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紅麹回収めぐり、説明義務で対立 薫製倶楽部と小林製薬が初弁論、過去の和解も争点に

 小林製薬㈱(大阪市中央区、豊田賀一社長)の紅麹関連製品を巡る問題で、食品用紅麹原料を使用していた㈱薫製倶楽部(岡山県早島町、森雅昭社長)が、小林製薬と小林製薬バリューサポート㈱を相手取って提起した損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が22日、大阪地方裁判所で開かれた。原告側は代理人を付けない本人訴訟、被告側は代理人2人が出席した。15人近い関係者が傍聴席を埋める中、第1回口頭弁論が始まった。

 被告側は、食品用原料とサプリメント用原料が異なる製品であることを認めた一方、原告への回収要請は健康被害の拡大を防止するための予防的措置だったと主張した。原告側は、菌株や製法の違いなど、回収の要否を判断するために必要な情報が伝えられなかったとして、説明義務違反を訴えている。

 事件番号は令和8年(ワ)第9047号。原告は不法行為に基づく損害賠償として、主位的に3,690万円、予備的に1億円を請求している。閉廷後、森社長は大阪市内で記者会見を開き、食品用紅麹原料とサプリメント用原料の違いを説明した。

小林製薬、特定事項の不告知認める

 10月15日付の被告側答弁書によると、小林製薬側は、2024年3月22日に小林製薬バリューサポートの担当者が薫製倶楽部にFAXと電話で紅麹原料の回収を依頼したこと、食品用紅麹原料「5P-D」を回収依頼の対象から除外しなかったことを認めている。また、5P-Dからプベルル酸が検出されなかったことも認めた。
 さらに、訴状で原告が指摘した特定の事項を告知していなかったことについても認めている。ただし、説明義務違反が成立するとの原告の主張は否認し、争う姿勢を示している。

 被告側は答弁書で、小林製薬が回収依頼の当初から、自社の「紅麹コレステヘルプ」などに使用された紅麹原料と、企業向けに販売していた紅麹原料を区別していたと説明。企業向け原料についても、サプリメント用と食品用を区別していたとしている。
 その上で、回収依頼が健康被害拡大防止のための予防的措置であることを原告に説明していたと反論した。

 それに対して森氏は、閉廷後の記者会見(=写真)で、小林製薬が原料の菌株や製造方法の違いを説明せずに回収を求めたことを問題視した。森氏によると、当初、同社と管轄する岡山県の保健所は自主回収の必要はないと判断していたという。回収するかどうかを決めるのは製造者であり、その判断に必要な情報を原料供給者が提供しなかったのは問題だと主張している。

 小林製薬が24年3月28日に厚生労働省の調査会へ提出した資料では、紅麹原料が「菌種A」と「菌種B」に区分されている。薫製倶楽部が使用していた5P-Dは菌種Bに分類され、保管期限3年以内の37ロットについて、「成分X」は検出されなかったとされる。

研究への従業員関与も認める

 今回提出された答弁書では、紅麹関連の原因究明研究への小林製薬の関与についても、具体的な認否が示された。

 被告側は、厚労省が開示したラットを用いた7日間反復経口投与毒性試験について、試験期間の開始日が24年3月29日であることを認めた。

 この試験の最終報告書によると、試験期間は同年3月29日から6月25日まで。試験委託者は小林製薬で、被験物質のBK1、BK2、プベルル酸(PA)の供給者も同社と記載されている。
 また被告側は、24年に学術誌『Journal of Natural Medicines』で発表された田中らの論文について、小林製薬の従業員が共著者となっていることも認めた。
 同論文は、紅麹関連製品から検出された意図しない成分について分析した研究。著者には国立医薬品食品衛生研究所の研究者のほか、小林製薬中央研究所の関係者が含まれている。

 森氏は記者会見で、厚労省が24年9月18日に公表した研究成果と、製造企業が試験や論文に関与していた事実との関係を問題視。行政判断に用いられた研究の独立性について、検証が必要だと訴えた。

「食経験」の問題も提起

 森氏(=写真)は会見で、紅麹菌の工業的な改良株と、伝統的な食品用紅麹との違いについても説明した。

 小林製薬の研究者による総説やグンゼの特許公報などを示し、紅麹菌の変異株「NITE BP-412株」、43日間の固体培養、抽出・精製工程の有無、モナコリンK含量、継続摂取という5つの観点から、伝統的な紅麹と同じ食経験があると評価できるのか疑問を呈した。
 ただし、森氏は、この「食経験」の当否そのものは今回の訴訟の請求原因には含まれていないと説明。食品用紅麹を使用してきた事業者としての問題提起であるとした。

 同社では、紅麹をハム・ソーセージの旨味やコクを引き出すために使用してきた。森氏によると、紅麹を使った製品の取扱店舗は、問題発生前の約400店から約200店に減少。取引先から、紅麹を使用していることや厚労省の企業名一覧に掲載されたことを理由に取引を断られた事例もあったという。

求釈明に応じず、次回11月30日

 口頭弁論では、原告の訴状や準備書面、被告側の答弁書と10月15日付準備書面が陳述された。
 被告側は、過去の和解合意により今回の請求も清算済みだと主張。原告側は、今回の請求は和解の対象外だと反論した。裁判所による争点整理では、原告が詐欺や錯誤を理由とする和解の取消しを主張しない点も確認された。
 和解合意の具体的内容については、森氏が閉廷後の記者会見で回答を控えている。

 また、原告は同日、被告側に対する求釈明申立書を提出した。森氏によると、「紅麹コレステヘルプ」にNITE BP-412株が使用されていたか、薫製倶楽部が使用していた5P-Dと同一の菌株なのかについて認否を求めたが、被告側は回答の必要性を認めず、応じない意向を示した。

 原告の反論書面提出期限は11月12日。次回の第2回口頭弁論は同30日午後1時30分から大阪地裁で開かれる予定。原告は出廷するが、被告側はWEB参加を申し出た。

 記者会見の模様については後日、YouTubeチャンネル「ウェルネスデイリーニュース」で収録動画を公開予定。

【田代 宏】

(冒頭サムネイルの背景は大阪地方裁判所)

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