門崎丑牧場、仕入れない牛の番号表示 今年7件目の勧告で前年超え、食品表示法でも指示
農林水産省は16日、いわて門崎丑(かんざきうし)牧場㈲(岩手県一関市、千葉政奈社長)が、牛肉に事実と異なる個体識別番号を表示するなどして販売していたとして、牛トレーサビリティ法に基づく勧告を行った。実際には原料牛肉として仕入れていない、自社牧場で飼養していた牛の個体識別番号を使用した不適正表示だけで705.8kgに上った。これで今年に入ってからの勧告は7件となり、昨年を上回った。
東北農政局が2025年2月18日~26年8月31日に立入検査などを行った結果、門崎丑牧場は、原料牛肉として実際には仕入れていない、自社牧場で飼養していた牛の個体識別番号を使用し、事実と異なる番号を表示。25年1月6日~2月24日に計705.8kgを食肉卸売業者などに販売していたことが分かった。
存在しない番号も表示
農水省が公表した不適正表示一覧によると、705.8kgに上る不適正表示は84件。このうち4件は複数の個体識別番号の原料牛肉を使用していた。また、納品書には、実際には仕入れていないにもかかわらず、門崎丑牧場で飼養していた牛の個体識別番号が表示されていた。
これとは別に、牛の個体識別番号として存在しない番号を表示し、25年1月10日~2月25日に計32.3kgを食肉卸売業者などに販売。公表された一覧では5件が確認された。
さらに、商品名「国内産和牛ロースステーキ」について、実際の個体識別番号が「0864363488」であるにもかかわらず、「1385783854」と表示し、25年2月6日に0.15kgを一般消費者に販売していた。同商品の写真も公表された。

これらの行為は、牛トレーサビリティ法第15条第1項、第2項に違反する。同法では、販売業者が特定牛肉を販売する際、牛の個体識別番号を表示することなどを定めている。
10月16日までに報告求める
農水省は門崎丑牧場に対し、現在保有する特定牛肉の個体識別番号を直ちに点検し、不適正な表示があれば是正した上で販売するよう勧告。すでに不適正な表示で販売した牛肉については、販売先にその事実と適正な個体識別番号を伝えるよう求めた。
また、原因の究明・分析を徹底し、個体識別番号の表示に関する責任の所在を明確にするとともに、管理体制や商品管理システムの整備など再発防止策を講じるよう求めた。同社は全役員、全従業員に対する牛トレーサビリティ制度の啓発と遵守の徹底に努め、講じた措置を10月16日までに農林水産大臣へ報告しなければならない。
岩手県、食品表示法でも指示
また、岩手県は同日、門崎丑牧場が牛肉の原産地と牛種について事実と異なる表示を行っていたとして、食品表示法に基づく指示を行った。
県によると、少なくとも2024年3月26日~25年2月10日に加工販売した牛肉のうち1,667.2kgについて、青森県産、秋田県産、宮城県産、栃木県産、沖縄県産を岩手県産と表示するなど、事実と異なる原産地を表示していた。公表資料では計36件を確認している。なお、宮城県産を岩手県産とした1件については、書類上、売上数量を確定できなかったため、1,667.2kgには含まれていない。
牛種についても、少なくとも24年3月26日~25年2月22日に加工販売した241.35kgで不適正表示を確認。和牛間交雑種、日本短角種、肉専用種、交雑種(肉専用種×乳用種)、ホルスタイン種を「黒毛和種」と表示しており、計25件に上った。
県は、製造・販売する全ての食品について表示を点検し、不適正表示があれば是正した上で販売するよう指示。原因の究明・分析、食品表示に関する責任の明確化、チェック体制の強化など再発防止策の実施、全役員・従業員への食品表示制度の啓発などを求めた。講じた措置について10月16日までに県南広域振興局長へ報告するよう求めている。
(文中の写真とキャプション:農水省の発表資料より転載)

