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菌のリレーで腸内環境の土台を整える 【時代を読み、事業で応える】情報に流されない本質的なアプローチ

Alataka(合同) 代表 坪川郁代 氏

 サプリメントや健康食品が溢れる現代、消費者はどの情報を信じるべきか迷走している。特に「腸活」市場は特定の菌の摂取に偏り、腸内環境という複雑なシステムの本質を見失いがちだ。こうした中、2023年3月に設立された同社は、菌そのものではなく菌が育つ「土台」を整える独自の哲学を掲げる。時代を読み解く視点と、事業を通じて消費者の実感にどう応えるのか、その戦略を聞いた。

従来の腸活への問題提起と「土台作り」という新提案

――2025年3月という、超高齢社会の進展や健康意識の激変が続くタイミングでAlataka(アラタカ)を設立されました。なぜ今、既存の菌ケアとは異なるアプローチが必要だと判断されたのでしょうか。
坪川 起業の原点は、20数年前から長年私を苦しめた原因不明の体調不良でした。既存の医療や習慣では改善せず、自身で専門書や論文を読み解きながら研究を重ねた結果、腸壁が薄くなる「リーキーガット」が不調の根源であると突き止めました。これを機に、さまざまな不調の鍵は腸内環境にあると確信。日本の医療現場でも解決策が見つからず悩む方々の力になりたいという一心で、研究成果を形にするための開発と起業を決意しました。
 
 しかし、現在の「腸活」市場は、生理学的な視点よりもマーケティングによる情報が常識化していると感じています。テレビやSNSで「この菌がダイエットに良い」、「この乳酸菌が免疫を上げる」と話題になれば、消費者はその特定の菌だけを一生懸命取ろうとします。確かに2~30年前の研究では、単体の菌を摂取することで、その菌自体が腸内環境に直接良い効果をもたらしてくれるという考え方が主流でした。腸内環境は、数百種類、数百兆個という多種多様な菌が相互に作用し、1つの生態系(フローラ)を形成している非常に複雑なシステムです。単一の菌を外部から流し込むだけで解決するほど、単純なものではありません。

 現代の消費者は、溢れかえる情報の中で完全に「迷子」になっています。市場で定着している 固定概念と、日進月歩で明らかになる人体のメカニズムの間に乖離が生じているように感じています。私がこの時期にAlatakaを設立したのは、マーケティングの潮流を超えて、消費者が自分自身の体の声に耳を傾け、本質的な選択ができるための「道しるべ」を作りたいと考えたからです。

 私たちが提唱するのは、菌そのものを外から補う前に、菌が活動しやすい「住処(すみか)」、すなわち腸の「土台」を整えるということです。農業に例えるなら、どんなに優れた種(菌)を蒔いても、土壌(腸内環境)がカチカチに固まっていたり、汚染されていたりすれば、豊かな実りは期待できません。最新の研究では、腸内細菌が食物繊維をリレーのようにバトンをつなぎながら代謝し、最終的に「短鎖脂肪酸」などの有用物質を生み出すプロセス、いわば「菌のリレー」が健康維持の鍵を握っていることが分かっています。この土台が崩れている状態で、外から単体の菌を補っても、その効果は限定的で一時的なものに終わってしまうのです。

――貴社が掲げる「菌のリレー(菌を取り、育て、繋ぐ)」というコンセプトは、市場に一石を投じています。この独自の循環メカニズムは、現代人の健康課題にどう応えていくのでしょうか。
坪川 「菌のリレー」とは、腸をシステムとして捉えています。多様な菌をバランスよく摂取し、それらの菌のエサとなる良質な食物繊維を同時に取り入れることで、腸内で有用な代謝物を継続的に産出させる一連のサイクルを指します。
 現代人の食生活は、一見豊かですが、その裏側で腸壁に微細な穴が開く「リーキーガット(腸漏れ)」を引き起こす要因に満ちています。過度な農薬、不自然な食品添加物、精製されすぎた糖質などは、知らず知らずのうちに私たちの腸の土台を蝕んでいます。これがアレルギー、慢性的な疲労感、さらにはメンタル面での不調を招く原因となる可能性があります。私自身、今から20年前に原因不明の深刻な体調不良に苦しんだ経験がありますが、あらゆる健康法を試した末に辿り着いたのが、この「腸の土台の崩壊」という根本原因でした。

