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消費者庁国賠、岡山地裁で初弁論 公文書の食い違い争点、国側は請求棄却求める

 小林製薬の紅麹関連製品を巡る問題で、㈱薫製倶楽部(岡山県早島町、森雅昭社長)が国(消費者庁)を相手取り提起した国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論がきのう15日、岡山地方裁判所207号法廷で開かれた。
 事件番号は令和8年(ワ)第849号。請求額は1円で、森氏は弁護士を立てない本人訴訟として提起している。

 原告が問題視しているのは、消費者庁が紅麹サプリ問題で「プベルル酸」という用語を使って消費者向けに情報発信した根拠と、その依拠先とされた厚生労働省の公文書上の説明との整合性である。

 森氏は編集部に対し、「消費者に向けて『プベルル酸』を発信した判断は、誰が、何に基づいて行ったのか」を問う訴訟だと説明。請求額を1円とした理由について、「賠償金ではなく、法廷の場で国に説明してもらうことが目的」としている。

消費者庁「厚労省資料を配布・引用」

 訴状によると、薫製倶楽部は今年3月23日、消費者庁の消費者安全課、食品衛生基準審査課、食品表示課の3課に対し、「プベルル酸」という用語を使って消費者向けに情報発信するに至った意思決定過程に関する行政文書を開示請求した。

 これに対し消費者庁は4月20日と21日、同用語を用いた部分について、厚労省から提出された資料を配布したものか、厚労省の配布資料などから引用したものだったと説明。消費者庁として、その用語を用いるに至った意思決定過程に関する行政文書を作成、取得していないとして不開示決定を行った。

 森氏が書証として提出した消費者庁の不開示決定通知書には、「厚生労働省から提出のあった資料を配布したもの又は厚生労働省の配布資料等から引用したもの」と記載されている。

厚労省、別件訴訟で反論

 薫製倶楽部が厚労省に対して行った別の情報公開請求では、厚労省は今年4月22日付の不開示決定通知書で、2024年の紅麹関連事案において「プベルル酸」を原因物質として位置付け、公表した事実はないと回答。該当する意思決定過程に関する文書について、作成、取得した事実はなく、実際に保有していないとしている。

 薫製倶楽部は、消費者庁が厚労省資料を基にプベルル酸に関する情報を発信したと説明しているにもかかわらず、当の厚労省が「原因物質として位置付け、公表した事実はない」と回答していることから、公文書上の説明が食い違っていると主張している。

 ただ、国は薫製倶楽部が別途提起した厚労省関連の国家賠償請求訴訟(岡山地裁、令和8年(ワ)第448号)で、8月4日付の第1準備書面を提出し、この点について反論している。

 準備書面で国は、厚労省が24年5月28日にプベルル酸の腎毒性を動物実験で確認したと公表したことを認めた上で、それは小林製薬の紅麹関連食品による健康被害の原因物質がプベルル酸であるとしたものではないと説明。また、企業名公表が行われた同年3月28日より後の研究結果であり、企業名公表と同時にプベルル酸が原因物質であると一般社会に受け取らせる情報発信をしたとする原告の主張は事実誤認だと反論している。

 一方、国は同書面で、消費者庁が紅麹関連製品による健康被害の原因物質がプベルル酸であるかどうかについて、科学的な検証を行っていないことも認めている。

 これに対して薫製倶楽部は、厚労省が24年9月18日に公表した資料でも、プベルル酸が腎障害を引き起こすことを動物実験で確認したと説明している点などを問題視。今年10月8日の厚労省関連訴訟の第3回口頭弁論で、国がプベルル酸を健康被害の原因物質と主張するのか否か、改めて立場を明らかにするよう求める求釈明申立書を提出した。

 同申立書では、国が原因物質と主張する場合には、紅麹原料や製品への含有、プベルル酸の同定を裏付ける証拠の提出を要求。主張しない場合には、これまでの公表を現在どのように位置付けているのか、訂正・撤回の有無とその理由について説明を求めている。

 森氏は5月以降、こうした公文書上の説明の違いについて消費者庁に説明を求めてきたが、実質的な説明や訂正が行われなかったとしている。今回の消費者庁関連訴訟では、具体的な問題を指摘された後も、同庁が確認、検証や必要な是正措置を講じなかったことが、国家賠償法上の注意義務違反に当たると主張している。

消費者庁訴訟、国側の反論は後日

 これに対し国側は、10月8日付の答弁書で、原告の請求を棄却し、訴訟費用を原告の負担とするよう求めた。
 ただ、訴状に記載された事実関係に対する認否や具体的な主張については、「追って提出する準備書面により明らかにする」としており、今回の答弁書では踏み込んでいない。

 今回の訴訟では、消費者庁が厚労省の資料をどのように情報発信に用いたのか、また、原告が指摘する公文書上の説明の違いについて、消費者庁としてどのような確認や対応を行う必要があったのかが争われる。

 被告は12月10日までに主張書面を提出する。次回期日は同18日午前11時30分から、岡山地裁351号法廷で行われる予定。

【田代 宏】

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