東大贈収賄事件、引地被告に猶予判決 「断れない構造」退け、懲役1年・執行猶予3年判決
東京大学医学系研究科の社会連携講座を巡る贈収賄事件で、贈賄側として贈賄罪に問われた(一社)日本化粧品協会(JCA)の引地功一代表理事に対する判決公判がきょう26日午前10時、東京地方裁判所で開かれた。裁判所は、引地被告に対し、懲役1年・執行猶予3年の判決を言い渡した。
同事件は、東京大学医学系研究科に設置された「臨床カンナビノイド医学講座」を巡り、JCA側が、佐藤伸一元教授および吉崎歩元准教授に対し、高級飲食店や銀座クラブなどにおける接待を繰り返していたとされる事件。判決では、引地被告が、講座設置や研究内容の選定・運営などについて有利な取り計らいを受けたことへの謝礼および今後の便宜供与を期待する趣旨で、両教授に対し遊興接待を供与していたと認定した。
裁判所は、佐藤元教授および吉崎元准教授に対して、令和5年3月から令和6年8月までの間に遊興接待を供与したと認定。接待内容について、「いわゆるキャバクラや高級レストランにおけるサービスを受けるという性的な色合いの強いものであり、東京大学における職務の公正さや廉潔性を強く害したと指摘した。
これまでの公判では、引地被告側は、「研究継続や講座維持のため、接待を断れない構造があった」などと主張していた。
しかし裁判所は、「被告人は担当教授らによる本件講座の廃止を恐れて利益供与を強要されたと主張するが、少なくとも本件犯行期間中における講座長とのメッセージ履歴を見ても、被告人の恐怖心をうかがわせる内容は見当たらない」と指摘。
「当初は講座長から被告人の負担を気遣う中で、被告人の方が積極的な供与姿勢を示したことで、担当教授らと癒着するようになり、常習的に犯行に及んだものと認める」と述べ、強要構造の主張を退けた。
量刑については、引地被告が自ら警察署に赴き、関連する事実関係を供述したことで事件内容の解明につながった面があることや、前科がないことなどを情状として考慮。
「社会内で教訓を得させるのが相当」として、執行猶予付き判決を選択した。
【田代 宏】

