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時代を読み、事業で応える 太陽化学、グローバルに戦える機能性素材をつくる

 水溶性食物繊維、緑茶抽出物、L-テアニンなど機能性食品素材の研究開発から製造販売までを手がける太陽化学㈱(三重県四日市市)。BtoB(対事業者)の素材事業をグローバルに展開する同社からは、サプリメントを取り巻く時代や環境の変化がどう見えているのか。また、それに事業でどう対応しているのだろうか。2025年5月、執行役員およびニュートリション事業部長に就いた木村圭介氏に聞いた。

欧米とのコンセンサスで素材を開発

──ニュートリション事業の2025年3月期の売上高は約151億円。前期比は約27%増と大幅な増収です。好調の要因は?
木村 海外売上が非常に好調だったためです。為替の影響もあります。当社のニュートリション事業の売上構成比率は海外が半分以上を占めます。主力の「サンファイバー」(水溶性食物繊維=グアーガム分解物)も、国内での販売量は全体の3分の1程度です。もともとグローバルで戦っていける素材を開発するという会社方針もあって、現在の主戦場は欧米、特に米国となっています。アジアについては、日本は機能性表示食品制度を追い風に好調に推移しています。一方、その他の国に関しては、まだまだこれから開拓していく段階です。今はインドでの販売も伸長してきております。インドは、ベジタリアンが多いためか、鉄を補給できるミネラル製剤が非常に伸びています。

──日本を含むアジアが伸びしろになりそうです。
木村 「米国のトレンドは10年遅れて日本にやってくる」などと以前は頻繁に言われていました。ただ、SNSが普及したり、どこでも情報が取れたりする今は、そのスピード感も速まっているはずです。
 そのため、販売・営業拠点を置いている欧米と日本の両市場のトレンドを常に把握するようにしていますし、新しい素材を開発する際や、開発素材でクリニカルスタディ(臨床試験)を実施するという場合でも、欧米と日本の間で必ずコンセンサスを取るようにしています。「サンファイバー」は今、機能性表示食品に対応できる素材として、9つほどのヘルスクレーム(機能性表示)が可能になっています。これも欧米と連携しながらエビデンス(科学的な根拠)を取得していきました。

 独りよがりな研究開発をしてしまうと、日本ではニーズがなかった、あるいは逆に欧米では通用しなかったということにもなりかねません。文化も違うので思いどおりにならないことも少なくありませんが、欧米と日本、それぞれの消費者ニーズに同時に応えられるような素材を提案していきたいと思っていますし、大きな投資を無駄にしないようにするためにも、今は特にそこを意識した研究開発を行っています。

──今、欧米と日本の両方でニーズがありそうな機能性の領域は何だと思いますか。
木村 私たちは「血管の健康」に注目しています。ヘスペレチン-7-グルコシドという機能性関与成分で「血管のしなやかさの維持」という機能を表示する機能性表示食品の届出が最近公開されましたが、これは当社グループ(会社のタイヨーラボ)が届け出たものです。当社の技術を活用し、もともと吸収性の低いヘスペリジンを大幅に高吸収化した素材を開発しました。血管の健康は米国でも需要が高いことを確かめていますので、追加の臨床試験などの検討も含めて取り組みを進めています。

 先ほど申し上げたとおり、私たちのニュートリション事業には追い風が吹いていると感じます。ただ、動きが好調なのは以前開発した素材が中心で、新製品を思うように伸ばせていません。そこが残念です。ただ、われわれのようなメーカーは、新しい素材や特徴のある素材を出していかないと勝ち残っていけない。そのため、当社独自の「NDS(Nutrition Delivery System)」などの技術によって特徴を出せる素材の研究開発に力を入れています。そうしたことからも、健康寿命を考える上で重要になる血管の健康をターゲットにして開発した新製品(ヘスペレチン-7-グルコシド製剤)は、次の主軸になるよう育てていきたいと考えています。

──太陽化学の機能性食品素材(原材料)の生産拠点は国内をはじめ中国とインドにあります。原材料の品質の在り方も問われた紅麹サプリ事案をどう受け止めましたか。
木村 原材料の安全性や品質に対する意識が業界全体で変わってきたように感じています。私自身、全容は未だ分かりませんが、あれだけのことが起きたのですから「怖いな」とあらためて感じました。当社としても、品質保証部主導でニュートリションに限らず事業部横断的に品質管理・保証の体制を再確認しました。

