事ガイド」
栄養・食生活分野では4.4億円を要求した。生活習慣病の疾病リスク低減に資する適切な栄養・食生活について、国民のリテラシー向上を図る。具体策として、生活習慣病の疾病リスク低減に向けた食事のポイントをまとめた「食事ガイド」を作成し、国民への周知を進める。
資料によると、2024年の1日当たり食塩摂取量は男性10.5g、女性8.9g。野菜摂取量が350g未満の人の割合は男性73.8%、女性78.0%としている。
このほか、睡眠や肥満症予防を含む「スマート・ライフ・プロジェクト(SLP)」の推進も盛り込んだ。
がん・循環器病対策に261億円
がん・循環器病などについては261億円を要求した。がん検診では2028年度までに受診率60%、精密検査受診率90%の達成を目指し、職場での受診勧奨の強化や、事業者と保険者の連携を促進する。
循環器病対策では、2029年度までに特定健診受診率70%の達成を目標とし、特定健診など生活習慣病に関する健診の受診促進や、職場健診などを活用した受診勧奨を進める。
女性の健康課題への対応強化
性差に由来するヘルスケアには63億円を要求した。更年期世代の女性を診療する一般診療医向けのガイダンスを作成し、研修などを通じて周知するほか、対応可能な医療機関を検索できる取り組みを進める。
体調に不安を抱える女性が自らの状態を記録するツールの開発や、職場健診の問診票に女性特有の健康課題に関する質問を追加し、専門医への受診勧奨などを行う取り組みも盛り込んだ。
AI活用した予防医療も
データヘルスを基盤とした「AI予防医療モデル」の構築には57億円を要求した。保険者や地域の中小企業などにおける循環器病対策をはじめとする予防・健康づくりを推進するため、AI予防医療モデルの構築や成果創出に向けた保険者へのインセンティブの在り方を検討する。
このほか、認知症の早期診断・早期対応などに17億円、いわゆる国民皆歯科健診の具体化など歯科保健に93億円を要求した。
なお、これらの分野別要求額には、一部に同一事業の重複がある。各分野の金額を単純に合計すると499.8億円となるが、厚労省によると、複数分野に計上されている事業の重複を除いて算出した要求総額が493億円となる。

食の安全・安心に42億円
食品分野では、「食の安全・安心の確保」に42億円を要求。医薬品分野では、医薬品等の安定供給・品質確保・安全対策の推進、薬物対策に12億円を要求している。
組織・定員要求では、「攻めの予防医療と疾病対策等の推進」のため10人の増員を要求。組織面でも、栄養・食生活などの施策を推進するための体制強化を掲げている。
【田代 宏】
発表資料はこちら(厚労省HPより)

