サプリの定義、私たちはこう考える 【特集:サプリの定義】業界団体・消費者団体・有識者、交差する多様な声
業界団体、消費者団体、そして有識者らは、サプリメントの定義をどう考えるのか。また、消費者庁が提示したサプリの定義案をどう受け止めているのだろうか。対面での聞き取りや書面回答、アンケートで得られた見解や意見を以下にまとめる。とてもではないが一つには括れない多様な声が聞かれた。全4回シリーズ中の第2回。
目的を定めるのはどうか 範囲が狭まること危惧
井上恵子 弁護士(JMP法律事務所、日弁連消費者問題対策委員会食品安全部会所属)
サプリメントの規制の在り方を考えるとき、一番大切なのは定義だ。それによって、規制の及ぶ範囲が大きく変わる。ただ、定義だけで明確に(サプリか否かを)線引きすることは難しい。おそらく、サプリ該当性に関するガイドラインが示されて、最後は総合的な判断になるのだと思う。
定義案には、「濃縮されたもの、摂取の容易な形状であるもの、過剰摂取のおそれのあるもの」とある。紅麹サプリ事案以降、まさにそれがサプリのリスクだと理解されている。この部分についてはほぼ争いがないのではないか。
しかし、目的はどうか。日弁連(日本弁護士連合会)の意見書(サプリメント食品に関する法規制の早急な整備を求める意見書、2025年7月)にも、定義が示されている。だが、目的のところは曖昧になっている。その他のいわゆる健康食品として巷に溢れているサプリも規制対象とするためと思われる。目的を規定することで、サプリの範囲が狭まることを危惧している。
前述のサプリのリスクがあるものであれば、目的が曖昧であってもサプリに該当するように可能な限りサプリの範囲を広げたい。現状のその他のいわゆる健康食品は規制が緩く、せめてサプリについては広く規制対象としてもらいたい。そのためにも、サプリの範囲をできるだけ広く取れる定義が必要だ。その上で、消費者が一目でサプリだと分かるようにするための表示が求められる。
保健機能食品からその他のいわゆる健康食品までサプリを横串で定義し、規制するという方向性は歓迎したい。紅麹サプリ事案以降、その他のいわゆる健康食品の規制策が求められていた。サプリを広く捕捉する横串規制はその第一歩になるはずだ。効果を暗示したり、過剰摂取を誘引したりするようなサプリの広告表示の規制、是正にまでつながっていくことを期待したい。
本当は、サプリメントに関する独立した法律を制定し、保健機能食品を一本化する方向に整理してもらいたい。消費者にとって非常にわかりづらい、いわゆる健康食品の制度は抜本的な改革が必要だ。だが、それを直ちに実行するのは困難であることは理解している。食品衛生法でサプリを規制していく方向性は、妥協として受け入れたい。
サプリの目的、納得できる 原材料の規定には疑問
竹田竜嗣・関西福祉科学大学健康福祉学部准教授(福祉栄養学科)
とても苦労して定義案を取りまとめたのだと思う。ただ、今後いろんな意見が出てくるのではないか。
目的のところは納得できる。サプリメントというか、健康食品の目的とはそういうものだと思う。ただ、気になったところもある。まず、形状について。新開発食品調査部会では、サプリメントの範囲をできるだけ広く捉える方向で議論が進んでいたと思う。だが、定義案に明記されたのは錠剤、カプセル剤、液剤、粉末剤の4つにとどまった。確かに、「等」とある。だが、これでは逆に範囲を狭めることになってしまわないだろうか。
サプリメントに当たるか否かの考え方を示す通知等が必要だ。例えば、カフェインの過剰摂取リスクが以前から指摘されているエナジードリンクはサプリメントに該当するのだろうか。他にも判断が難しいものがあると思う。監視・指導に当たる各自治体の食品衛生監視員が「これはサプリメントだ」と一目で分かるようにする必要がある。考え方がバラつくと混乱が生じる。
それよりも気になったのは、原材料に関する規定が明確ではないことだ。「濃縮」とあるが、サプリメントの原材料には濃縮以外もある。「3.11通知」の文言(天然物、若しくは天然由来の抽出物を用いて分画、精製、濃縮、乾燥、化学的反応等により本来天然に存在するものと成分割合が異なっているもの又は化学的合成品)をそのまま使ってもよかったのではないか。サプリメントの原材料をよく言い表していると思う。
原材料に関してGMP義務を課さない方向性は妥当だろう。機能性表示食品のサプリメント形状も今のところそうなっている。ただ、サプリメントで最も大切なのは、原材料の安全性や品質だ。「3.11通知」に基づき原材料の安全性確認を求めていく方向性が示されているが、行政が事業者の衛生管理や製造管理などをモニタリングできるようにするなど、一定の縛りが求められるのではないか。
次の焦点、表示どうする サプリか否かの判別手段
池田秀子・(一社)日本健康食品規格協会理事長
目的に「生理機能の調節(の補助)」が取り入れられた。日本の機能性食品の歴史を踏まえ、非常に素晴らしいことだと思う。1980年代の食品機能研究プロジェクト(文部省・当時)、それに立脚した昭和62年(1987年)の「厚生白書」(食品の三次機能に着目した機能性食品の概念を提示)を生かすことになった。それに、国際性もある。EUのフードサプリメントの定義やコーデックスの機能性表示の要件である生理的役割とも共通している。
定義が決まれば、通常の食品との入口が区別される。ただし、それは概念上に過ぎず、実体としての区別は、表示と品質でなされる。
米国のDSHEA(ダイエタリーサプリメント健康教育法)では、通常の食品の栄養表示「ニュートリションファクト」とは別に、サプリメントには「サプリメントファクト」という表示方式を義務付けている。原則、全成分表示だが、その製品の機能性表示の根拠となる成分・原材料(ダイエタリー成分)の名称や含有量などを表示しなければならない。また、ダイエタリー成分は一定条件を満たさない限り、通常の食品に使うことは認められていない。さらに、身体の構造機能表示では、ディスクレイマー(免責事項)が重要視され、義務化されている。
こうした細部に至るラベル表示が定められて初めて、消費者はそれがサプリメントであることを認識できる。また、その表示が実体を伴うことを保証するためには、つまり、何がどれだけ含まれているかを保証するには、医薬品GMPを参考にしたGMP管理が必要不可欠だ。
サプリメントとは、栄養成分やその他の成分の機能性に着目した存在であり、これは世界的認識である。今回、健康食品の枠組みの中でサプリメントが定義され、GMPなどが義務付けられたとしても、保健機能食品以外の「その他のいわゆる健康食品」に置かれる多くのサプリメントは機能性を表示できないままだ。これは、業界にとって最大の課題であろう。
今後、表示という、より重要な議論が行われて制度が完成する。新たなサプリメントの出発に向けて、業界は今を逃さず、この課題に向けて改めて議論を開始するべきだろう。
(『Wellness Weekly Report』2026年6月号より転載。次回につづく)
【編集部】
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