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農水部会、KPI達成へ課題浮き彫り 担い手確保や農地保全、指標の在り方巡り議論

 農林水産省は24日、第127回食料・農業・農村政策審議会企画部会を開き、食料・農業・農村基本計画で定めた目標(KPI)の進捗状況を検証した。担い手の確保や農地保全、スマート農業の普及など各分野の現状を点検した。
 委員からは物価上昇やAIの急速な進展など基本計画策定後の環境変化を踏まえ、KPIの示し方や検証方法について意見が相次いだ。

若手担い手の減少続く

 農水省経営局は、人・サステナブルな農業構造に関するKPIについて説明した。
 2025年の49歳以下の担い手数は4万7,000人となり、前年から1,000人減少した。年齢構成の変化に伴い、毎年約3,000人が49歳以下の区分から外れる状況が続く中、資金や機械・施設導入支援などを実施したものの、減少分を補うには至らなかったと報告した。生産年齢人口に占める49歳以下の割合も23年から減少に転じ、とくに30代の減少が大きいことから、さらなる分析が必要との認識を示した。
 新規就農者の内訳では、新規自営農業就農者は減少したものの、新規雇用就農者と新規参入者は増加した。農業法人などによる雇用就農や、非農家からの参入が定着しつつあると分析した。

女性活躍も目標達成へ課題

 農業委員、農協役員、土地改良区役員などに占める女性割合はいずれも前年を上回った。しかし、現状の伸びでは目標達成は難しいとし、女性割合が低い地域を重点対象に、地方での啓発イベントや先進事例の横展開などを進める考えを示した。
 販売金額に占める就業・法人形態別シェアについては、2025年度は前年度を上回ったものの、基準年の22年度との比較では低下した。24~25年の主食用米価格の上昇により、稲作の販売金額が増加したことが影響したと説明した。担い手への農地集積率は微増にとどまり、担い手自身の高齢化による離農や規模縮小が集積率の伸びを抑えているとの見方を示した。

農地面積は目標水準を下回る

 農村振興局は、農地・農業基盤に関するKPIの進捗を報告した。
 2025年の農地面積は423.9万ヘクタール、農用地区域内農地面積は394.3万ヘクタールとなり、いずれも30年の目標水準を下回った。これに対し、農振法改正を踏まえ、農用地区域への編入や荒廃農地の解消を着実に進める方針を示した。

 農業水利施設については、農業用水の安定供給が図られている農地の割合は25年度も100%を維持した。また、老朽化した施設への対応が課題となっていることから、土地改良法改正を踏まえ、国や都道府県の発意による更新事業や、パイプラインの緊急調査、補修・更新を進める考えを説明した。

 防災重点農業用ため池では、防災工事の着手割合が約6割となったものの、30年の目標達成には毎年約720カ所で工事に着手する必要があるとした。ICT施工やベントナイトシート工法など新技術も活用し、防災・減災対策を推進する方針を示した。

スマート農業は順調も品種開発は遅れ

 農産局と農林水産技術会議事務局は、生産性向上に関するKPIを説明した。
 2025年の農業総生産量は4,199万トンとなり、前年より48万トン減少した。夏季の高温による野菜などの減産が主な要因とした。
 経営体数の減少幅が生産量の減少を上回ったことから、1経営体当たりの生産量は前年比2トン増の50トンとなった。

 米の生産コストは、認定農業者15ヘクタール以上で24年に1万807円となり、前年より543円低下した。目標の9,500円に向けて順調に推移しているとした。他方、小麦は天候不順による収量減少の影響を受け、目標を上回る水準となった。
 スマート農業技術を活用した面積割合は26%となり、30年目標の50%に向けて着実に拡大した。ただ、稲作以外では活用が十分進んでおらず、品目ごとの技術開発や普及が課題とした。

 また、多収化や高温耐性などに資する品種の開発数は25年度までに5品種となり、30年目標の35品種にはなお隔たりがあると報告した。気候変動等対応品種法の成立を踏まえ、産学官連携や先端技術を活用し、品種開発の加速を図る考えを示した。AIについても、他分野の技術動向を踏まえながら農林水産分野への活用を進める方針を説明した。

KPIの在り方にも議論

 委員との意見交換では、KPIそのものの在り方についても議論が及んだ。
 委員からは、基本計画策定から約1年が経過する間に、物価上昇やAIの急速な発展など農業を取り巻く環境が大きく変化したことを踏まえ、KPIを見直す必要性を指摘する意見が出た。これに対し事務局は、基本計画の体系全体との整合性を踏まえ、現時点でKPIを変更することは考えていないとした上で、政策の見直しや次期基本計画の検討に向けて議論を深めていく考えを示した。
 PDCAサイクルの運用については、行政事業レビューとの連携を求める意見も出され、事務局は省全体としてPDCAの充実を図る方向で検討すると説明した。

外国人材や女性活躍の在り方も論点に

 担い手を巡っては、外国人農業従事者の役割について質問があった。
 事務局は、20~30代の農業従事者約24万人のうち、特定技能と技能実習を合わせた外国人は約7万人で、約3割を占めると説明した。その上で、生産性向上を進めてもなお不足する労働力への対応として外国人材を受け入れており、生活環境の整備なども重要な課題との認識を示した。

 女性活躍については、女性農業者は全体の約4割を占める一方、役員など意思決定の場への参画割合は依然として低いとの指摘があった。地域差も大きいことから、意識醸成、女性登用の促進、研修の充実を組み合わせた取り組みを強化する考えが示された。

生産コスト指標の示し方に注文

 生産コストを巡っては、複数の委員から、物価上昇が続く中で名目値だけをKPIとして示すことへの疑問が示された。これに対し事務局は、実質ベースでの評価や補完的な指標を含め、今後の示し方を検討するとした。
 また、スタートアップ支援については、研究開発だけでなく事業構想段階から伴走支援を行う必要性や、売上高だけではない進捗管理指標の検討を求める意見も出た。

地域の実情を踏まえた施策求める声

 農地政策では、地域計画や目標地図が実態と合わない地域もあるとして、市町村や都道府県、JAなど関係機関が連携し、計画を不断に見直していく必要性が指摘された。基盤整備についても、制度上は3分の2以上の同意で実施できることを改めて周知すべきとの意見が出た。
 さらに、中山間地域では、大規模化が難しい農地も多いことから、多面的機能支払制度や中山間地域等直接支払制度を活用し、多様な主体による農地保全を支援していく考えが示された。郵便局や建設業者、地域運営組織(RMO)などとの連携を進める方針にも言及した。

 部会長は総括で、KPIは基本計画全体の体系の中で設定されており、安易な変更は避けるべきとの認識を示した。その一方で、物価動向や国際情勢など外部環境の変化を踏まえ、委員の意見を反映しながら継続的に検証と改善を進める必要があると述べた。また、地域別・農業地帯別の分析や、多様な農業者が果たす役割を適切に評価する視点も重要とした。

 次回の企画部会は8月21日に開催し、食料自給率や輸出促進、安定的な輸入確保などについて議論する予定。

【田代 宏】

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