65歳以上の消費生活相談33万件超 前年度比、約2万5,800増加、国民生活センターが発表
(独)国民生活センター(国セン、村井正親理事長)はきのう16日、2025年度に全国の消費生活センター等に寄せられた、契約当事者が65歳以上の消費生活相談の状況をまとめ、その詳細を公表した。契約当事者が65歳以上となる相談件数は33万497件に達し、前年度の30万4,674件から約2万5,800件増加する結果となり、前年に引き続き過去最多を更新した(昨年度も前年度より約2万6,500件増加)。相談全体に占める65歳以上の割合は37.7%を占めている。
「商品一般」や定期購入に関するトラブル相談が最多
商品・役務等別の相談件数を見ていくと、最も多く寄せられたのは警察や実在する通信会社、宅配業者などさまざまな組織をかたった不審な電話や身に覚えのない請求を含む「商品一般」であり、4万1,391件に上った。次いで、「化粧品」が2万8,647件、「健康食品」が1万9,507件と続いている。これらは主に、定期購入に関するトラブルであり、1回のみのお試しで購入したつもりが定期購入の契約になっていたという相談が多く見受けられる。同日開催された記者説明会での記者からの質問に対して、国セン相談情報部、相談第1課の岩﨑直子課長は、「2回目が届き、初回とは違う高い値段で請求されて解約したいという相談が非常に目立っている」と説明した。
また、パソコンから突如警告音が鳴り、慌ててサポートセンターに問い合わせたところ遠隔操作されたといったサポート詐欺や、有料質問サイト、給湯器等の点検を含む「他の役務サービス」も1万3,767件と上位に食い込んでいる。さらに、通信事業者をかたり未納料金があるなどとして金銭を請求する「他の電報・固定電話サービス」や、分電盤等の交換工事に関連する「電気設備」「電気工事」に関する相談も増加傾向にある。
年齢層や販売購入形態による傾向の違い
年齢区分別に細かく分析すると、いずれの年齢層においても「商品一般」「化粧品」「健康食品」が上位を占める構造に大きな変化はない。しかし、85歳以上になると「インターネット接続回線」に関する相談の順位が下がる一方で、「電気設備」「新聞」「電気工事」に関する相談が上位に上がる。
販売購入形態別では、65歳未満の層では「通信販売」の割合が最も高くなるのに対し、高齢になるにつれてその傾向は変化。「訪問販売」「電話勧誘販売」「訪問購入」の割合は年齢層の上昇とともに高まる傾向にあり、85歳以上になると「通信販売」を抜いて「訪問販売」の割合が21.5%と最も高くなる。この背景として岩﨑課長は、「年齢が上がるにつれて在宅時間が長くなり、訪問による勧誘を受けやすい生活環境にあることが一因として挙げられる」と説明。また、インターネット通販を利用する高齢者層も徐々に増加しているものの、85歳以上においては依然として利用機会が少ないことも影響していると考えられるとしている。
契約購入金額および既支払金額の状況を比較すると、契約購入金額においては65歳以上で5万円未満が6割以上を占めており、平均契約購入金額は65歳未満が約94万円であるのに対し、65歳以上は約73万円となっている。その一方で、平均既支払金額については65歳未満が約50万円、65歳以上が約51万円とほぼ同額水準となった。
販売方法や手口別の集計では、インターネット通販や定期購入のほか、65歳以上特有の傾向として「点検商法」「テレビショッピング」「適合性」に関する相談が上位10位以内にランクインしている。
既報のとおり、国センは、全国の消費生活センターなどが2025年度に受け付け、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に登録された消費生活相談の状況を公表している。それによると、相談件数は100万6,377件となり、24年度の91万3,355件から約9万件増加。契約当事者の年代別では、70歳以上が25.6%を占め、依然として最も高い割合となった。さらに契約当事者の年代別に相談者の内訳をみると、契約当事者が20歳代以下や70歳以上の場合、本人とは別の人が相談する割合が高くなる傾向にある。販売購入形態別では、「通信販売」が全体の38.0%を占め、最も高い割合を記録。このうち、契約当事者の年代別でみると、「訪問購入」「訪問販売」「電話勧誘販売」「ネガティブ・オプション」「店舗購入」「通信販売」で 70 歳以上の割合が最も高く、「訪問購入」では 55.9%を占めている。
国センからの呼びかけ
国センでは、消費生活において少しでも不安や疑問を感じた場合には、1人で抱え込まずに早めに家族や知人、あるいは最寄りの消費生活センター等へ相談するよう強く呼びかけている。さらに、「身近な高齢者を消費者トラブルから守るために」として、不審な人物の出入りや普段と異なる困った様子がないかなど、日頃から生活や言動、態度に目を配り、周囲の人が小さな変化にいち早く気付く見守りが極めて重要であるとしている。消費生活センター等への相談は、家族だけでなくホームヘルパーや地域包括支援センターなどの職員からも行うことができるため、異変に気づいた際は速やかな対応を取るよう求めている。
(藤田 勇一)
(冒頭の写真:記者説明会で説明する相談情報部、相談第1課の岩﨑直子課長)
関連資料はこちら(国民生活センターホームページ)

