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令和8年版「消費者白書」を閣議決定 デジタル・AI進展に伴う消費取引の変容と新たなリスクに警鐘

 政府はきょう12日、令和8年版「消費者白書」(令和7年度消費者政策の実施の状況/消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告)を閣議決定した。同白書は、消費者基本法および消費者安全法に基づき、毎年国会に報告する法定白書。
 本年度は「デジタル化とAI技術の進展で変化する私たちの消費取引」を特集テーマに掲げ、急速なデジタル化がもたらす消費者問題の現状を分析した。

 白書によると、2025年度に消費者庁へ通知された消費者事故等は1万4,598件となり、前年度から微増。内訳は、消費者安全法第12条第1項等の規定に基づく「重大事故等」が2,036件、同法第12条第2項等の規定に基づく「消費者事故等」が1万2,562件となっている。
 特に注目すべきなのが、リチウムイオン電池使用製品による発火事故の増加。身に着ける製品として普及したワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、携帯用扇風機の3製品に関して、リチウムイオン電池に起因すると考えられる発熱・発火等の事故情報が、事故情報データバンクに2024年度だけで43件登録された。これを受け、消費者庁は総務省消防庁や経済産業省、環境省と連携し、使用時および廃棄時の注意点を改めて周知した。

 また、2025年の消費生活相談件数は約97万件に上り、依然として高水準で推移している。相談内容としては「迷惑メール、不審な電話」などの商品一般に関するものが最多である一方、パソコンサポートや有料質問サイト等の「役務その他サービス」に関するトラブルも大きく増加した。健康食品は3万432件(前年:3万3,820件)、基礎化粧品は2万9,938件(前年:3万1491件)だった。
 特にSNSに関連する相談件数は約10万1,045件と過去最多を記録し、2021年比で倍増している。商品・サービス別件数で見ると、「化粧クリーム」が7,805件で最多となり、健康食品(例:ダイエットサプリメント)が7,073件と続いた。

デジタル化とAIが変容させる消費取引

 本年度の特集では、デジタル化とAI技術の進展が消費者に利便性をもたらす一方で、消費者の意図しない行動を誘導する「ダークパターン」や、勧誘手法の多様化が消費者の自律的な意思決定を困難にしていると指摘している。 

 アンケート調査では、SNSチャットを通じた勧誘を受けた人の約7割が「不意打ち的」であると感じており、断っても執拗な勧誘を受けるといった被害実態が浮き彫りになった。また、インターネットでのサブスクリプション契約において、解約の複雑さなどを経験した人は約2割に達する。またAIの利用実態については、約4人に1人が活用しているものの、商品購入のサポートに利用している割合は1割強に過ぎない。広告の信頼性判定など、トラブルの未然防止を目的としたAI利用は限定的である現状が明らかになった。

 消費者庁は、今後デジタル取引における消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確保するため、1月から立ち上げている検討会等を通じて議論を深め、さらなる法規制や相談窓口の周知、見守りネットワークの強化を継続していく姿勢を示している。

消費者意識基本調査が示す「消費者の不安」

 白書と併せて、「令和7年度消費者意識基本調査」の結果も公表された。消費者庁では、日ごろの消費生活における意識や行動、消費者事故・トラブルの経験等を把握し、消費者問題の現状や求められる政策ニーズ等を明らかにすることを目的として、同調査を実施している。今回、全国の満15歳以上の消費者1万人を対象にアンケート調査を行い、その結果を取りまとめた(有効回収率:54.7%)。

 調査によると、流通する食品や商品・サービスの安全性、市場競争の健全性については約6割が肯定的に評価しているものの、「悪質・詐欺的な販売行為などを心配せず、安全に商品・サービスを購入・利用できる」との問いに対し、「当てはまる」と回答したのは約2割から3割にとどまった。

 また、消費者として心掛けている行動を聞いたところ、半数以上が「表示や説明を十分確認し、その内容を理解した上で商品やサービスを選択する」、「個人情報の管理について理解し、適切な行動をとる」、「環境に配慮した商品・サービスを選択する」と回答。2019年度と比較して、特にトラブルに備えた事前準備、個人情報の適切な管理を心掛けているとの回答が増加した。

 また、商品・サービスを購入・申込する際の考えや行動について聞いたところ、半数以上が「数量限定」や「期間限定」といった表示で購入意欲をかき立てられたりするなど、取引条件や置かれている状況に影響を受ける可能性があることが示された。

 把握できた消費者被害・トラブルの事例を、「商品・サービスの販売・購入形態別にみると、「インターネット通販」が55.6%と最も多く、次いで「店舗」が15.7%、「ネット以外の通信販売」が10.2%となった。

(冒頭の写真:同社リリースより)

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