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「頭皮の健康」はどう生まれたか 「肌の一部」という発想、既存機能の「血流」に着目

 頭皮の健康を守るのを助ける──そんな機能をうたう機能性表示食品の届出が、2026年4月14日付の届出情報検索データベース更新で公開された。

 これまでに様々な身体部位の健康や状態の維持を訴求する機能性表示が届け出られてきたが、頭皮の健康はこれが初めて。

 それにしても、頭皮の健康って具体的に何?

雑談から生まれた「頭皮環境」の新ワード

 この届出を行ったのは、健康食品受託開発・製造の㈱東洋新薬(本部:佐賀県鳥栖市)。同社の独自素材、「フラバンジェノール」(松樹皮抽出物)の新たな機能性表示として届け出たものだった。機能性表示の内容はこうだ。

 「松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3には、頭皮の水分を逃がしにくくして潤いを保ち、頭皮の健康を守るのを助ける機能が報告されています」

 「頭皮の健康」という発想はどうやって生まれたのだろうか。同社の研究開発部統括マネージャーは取材にこう説明した。

 「会議後の雑談で、『頭皮って肌の一部じゃない?』という話になって、『言われてみれば、確かに肌だ』と。肌の保湿を訴求する機能性表示食品の届出を見ると、頬や腕など、肌の部位を具体的に表示している場合もありますよね。ならば、頭皮もいけるかもしれない、という話になったんです」

 この機能性表示にはバリエーションがある。「頭皮環境(頭皮の水分を逃がしにくくして潤いが維持された状態)を整えるのに役立つ機能が報告されています」という内容だ。「腸内環境」ならぬ「頭皮環境」。良く思いついたものだと記者はこの届出情報を最初に見たとき驚いた。同統括マネージャーは、「もう皆でつくり上げましたよ」と笑う。

頭皮のTEWLを保ってQOLを維持

 本題に入る。広い意味で「ヘアケア」とも呼べそうな「頭皮の健康」とは具体的に何か。そしてそれは健康の維持・増進にどう役立つのか──その答えは、広く公開されている一連の届出資料で示されている。「表示しようとする機能性の科学的根拠に関する補足説明資料」。大筋でこう説明されている。

 皮膚には「バリア機能」がある。外から入る有害物質を防ぎ、体内の水分が過剰に逃げるのを防ぐ機能だ。このバリアがどれだけ働いているかは、肌の表面から蒸散する水分の量、具体的には経皮水分蒸散量(TEWL)で測れる。

 バリア機能が下がるとTEWLは上がり、乾燥やかゆみが起きやすくなる。さらにバリア機能が壊れてしまうと、アレルゲンや刺激物質が入り込み、アトピー性皮膚炎のような炎症を招く引き金にもなる。そのため、TEWLを低く保つこと、すなわちバリア機能を保つことは、肌の健康を守るうえで重要である——資料はまず、こう土台を置く。

 その上で、説明は頭皮に移る。頭皮は日々の物理的刺激や紫外線を受けやすく、腕などほかの部位と比べてもTEWLが高い。もともとバリア機能が脆弱な部位だ。実際、フケや炎症のある人の頭皮は、頭皮の健康な人よりTEWLが有意に高いという報告もある。従って、頭皮のTEWLを保つこと(頭皮の水分を逃がしにくくして潤いを保つこと)は、頭皮の健康を守ることにつながる──。

 資料の説明は大筋ここまでだが、つまり頭皮の健康を守ることの健康維持・増進上の意義とは、頭皮の乾燥やフケ、かゆみなどの自覚症状を抑えることだと理解できる。そしてそのことは、消費者や生活者のQOL(クオリティオブライフ)の維持、ひいては健康の維持につながる、ということだろう。

 「頭皮の健康」を巡る一連の届出のシステマティックレビュー(SR)で採択された文献の臨床試験(東洋新薬が資金拠出)では、実際に頭皮のTEWLが測定された。頭皮のような狭い測定面専用のTEWL測定機器を使用した。

 一連の届出の科学的根拠に関する説明資料によれば、SRで採択した文献は、健常な成人を対象とした無作為化プラセボ対照試験。被験者を、フラバンジェノール(松樹皮抽出物)摂取群とプラセボ群に分け、両群で頭皮のTEWLを測定および比較した。関与成分である松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3としての摂取量は1日2.4mg、被験者は健常男女80人。その結果、フラバンジェノール摂取群ではプラセボ群と比べ、摂取終了時の頭皮のTEWLが有意に低値(p<0.05)であったという。

作用メカニズムの土台にある「血流」

 作用機序(メカニズム)はどうか。説明資料は、皮膚のTEWLに及ぼす因子として「血流の低下」を挙げるところから始まる。

 血流は、皮膚に栄養と酸素を届ける役割を担う。そのため、血流が低下すると皮膚組織に酸素や栄養が十分に運ばれず、老廃物の回収も滞る。逆に、血流を改善する食品成分を続けて摂ることで、TEWLが改善したとの報告もある。従って、血流を保つことは、皮膚への栄養・酸素の供給と正常な細胞の働きを支え、頭皮を含む皮膚の水分を逃がしにくくする機能の維持につながる——と、まずはTEWLと血流の関係について説明する。

 その上で、松樹皮抽出物(フラバンジェノール)が血流をどのように維持するのかについてこう解説する。

 まず、松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3が、その二量体画分を通じてLDLコレステロールを低下させる。それによって、血小板の凝集能や血管内皮機能が改善し、末梢の血流が保たれる。その結果として、頭皮のTEWLが維持され、潤いが守られる──という筋立てだ。

 つまり、この作用機序は、松樹皮由来プロシアニジンB1及びB3にもともと確認されている血流に対する機能性を土台とし、それを頭皮という新たな領域におけるメカニズム説明へと接続したものといえる。

 血流。フラバンジェノールの機能性の肝なのだろう。だからこそ、こんな機能性表示も行える。「健康な中高年者の、スムーズな血液の流れの維持をサポートする機能が報告されています」──2026年3月16日付の届出情報検索データベース更新で公開された、届出全体を通じた新規の機能性表示である。

(つづく)

【石川太郎】

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