 私たちのフラッグシップ製品である『菌の玉手箱』は、この「菌のリレー」を製品1つで完結させるために設計されました。特定の菌に特化するのではなく、39種類、32兆個という圧倒的な多様性と菌数を誇ります。ここに、グアーガム分解物などの厳選された発酵性食物繊維、そして菌が発酵を終えた後の有効成分そのものである「乳酸菌生産物質」を贅沢に組み合わせています。
 これにより、もともと自分の体内に住んでいる「常在菌」を活性化させつつ、新しく摂取した菌がそれらと共鳴し、健康の要である「短鎖脂肪酸」を効率的に生み出す環境を目指します。腸の土台が整えば、自然と代謝が上がり、細胞レベルで若々しく、心と体の調和がとれた状態へと導かれると考えています。そして、結果的に消費者の方々に実感として喜んでいただけるのではないかと考えております。

妥協のない素材選定、対話を通じた価値の共有

――製品設計において、無添加や非遺伝子組み換え(Non-GMO)へのこだわりが極めて強いですね。製造コストや効率との兼ね合いをどう考えていらっしゃいますか。
坪川 私たちの製品開発の根底にあるのは、菌の棲み処である腸の環境づくりを重要視しているということです。いくら体に良い食品を食べていたとしても、同時に腸を荒らすものを食べていては意味がありません。そのため弊社では、遺伝子組み換えと判断された原料や、製造工程で化学溶剤を用いて製造された原料、合成香料や着色料等を使用しないことに注意しました。

 一般的に、チュアブルタブレットやカプセルを成形しやすくするための「賦形剤」として、多くの添加物が使われますが、私たちはそれらを極限まで削ぎ落とし、成分のほとんどを有効成分で構成することにこだわりました。
 正直に申し上げて、この基準を貫くのは並大抵のことではありません。当然製造コストも跳ね上がります。また、そもそも基準を満たす原料を探すことにも苦労しました。また、私たち発注側が、原料がどこでどう作られ、どんな溶剤が使われているのかという「裏側」の知識を持たなければ、消費者に100%自信を持って薦められる製品は作れません。知識こそが最大の防御であり、誠実さの証です。原価率が高くなり、ビジネスとしての効率は悪くなったとしても、まずは「本物」を世に出し、共感してくれる方に届ける。その信頼の積み重ねこそが、長期的な事業の安定につながると考えています。

――販売戦略においても、テレビCMなどの大規模な広告投資を避けた、非常にユニークなアプローチを取られています。今後の展望についてお聞かせください。
坪川 私たちは、ドラッグストアの棚で大手企業の誰もが知る製品と、成分や価格の違いを競うつもりはありません。そこは有名人による宣伝や、広告による認知の強さが支配する場所であり、私たちが大切にしている「なぜこの成分が必要なのか」という本質的な対話が難しい場所だからです。

 私たちの販路は、現在「信頼のコミュニティ」を軸に広がっています。具体的には、患者の不調の根本原因を探る志の高い医師やクリニック、地域住民の健康相談に真摯に応える調剤薬局、そしてライフスタイルそのものを提案する感度の高いバラエティショップです。これらの場所では、専門家やスタッフが、製品の背景にある「土台作り」の重要性を直接消費者に伝えてくれます。この「伝言の質」こそが、Alatakaのブランド価値を守る生命線です。
 SNSでの情報発信においても、単に「痩せる」、「綺麗になる」といった刺激的な言葉で煽るのではなく、情報の出所(サイエンス)を明確にし、時には専門的で難しい内容であっても噛み砕いて誠実に伝えることを徹底しています。消費者は、表面的な訴求や虚飾ではなく、より本質的な選択を求めているように感じています。だからこそ、誠実に語るブランドが最終的に選ばれる時代になると信じています。

 今後は、菌の状態を可視化し、1人ひとりに最適なアプローチを提案するパーソナライズ化の研究や、さらに希少性の高い有用成分の自社開発にも着手していく予定です。Alatakaは単なる物売りの会社ではありません。「人は食べたもので作られている(You are what you eat)」という古くて新しい真理を、現代の科学の力で再構築し、食を通じて「生き方」を提案する存在でありたい。私たちの思いに共鳴し、共にこの「菌のリレー」という新しい文化を創り上げていけるパートナーとの出会いを心から楽しみにしています。

――ありがとうございました。


【聞き手・文:藤田勇一】

(月刊誌「Wellness Weekly Report93号」(2026年3月10日刊)より転載、取材日:2月16日)

【プロフィール】坪川郁代(つぼかわ・いくよ): 大学で情報ネットワークを学び、SIerのSEとして勤務。しかし、体調不良を機に健康産業へ転身。入浴剤や化粧品、健康食品などの営業や企画、商品開発に従事。自身の経験から、心身の健康を支える根幹は「腸」にあると確信し、起業を決意し、現在に至る。

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