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ダイエタリーサプリメント制度の実像 【寄稿】なぜ米国民の健康インフラとして育てられたのか

 ㈱ウェルネスニュースグループが発行する『ウェルネスマンスリーレポート』最新号(2026年6月号)の特集「サプリの定義、どう考える?」の対談企画で、1994年に世界で初めてサプリメントに法的根拠を与えた米国のダイエタリーサプリメント健康教育法(DSHEA)の制定背景などを解説した、㈱グローバルニュートリショングループ代表の武田猛氏による寄稿をお届けする。日本でもサプリメントに関する制度が立ち上げられようとしている中で、先行事例から学ぶべきことがあるのではないか。全6回。【編集部】

【武田猛・グローバルニュートリショングループ代表】

 日本におけるサプリメントを巡る議論は、近年、大きな転換点を迎えている。

 機能性表示食品制度の普及、健康被害問題、GMP(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)義務化議論、グミ型サプリメントの拡大、さらには「食品」と「医薬品」の境界を巡る議論など、制度・市場・社会認識のあらゆる側面で再整理が求められている。

 その一方で、日本の議論には1つの特徴がある。

 それは、「サプリメントとは何か」を巡る議論が、しばしば
・食品か医薬品か
・どこまで規制するか
・安全性をどう担保するか
・GMPを義務化するか
といった「境界管理」の問題として整理されやすいことである。

 もちろん、これらは重要な論点である。特に健康被害問題や品質管理は、消費者保護の観点から避けて通ることはできない。

 しかし、その一方で、現在の日本では、
「なぜ現代社会においてサプリメントがこれほど大きな存在になったのか」
「国家として、食・栄養・セルフケア・状態管理をどのように位置づけるのか」
という、より本質的な議論が十分に共有されているとは言い難い。

 この点を考える上で、米国のDSHEA(Dietary Supplement Health and Education Act:ダイエタリーサプリメント健康教育法)の歴史は、極めて示唆に富んでいる。

 DSHEAは、日本ではしばしば「米国におけるサプリメント自由化法」あるいは「規制緩和法」として語られることが多い。しかし実際には、DSHEA成立後の米国では、
・NIH(National Institutes of Health:米国国立衛生研究所)によるODS(Office of Dietary Supplements:ダイエタリーサプリメント局)の設立
・国家予算による研究支援
・消費者向け情報整備
・医療関係者向け教育
・安全性監視
・FDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)による制度運用
・近年のModernization(現代化)議論
などが、30年以上にわたり継続的に積み上げられてきた。

 つまり米国では、DSHEA成立後、「市場へ任せた」のではなく、研究・情報・安全性・規制運用を含めた“社会基盤”そのものを形成してきたのである。

 本レポートの目的は、DSHEAの是非や、米国制度を単純に評価することではない。

 また、日本へ特定の制度や思想をそのまま導入すべきだと主張するものでもない。

 本レポートは、DSHEA成立以降、米国において、
・NIH ODS
・FDA Office of Dietary Supplement Programs(ODSP)
・国家研究投資
・消費者教育
・安全性監視
・制度運用
などが、どのように構築されてきたのかを、一次情報を基に整理し、その「全体構造」を可視化することを目的としている。

 多くの場合、DSHEAは「法律」としてのみ語られる。しかし実際には、その後の30年間を含めて見なければ、米国のダイエタリーサプリメント制度の実像は理解できない。

 本レポートでは、DSHEA成立時の議会認定事項(Findings)、NIH ODSの5か年計画、FDA ODSPの役割などを整理しながら、米国がダイエタリーサプリメントをどのように位置づけ、どのような国家基盤を形成してきたのかを俯瞰的に考察する。

(次回に続く)

【プロフィール】武田猛(たけだ・たけし):アピ㈱、サニーヘルス㈱を経て2004年、㈱グローバルニュートリショングループ設立。国内企業の新規事業の立ち上げ、新商品開発、マーケティング戦略立案などのコンサルティングや海外市場進出の支援、海外企業の日本市場参入の支援を行う。

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