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糖質カット炊飯器訴訟 東京高裁が国側の控訴を棄却し、一審判決を支持

 糖質カット炊飯器の表示を巡り、消費者庁による景品表示法に基づく措置命令の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決がきのう10日、東京高等裁判所で言い渡された。判決では、措置命令を取り消した一審・東京地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却した。

 本件は、㈱forty-four(東京都渋谷区、獅子内善雄社長)が販売する糖質カット炊飯器『LOCABO』の表示について、消費者庁が2023年10月に景表法で禁じる優良誤認表示に該当するとして措置命令を下したことに端を発する。同社はこの処分を不服として、命令の取り消しを求めて提訴していた。

 一審判決では、同社の表示が消費者に誤認を与えるものではないと判断され、消費者庁による措置命令が取り消されるという司法判断が示された。これに対し国側は、一審判決がウェブ表示の評価方法を誤り、一般消費者が受ける全体的な印象を正しく捉えていないと主張。不実証広告規制の解釈や、表示の裏付けとなる資料の評価基準について法解釈に誤りがあるとして、控訴審で全面的に反論を展開した。

 一方、forty-four社側は、表示を通じて消費者は「通常の炊飯器で炊き上げる米飯とは異なるタイプの米飯が仕上がる」という認識を抱くと反論。消費者庁の違反認定は、「通常の炊飯器と同等の炊き上がり」という抽象的な比較基準に基づいたものであり、実態に即していないと一貫して主張を続けてきた。

一般消費者の認識と表示の合理性

 控訴審を通じ、最大の争点となったのは「一般消費者」の認識と、それを踏まえた「表示の合理性」の解釈。国側は、広告表現が消費者に与える印象を重視し、一部の限定的な情報が記載されていても、全体の印象として優良誤認を招く可能性があれば違法性を問うことができると主張。これに対しforty-four社側は、製品の構造や仕組みを明示しており、消費者の合理的な判断を妨げるものではないと反論していた。
 また、不実証広告規制の適用に関しても激しい議論が交わされており、国側は事業者側が提出した資料では表示の裏付けとして十分ではないとしたのに対し、forty-four社側は、第三者機関による試験結果を含め十分な根拠を揃えていると主張してした。

 こうした景表法を巡る法解釈の対立について、景表法に詳しい弁護士は、報道ベースでの判断という前提の下、以下の見解を示す。
 「forty-four社の対象商品の措置命令対象広告について、当局が認定したのは、この広告は一般消費者に対して、『あたかも、本件商品の糖質カット炊飯機能で炊飯することにより、通常の炊飯機能で炊飯した米飯と同様の炊き上がりで、米飯に含まれる糖質(でんぷん)が、45%カットできるかのように示す表示をしていた』との印象を与えるというものだ」。
 同弁護士によると、本件において特に問題となったのは、認定の根拠となった「美味しさそのまま」や「お米本来の美味しさ」といった表現。景表法における主観的・抽象的な表現について、当局は従前より「そのような内容の表示だけの場合には、原則として、直ちに優良誤認表示に該当するおそれはなく、景表法7条2項による資料提出命令の対象とはならない」との指針を公表している。
 これに対し同弁護士は、「forty-four社の広告を見ると、消費者庁の該当サイトから確認できる限りでは、『美味しさそのまま』や『お米本来の美味しさ』の表現に加えて、具体的にどれくらい美味しいのかとか、一般的な炊き方と比べたときの美味しさの指標とどの程度変わらないのか、といったような、『具体的かつ著しい便益』を主張するような表現は見当たらないように思われる」と指摘する。その上で、「上記指針や従前の運用からしても、『美味しさそのまま』や『お米本来の美味しさ』の表現は、主観的・抽象的表現として、原則どおり優良誤認表示に該当するおそれはないと判断すべき表現であったものと考えられる」と分析する。
 また、高裁の三木裁判長が指摘したとされる「おいしさ」は抽象的・主観的な表示に過ぎず、「通常の機能と比べて味が劣るものではないことをアピールする表現にとどまる」という判示についても、「まさに上記のことを指摘したもので、正当な指摘である」と評価する。
 さらに同弁護士は、消費者庁側の認定について、「今回の消費者庁の認定は、(美味しさ)『そのまま』といった表現を過度に重く評価して、不実証広告規制運用指針で示した原則論から勇み足して、例外的な評価をしてしまったように思われる」との私見を述べる。

 今回の控訴棄却という結果を受け、国側が最高裁へ上告するのか、あるいはforty-four社が今後の事業展開において本判決をどのように活用していくのかなど、具体的な今後の対応については、現時点では両者とも確認が取れていない。

【藤田 勇一】

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