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東京大学講座問題、刑事初公判へ 民事は争点整理段階か、資金と物品巡り認識対立

 東京大学大学院医学系研究科の社会連携講座を巡る問題で、23日、関係者の刑事事件に関する初公判が東京地裁で開かれる。同日夕方には、日本化粧品協会(JCA)が記者会見を行う見通しで、刑事・民事の両面から関心が高まっている。民事訴訟では証拠提出を経て争点整理へ移行しつつある中、教授室から発見された化粧品の扱いを巡り当事者間の認識の隔たりも浮上している。刑事と民事が交錯する中、事案の全体像がどこまで明らかになるのかが注目される。

民事は争点整理段階へ移行か

 同事件を巡っては、JCAおよび(一社)日本中小企業団体連盟が、東京大学ならびに関係教員を相手取り、社会連携講座の契約関係や研究費の支出を巡って民事訴訟を提起しており、現在も審理が続いている。他方、今年に入り、関係者が収賄などの容疑で逮捕されるなど、刑事事件としての展開も表面化していた。

 民事訴訟においては、2026年2月24日に行われた弁論準備手続で、原告側が主張および証拠を提出した。その後、証拠が多数に及ぶことから、今後は主張書面のやり取りを中心とするのではなく、争点整理を軸とした審理を進める方向が裁判所から示されていた。

 さらに、3月25日に行われた4回目の弁論準備手続では、新たな主張書面の提出は限定的で、被告東京大学側から上申書が提出されたことが確認されている。

教授室で見つかった化粧品

 東京大学側は4月6日付の上申書において、佐藤伸一被告が使用していた教授室のロッカー内から、スキンクリーム19本、リップエッセンス17本の化粧品が発見されたと報告した。これらはビニール袋に入った状態で残置されていたもので、当初は内容不明だったが、原告・化粧品協会側の説明を受け、同協会が主張する「盗難事件」の被害品に該当する可能性があるとの認識に至ったとしている。

 これを受け、東京大学は原告側に対し当該物品が被害品に該当するかどうかの確認を求めるとともに、佐藤被告に対しては、これらの物品が教授室内に残置されていた経緯について説明を求めた。

正当取得か、盗品か――主張は対立

 これに対し佐藤側は4月10日付で回答書を提出し、当該化粧品はいずれも講座関係者からサンプルとして提供されたものであり、「自由に持ち帰ってよい」とされていたと主張した。研究室を訪れた際などに受領し、家族や知人に配布して使用感を確認していたと説明している。

 さらに、2024年9月にはサンプルとして使用する目的で持ち出したものの、その後の関係悪化により使用や返却ができなくなり、教授室に保管していたとした上で、正当に受領したもののため盗品には当たらないと否定している。
 このように、発見された物品の性質や取得経緯を巡って、東京大学側が事実確認を求めるのに対し、佐藤側は正当取得を主張しており、認識の隔たりが示されている。

刑事審理と民事争点の行方

 こうした経過から、本件訴訟は証拠提出を踏まえた争点整理の段階に入っている可能性もある。もっとも、審理の位置付けや裁判所の具体的な方針については、原告側代理人に確認を求めているが、現時点で回答は得られていない。

 社会連携講座における活動経費の負担関係、研究実施の実態、接待や資金支出の適法性など、多岐にわたる論点が争われている。これらの争点は刑事事件における事実認定とも一定の関係を持つ可能性があり、両手続の進展が相互にどのような影響を及ぼすのかも注目される。

 23日の初公判および記者会見では、これまで主張されてきた事実関係や認識について、関係者からどのような説明がなされるかが焦点となる。ウェルネスデイリーニュースでは、引き続き民事訴訟の審理状況と併せて、全体像の把握に努める。

【田代 宏】

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