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血管でも血流でもなく「血液」 フラバンジェノールがうたえた理由

 現在の機能性表示食品は、全身を流れる「血液」に対する機能性も訴求できる。

 それが初めて公開されたのは、2026年3月16日付の届出情報検索データベースの更新。健康な中高年者を対象とする、以下の機能性表示が公開された。

 「スムーズな血液の流れの維持をサポートする機能が報告されています」

 血管の状態(柔軟性)に関する機能性表示はあった。末梢血流など、部位限定的な血流に及ぼす働きを訴求する機能性表示も同様だ。しかし、身体全体の健康維持に不可欠な、血液が血管内を滞りなく流れる状態を保つこと自体を助けるとする機能性表示はなかった。

 この新たな機能性表示は初登場以降、バリエーションが増やされていった。

 「健康な血の巡りをサポートする」、「血液の流動性(流れやすさ)の維持をサポートする」、「なめらかな血液の流れの維持をサポートする」──いずれも健康な中高年者を対象とする機能性表示だ。

 これら血液の流れを巡る一連の機能性表示の機能性関与成分は共通している。松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3である。

 松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3は、健康食品の受託開発・製造を行う㈱東洋新薬(本部:佐賀県鳥栖市)の独自素材、「フラバンジェノール」(松樹皮抽出物)に含まれるポリフェノールの一種だ。

 血液の流れの維持を訴求する機能性表示を見て、昔を思い出した人もいたのではないか。同抽出物は、2000年代、飲料大手が展開した「さらさら」をうたう清涼飲料水に配合されていた。

すべては「血の巡り」に行き着く

 フラバンジェノール由来のプロシアニジンB1及びB3で可能な機能性表示は多岐にわたる。

 東洋新薬はこれまでに、
「悪玉(LDL)コレステロールや総コレステロールを下げる」
「血管年齢が中高年に該当する方の血管のしなやかさ(柔軟性)(血管を締め付けた後の血管の拡張度)の維持に役立つ」
「末梢血流を維持することにより、肌の弾力を維持し、肌の健康に役立つ」
「頭皮の水分を逃がしにくくして潤いを保ち、頭皮の健康を守るのを助ける」
──といった機能性表示を開発してきた。届出件数も多い。

 その中で、「健康な血の巡りをサポートする」の機能性表示について、同社の研究開発部統括マネージャーはこう解説する。

 「フラバンジェノールの本質を表していると思います」

 本質とは、どういうことだろうか。

 一連の届出資料を見ると、フラバンジェノール由来のプロシアニジンB1及びB3の働きは、元をたどれば、すべて血液の巡りに行き着くことが分かる。作用機序の説明資料によれば、両成分は、まずLDLコレステロールを下げ、それを起点に血小板の凝集能や血管内皮の機能を整え、末梢の血流を保つ──という血液循環系の連鎖として説明されている。

 従って、同社がこれまでに開発してきた機能性表示──悪玉コレステロールを下げる、血管のしなやかさを保つ、末梢血流を維持して肌の弾力を守る、頭皮の潤いを保つ──の大半は、「血液の巡り」が土台であると言える。肌も頭皮も血管も、突き詰めれば、「血が巡ること」の末端にある機能性だ。

 だから、「健康な血の巡り」という機能性表示は、部位やアウトカム(具体的な機能性)を一つに絞ったほかの機能性表示と違い、フラバンジェノールという素材が持つ機能性の土台をそのまま表している──同統括マネージャーが言う「本質」とは、そういう意味だと考えられる。

科学的根拠、血小板凝集能を評価指標に

 では、そうした本質を、ヒトを対象にしながら、科学的にどう評価したのだろうか。

 その答えは、一連の届出資料中で説明されている。「表示しようとする機能性の科学的根拠に関する補足説明資料」にはこうある。

 「『スムーズな血液の流れ』とは、採用文献における評価指標である血小板凝集能を指す」。その上でこう続ける。

 「血小板凝集能は、血液の流動性を決定する要因であるとされており、血液のサラサラ度の指標として広く認知されている」

 科学的根拠に関する説明資料によると、システマティックレビューで採択した文献(臨床試験)では、血小板凝集能をLTA法(透過光血小板凝集検査法)で測定し、最大凝集率などで評価していた。この試験は、「血液の巡り」に対する機能性表示の届出を視野に、同社が新たに実施したものだ。

 この方法と評価指標は、国内外で学術的なコンセンサスが得られており、試験では、松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3摂取群で、加齢とともに亢進しやすい血小板凝集能がプラセボ群より低く保たれていたという。

 血小板凝集能とは、いわゆる「血液サラサラ度」の指標だ。しかも、それに対してポジティブに働くことが、40歳以上65歳未満の健常な成人男女を対象にした臨床試験で確認された。にもかかわらず、同社は機能性表示において「血液サラサラ」とは表現しなかった。

 その理由も、補足説明資料中に記述されている。

 「採用文献で認められた結果については、『血液をサラサラにする機能』と表現して医薬品と誤認される恐れがないようにするため、血小板凝集能の改善を示す表現として『スムーズな血液の流れの維持をサポートする機能』と言い換えた」

言い換えた先にある「拡張性」

 本当は、現在とは異なる機能性表示での届出を望んでいたのかもしれない。

 だとしても、「血液の流れ」を巡る機能性表示に対する顧客の反応は悪くない。むしろ良好だ。

 「想像していた以上に良い反応をいただいています。血液には、栄養や酸素などを全身に届けるという役割があります。もちろん、それは血管が健康であってこそではあるのですが、『スムーズな血液の流れの維持をサポートする』という機能性表示には、拡張性がありそうです。QOL(クオリティオブライフ)の維持に向けた拡張性です。そこに注目いただいているのかもしれません」

 「ものすごく苦労しましたよ」と笑いながら同統括マネージャーは語る。

(つづく)

【石川太郎】

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