しげよし、補助金取消しの謎 前期はサ推協、後期・24年度はTOPPAN
仕出し弁当のフランチャイズ(FC)「仕出し割烹しげよし」を展開する㈱寿美家和久(三重県津市、小清水丈久社長)が、「IT導入補助金」のIT導入支援事業者として登録を取り消されていた問題で、2023年度前期までと同年度後期以降について、それぞれ事務局から登録取消しの措置を受けていたことが、ウェルネスデイリーニュースの取材で分かった。
2023年度前期まで事務局を務めた(一社)サービスデザイン推進協議会(サ推協)は、同会が運営した期間について寿美家和久の登録を取り消したと回答。
23年度後期以降の事務局を務めるTOPPAN㈱も、23年度後期と24年度の登録を取り消し、25年6月18日に公表していた。
ただ、両者の取消しが同一の事案を根拠としたものなのか、それぞれの運営期間に別の事案が確認されたのかは明らかになっていない。編集部はTOPPANに事実関係を問い合わせている。
前期までの措置、サ推協が認める
IT導入補助金を巡っては、2023年7月31日までの23年度前期までサ推協が事務局を務め、同年8月1日に受付を開始した第5次締切分からTOPPANが23年度後期の事務局を担当した。24年度以降もTOPPANが事務局を務めている。
サ推協は編集部の取材に対し、寿美家和久について、「申請手続きや実績報告等において、制度ルールに適合しない行為」が確認されたとして、IT導入支援事業者の登録を取り消したと説明。ホームページには6月2日付で公表している。

編集部が8月31日、サ推協に対し、この取り消しが同会の運営していた23年度前期までの事業における措置との理解でよいか改めて確認したところ、「ご理解の通り、当会が運営した事業(2023年度前期まで)における措置です」と回答した。
ただし、具体的にどのような行為が制度ルールに適合しなかったのか、登録取消しが決定された正確な時期については明らかにしていない。
23年度後期と24年度も登録取消し
これとは別に2023年8月1日以降、TOPPANが事務局を務める23年度後期と24年度についても、寿美家和久の登録が取り消されていた。
TOPPANが公表した資料には、寿美家和久について、法人番号、社名、代表者名などとともに、登録年度として「IT導入補助金2023後期」、「IT導入補助金2024」と記載されている。公表日は25年6月18日となっている。

編集部が8月31日、TOPPANに電話取材したところ、担当者は、23年度後期と24年度に寿美家和久がIT導入支援事業者として登録されていたこと、その両年度の登録が取り消されたことを認めた。
23年度については、第1次から第4次締切分までをサ推協が担当し、TOPPANは同年8月1日に受付を開始した第5次締切分から担当したという。
加盟店には6月20日にメール
さらに、あるしげよし加盟店には25年6月20日、IT導入補助金事務局から登録取消しに関するメールが送られていた。
編集部が入手したメールには、寿美家和久について「交付規程第8条5項に基づき、2023年度(後期)・2024年度における登録を取消し」と記載されていた。
メールでは、補助事業者側が不正・不適切な行為に関与していなかったかなどについて確認を求めており、実質的に補助事業者の自己負担額を減額・還元する行為や、時期や方法を問わず補助事業者に金銭等を還元する行為、いわゆるキャッシュバックなどを例示していた。
このメールについてTOPPANに確認したところ、担当者は同社が運営する事務局から送信したものであることを認めた。
サ推協も編集部に対し、このメールについて「当会から送付したものではない」と回答している。
「2店舗」の説明、寿美家和久側から
こうしたなか、寿美家和久側が加盟店などに行ったとみられる説明では、具体的な2店舗の名前が挙げられていた。
編集部が入手した「IT導入補助金に関するご報告と対応のお願い(重要)」と題する文書には、寿美家和久のIT導入支援事業者としての登録が取り消されたことや、同社を通じて補助金を申請・採択された一部店舗に「自主返納」の要請があった旨が記載されている。
その上で、千葉県内のN店と神奈川県内のY店の2店舗については、「申請内容に明確な不正が認定されたものとされており」、補助金の返還を求められる可能性が高いと説明。他の店舗については、寿美家和久がIT導入支援事業者だったことを理由に一律に自主返納を求められているとし、各店舗について「不正受給等の事実が認定されたわけではございません」としている。
ただし、この「2店舗」という説明は寿美家和久側が加盟店に発信した時の説明であり、補助金事務局が公表したものではない。編集部のこれまでの取材でも、元関係者から同様に「2件」との説明を受けているが、事務局による確認は取れていない。
同じ事案か、別の事案か
ここで新たな疑問が生じる。
サ推協は、自らが運営した23年度前期までの事業について寿美家和久の登録を取り消したと回答している(2025年6月2日公表)。それとは別にTOPPANは、23年度後期と24年度について登録を取り消し、25年6月18日に公表した。
では、TOPPANによる23年度後期・24年度の登録取消しは、サ推協が23年度前期までに問題とした行為を受けた措置だったのか。それとも、23年8月1日以降、TOPPANが事務局を担当する期間に別の問題が確認されたのか。
また、登録取消しの背景となった案件は、寿美家和久側が説明していた2店舗だけだったのか、それ以外にもあったのか。
編集部は8月31日、TOPPANにこの2点を質問した。同社担当者は質問内容を確認した上で、社内で事実関係と回答の可否を確認するとしている。回答があり次第、続報する。

【田代 宏】