 特に当社は、グループのタイヨーラボが一般消費者向けの商品を販売していたり、最終商品のODM(相手先ブランドによる開発・製造)を行う工場(Intelligent Design & Technology=IDT工場)を2023年に竣工したりしていますので、そのような製品に使用する原材料のうち、当社が製造するもの以外の選定についても見直しました。原材料がしっかりしていないと、最終製品の安全性も、有効性も、ぶれてしまいます。

安全性と品質基準はぶらさない

──サプリメントに使用する原材料にもGMP(適正製造規範)を義務付けるべきだという意見があります。どう考えますか?
木村 いずれ、それが必要になるのだろうなとは感じていますが、私たちが製造販売する素材にせよ、最終商品のために外部から調達する素材にせよ、相応の基準をもって品質管理・保証を行っています。当社の国内外の工場はSQFやFSSC22000の認証を取得していますし、外部から調達する原材料に関しては、製造元に一定の認証を求めたり、工場査察を行ったりしています。ですから、将来的に原材料にもGMPが義務化されるのだとしても、今の体制を大きく変えなければならないということはないと考えています。ただ、業界全体にとっては厳しい規制になるのではないでしょうか。そこを懸念しています。

──BtoBの素材メーカーとして、その先にいる消費者をどのように捉えていますか。
木村 消費者をどう捉えているかという点では、当社は「世界の人々の健康と豊かな生活文化に貢献する」を企業理念としています。ですから、健康を実現できる手段を消費者に届けたい。薬を必要とする手前の段階で、健康の維持・増進に役立つ素材を世界の消費者に届けたいということ。そのためには、当社の軸がぶれてはならないと思います。

──太陽化学のニュートリション事業の軸とは何でしょうか。
木村 まずはしっかりしたエビデンス(科学的な根拠)です。クリニカルスタディ(臨床試験)で有効性が確認されたものを提供すること。加えて、体感性もそうです。「サンファイバー」など当社の主力製品が長く販売できているのは、やはり実感できるからだと思います。そのうえで独自性も。コモディティではない独自の素材、特徴のある素材であることも重要です。ニッチだとしても、コモディティでなければ十分に大きな消費者ニーズと市場が見込めますから、そうしたところを狙った素材の研究開発を行い、グローバルに広げていきたいと思っています。

 もちろん、安全性試験もしっかりやらないといけない。先ほど申し上げたとおり、私たちニュートリション事業部の主戦場の1つは米国です。ですから、当社の素材は、米国でGRAS(Generally Recognized As Safe=一般に安全とみなされる物質)のステータスを得られるレベルの安全性データを取得することを一つの基準にしています。そこは確実に取り組み、まずは安全なものを提供すること。安全性試験は大きなコストを要しますが、何かあってからでは遅いのですから、今後もその軸がぶれることのないようにしたいと思っています。

──軸の1つであるエビデンスは消費者に届いていると思いますか。
木村 そこは課題かもしれません。日本の機能性表示食品では、SR(システマティックレビュー)をエビデンスとする場合、機能性表示文言を「~と報告されています」に一律とすることが規定されています。そのため、繰り返し試験が行われて確認された機能であっても、1つの試験に基づく機能であっても、消費者から見れば同じ機能性表示になってしまいます。そうなると、結局、同じ機能性関与成分であれば同じ機能性表示を行えてしまいますから、価格競争に陥りやすい。これはわれわれ素材メーカーにとって非常に苦しいことです。

 米国はちょっと事情が違います。米国の(最終製品)販売会社や(原材料の販売)代理店には学術の専門家がいて、素材を採用するかどうかを判断する際にエビデンスの質をしっかり精査しています。データが弱いと判断されると「これでは難しい」と率直に言ってきます。日本と米国にはそうした違いもあるのです。

──ありがとうございました。

【聞き手・文=石川太郎、取材日=2月19日】

【プロフィール】木村圭介(きむら・けいすけ)2006年4月、太陽化学入社。海外統括部ASEAN営業担当(タイ駐在)、ニュートリション事業部統括部門長などを経て、25年5月より現職。

(Wellness Weekly Report93号」2026年3月10日号より転載、一部加筆)

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