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大豆イソフラボンで特定臨床研究 アグリマックス、京都府立医科大が患者対象ランダム化比較試験

 ニチモウ㈱100%子会社のニチモウバイオティックス㈱(東京都港区、北谷明大社長)が製造販売する、麹菌発酵によるアグリコン型大豆イソフラボン「アグリマックス」について、多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照試験が行われた。
 
 機能性食品素材としては珍しいことだが、この試験は臨床研究法に基づく特定臨床研究の枠組みで実施されたもので、子宮内膜症患者を対象とする。試験の結果、投与3カ月後の月経困難症に伴う痛みを有意に低下させたという。
 
 この特定臨床研究を行ったのは、京都府立医科大学の森泰輔教授(女性生涯医科学 産婦人科学教室)らの研究グループ。今年6月に横浜市で開催された第26回日本抗加齢医学会総会での同社共催セミナーで、森教授が「イソフラボンサプリメントによる子宮内膜症治療の新展開~基礎研究からランダム化比較試験まで~」と題し、研究結果を報告した。

基礎研究から駒を進めた特定臨床研究
 
 研究の背景には、既存治療の制約があるという。子宮内膜症は生殖年齢女性の約10%に発症するとされ、月経痛などを伴う。標準的な治療方法もあり、LEP製剤、ジエノゲスト、GnRHアゴニスト・アンタゴニストといったホルモン療法が中心となる。ただ、森教授は、これらがいずれも排卵抑制を伴うため妊娠を希望する場合は使えない点を「決定的な弱点」と指摘。ホルモン剤以外の選択肢の必要性を説いた。
 
 森教授の報告によると、今回の、アグリマックスの子宮内膜症関連疼痛に対する抑制効果を検証する特定臨床研究は、17人の子宮内膜症患者を対象にしたパイロット研究(予備的臨床研究)で良好な結果が得られたのを受け、2020年にスタート。
 
 パイロット研究に先立つ基礎研究では、卵巣内膜症性嚢胞由来の間質細胞に対し、アグリマックスがERβ依存的に細胞増殖を抑制する一方、正常な子宮内膜細胞には影響しないことを確認。IL-6、IL-8、COX-2、アロマターゼの発現抑制のほか、HSD17β1の抑制などを介した局所エストロゲン代謝の制御を示した。マウスモデルでも、アグリマックスの投与により病変の個数、体積とも減少した。

 そして特定臨床研究では、20歳以上50歳以下で、卵巣内膜症性嚢胞を有し、月経困難症のVASが20以上(100mm法)の慢性骨盤痛を訴える手術非希望例を対象に、アグリマックスを含む錠剤、またはプラセボ錠剤をそれぞれ4カ月間投与した。アグリマックスの投与量は、アグリコン型大豆イソフラボン換算で1日30mg。内閣府食品安全委員会が大豆イソフラボンについて示す、食事以外からの上乗せ摂取上限量に揃えたかたちだ。

 当初は110例規模での実施を計画した。だが、コロナ禍で被験者の登録が伸び悩み、エントリーは81例にとどまった。妊娠希望による中断などを除き、最終的な解析対象はアグリマックス群34例、プラセボ群37例の計71例。両群の背景に差はなかった。

 主要評価項目は、月経困難症VAS(Visual Analog Scale)のベースラインからの変化。投与3カ月後にプラセボ群と比べ有意な低下を認めた。ただ、投与終了時の4カ月後では、プラセボ群でも疼痛スコアが低下した。森教授は「4カ月後で差がついていれば一番良かった」としつつ、この種の臨床試験ではプラセボ群でも改善がみられる傾向があると説明。その上で、「もう少し大きなデータが取れれば」として症例数の不足を認めながらも、今回の研究結果について、「改善効果を示したと言っていいのではないか」との認識を述べた。

 一方、副次評価項目のうち、卵巣内膜症性嚢胞のサイズは変化がなかった。安全性評価としては肝機能などを採血で確認したが、重篤な有害事象は認められなかったという。研究結果をまとめた論文は5月、学術誌へ投稿され、7月に査読前のプレプリントが公開された。

【石川太郎】

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