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サプリの定義、私たちはこう考える 【特集:サプリの定義】業界団体・消費者団体・有識者、交差する多様な声

 業界団体、消費者団体、そして有識者らは、サプリメントの定義をどう考えるのか。また、消費者庁が提示したサプリの定義案をどう受け止めているのだろうか。対面での聞き取りや書面回答、アンケートで得られた見解や意見を以下にまとめる。とてもではないが一つには括れない多様な声が聞かれた。全4回シリーズの第3回。

機能性表示食品の拡充を サプリメント法の制定も

(公社)日本通信販売協会(JADMA)サプリメント部会

 日本におけるサプリメントは法的定義が存在せず、機能性表示ができるのは保健機能食品に限られているのが現状だ。諸外国では消費者の適切な選択を促す「表示・ルール(権利)」と、品質・安全性担保のための「GMP・健康被害報告(義務)」がセットで法的に規定されているが、日本は制度外販売や届出・許可制が混在している。この構造的な曖昧さが、消費者保護と産業育成の両面において課題となっている。

 業界構造において消費者に対する責任主体は「製造販売者」だが、製造の多くはOEM工場に委託されている。紅麹問題のような事態を防ぐための製造管理基準(GMP)については、機能性表示食品や特定保健用食品で義務化が進む一方、サプリメント業界全体ではすでに推奨基準が実装されている。この状況下でOEM工場に過度な規制を強いることは、サプライチェーンの崩壊やコスト増による製品価格の上昇を招き、消費者の負担増につながる恐れがある。

 今後のあり方として、まずは短期的なアプローチが必要だ。保健機能食品制度、特に機能性表示食品を拡充することが重要だと考える。現在、市場規模は保健機能食品より「その他のいわゆる健康食品」の方が大きく、この「いわゆる健康食品」を国の管理下にある制度へ取り込むことで、産業の健全な発展が期待できる。AI活用の推進や運用の迅速化を図り、事業者と消費者の利便性を高めることが急務だ。

 中長期的には「サプリメント法」の制定を目指すべきだと考える。濃縮や継続摂取といったサプリメントの特性に特化し、表示、公定GMP、健康被害報告、消費者教育を柱とした法整備を行うことで、虚偽誇大広告や製造管理、監視といった諸問題を一括して解決できる可能性がある。規制の強弱と表示の自由度というバランスを再構築する切り札として、業界内での議論を深め、研究を加速させる必要がある。

食品のカテゴリーの1つ 重要なのは目的と安全性

(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)

 サプリメントを含む健康食品の品質確保には、安全性、製品設計、製造管理、有効性、表示のすべてが重要だ。これらは単独で検討すべきではなく、商品形態、過剰摂取のリスク、機能性の表示を含めた全体的なルール作りが不可欠である。

 サプリメントのカテゴリーについては、食品の三次機能を訴求しているという理由だけで、医薬品と食品以外の区分を新たに設けるべきではない。あくまで食品のカテゴリーの1つと位置付けるべきだ。

 サプリメントの検討において重要なのは目的と安全性。現行の商品では、栄養機能食品や機能性表示食品、トクホの商品も多いが、これらに該当しない保健機能食品以外の製品も多数存在する。もし健康維持増進を目的とするなら、ヘルスクレームの表示や科学的根拠の定義が求められる。新開発食品調査部会が示した定義案、「・・・・栄養摂取又は生理機能の調節を補助する・・・・」の部分には、保健機能食品との関連が含まれており、又、過剰摂取への懸念も含まれており、当協会としても違和感はない。

 過剰摂取のリスクについては、形状に関わらず同様の考え方が適用される。特に濃縮・精製された原材料は、食経験の不足や過剰摂取のリスクが高まるため、「3.11通知」に基づく安全性点検を事業者が正しく行うことが重要だ。

 GMP義務化については方向性として妥当だが、国による審査体制や第三者認定の位置付けなど、制度の実効性確保に向けた行政との議論が必要だ。グミなどの形状であってもサプリメントの定義に該当すれば対象となるべきだが、現実的な経過措置期間の設置が求められる。

 また、紅麹問題の本質を鑑みると、最終製品だけでなく原材料の議論を深めるべきだ。原材料の安全性点検やGMPの考え方の導入は不可欠であり、業界団体だけでなく行政やメディアと連携した機運醸成が重要である。

規制対象の明確化に向けた制度設計と運用の重要性

(一社)日本栄養評議会(CRN JAPAN)

 サプリメントという名称自体を直ちに法令定義すべきとする立場ではないが、一方で日常的な概念を持ち込むためではなく、規制・管理・情報提供の対象範囲を合理的に区切る観点から制度上の整理は必要だと考える。2024年の紅麹関連事案を踏まえ、単に言葉が曖昧だったことではなく、形状・摂取態様・品質異常の察知可能性・過剰摂取リスク等の観点から、管理すべき食品を実態に即して整理することは重要だ。定義は、慎重な設計が不可欠であり、制度目的に応じて明確な範囲を示す必要がある。

 サプリメントはあくまで食品であり、医薬品ではない。一方で、一般食品の中でも、健康の維持・増進を期待して選択され、一定の摂取形態や製品特性を持つことから、制度上一定の整理が必要な食品群と捉えている。定義の検討にあたっては、剤形や機能訴求だけでなく、摂取形態や製品特性も重要となる。例えば、錠剤、カプセル剤等の剤形は、風味による異常の察知が難しく、ロット差や品質異常を消費者が感覚的に察知しにくいため、制度上の整理に関わる重要な要素だと考える。

 紅麹関連事案は、「定義が曖昧だったこと」が主因とは言い切れない。本質は、HACCP衛生管理上の危害要因の想定・管理、異常を感じ取りにくい形状、健康被害情報への対応の在り方にあったと感じる。一方で、事前に定義が整理されていれば、管理対象や必要な品質水準が明確になり、一部の被害拡大防止や制度対応の円滑化に資した可能性は十分ある。

 海外制度については、各国で位置付けが異なるため、単純な模倣ではなく、日本の供給実態や既存制度との整合性を踏まえた実効性のある制度設計が必要だ。最も懸念しているのは、定義を起点として、実態を超えた一律的・画一的な「過剰規制」へと広がることだ。本来重点化すべきリスクに対する管理の焦点が曖昧になり、制度の実効性が損なわれる恐れがある。定義の導入にあたっては、表示、品質管理、健康被害情報報告、消費者への情報提供を一体的に整理しつつ、制度の実効性を損なわない水準で、段階的かつ合理的に設計することが重要だ。

 定義が明確になれば、消費者は該当製品を適切に見分け、納得感を持って選べるようになる。また、相談窓口が分かりやすくなる等のメリットも期待できる。

 サプリメントは、本質的には「QOLの向上や健康の維持・増進を期待して経口的に摂取する食品」と捉えられる。すでに社会的に浸透している「いわゆるサプリメント」と、制度上整理される「サプリメント」は必ずしも同一ではなく、誤認を防ぐための表示・情報提供上の工夫が求められる。

(『Wellness Monthly Report』2026年6月号より転載。次回につづく)

【編集部】

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