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消費者庁、デジタル広告規制を強化 消費者被害防止へプラットフォーム事業者の責任拡大を議論

 消費者庁は17日、デジタル空間における不当な勧誘や悪質な取引類型への対応を議論する「第7回デジタル取引・特定商取引法等検討会」を開催した。デジタル広告を起点とした消費者被害への対応強化が大きな論点となった。委員からは、SNSや検索広告を通じた勧誘が消費者の意思形成に大きな影響を与えているとして、販売事業者だけでなく、広告・SNS・取引デジタルプラットフォーム事業者の役割や責任を強化すべきとの意見が相次いだ。また、レスキュー商法やクーリング・オフ妨害への規制強化、海外事業者への対応などについても概ね方向性に賛同が示され、今後は具体的な制度設計が焦点となる。
 議論では、インターネット広告を巡る規制の在り方が中心テーマとなった。委員からは「インターネット取引の被害は店舗に入った時点や訪問を受けた時点から始まるわけではない。SNS広告で『無料診断』『初回500円』と表示され、高額契約へ誘導される例もあり、消費者の意思形成は広告段階から始まっている」との指摘があり、店舗販売や訪問販売につながる取引であっても、広告部分を切り離して考えるべきではないとの考えが示された。

 一方で、「広告だけを見て一律に悪質と判断することは難しい」「パーソナライズ広告=不当という誤解を招かないよう慎重な整理が必要」との意見もあり、適法な広告との線引きを明確にすべきとの声も上がった。また、ダークパターンなど消費者心理を利用した表示について、「アンカリング効果(最初に提示された情報に重きを置いて意思決定を行う傾向)などにより広告の影響は簡単には払拭できない」として、景品表示法も含めた積極的な法執行を求める意見も出された。

プラットフォームの責任拡大を求める声

 デジタル広告規制と並び、多くの委員が言及したのがプラットフォーム事業者の役割。委員からは「現在の消費者被害は検索サービスやSNS、オンライン広告を介して発生している。プラットフォームはもはや単なる場の提供者ではない」として、悪質広告の排除や本人確認、広告停止などについて法的義務を含めた責任強化を検討すべきとの意見が示された。さらに、広告事前審査義務、不当広告の掲載防止義務、広告保存義務、悪質事業者のアカウント停止、広告主情報の確認・開示義務など幅広い提案も相次いだ。

 一方、事業者側委員からは「広告には広告主、代理店、媒体など多くのプレーヤーが存在する。誰がどの責任を負うのか慎重な整理が必要」との指摘もあった。また、「1つのアカウント停止によって適法な事業まで影響を受ける可能性がある」「比例的な措置となるよう制度設計すべきだ」と求め、過度な規制への懸念も示された。

レスキュー商法の対象拡大に概ね賛同

 緊急対応を装って高額な契約を結ばせる「レスキュー商法」については、これまで問題となってきた水回り修理などに加え、ロードサービスも規制対象に含める方向性について、多くの委員が賛同した。「ロードサービスで緊急的に呼んだ場合、消費者はそこから逃れられない強引性があり、トイレのレスキュー商法と同様の問題がある」と述べ、規制対象に含める必要性を強調した。
 一方で、事業者側からは「比較検討が困難な環境という要件をより分かりやすく整理してほしい」「真っ当なレスキュー事業者の活動に影響が出ない制度設計をお願いしたい」といった慎重論も示された。また、価格だけで規制対象とすることは難しいとの認識から、「事案ごとの個別性が非常に高い。事務局案のように複数要件を組み合わせた規制が現実的ではないか」といった意見もあった。

クーリング・オフ妨害は「やり得」を許さない制度へ

 クーリング・オフ妨害への対応では、事務局が、不実告知や事実不告知、威迫困惑に該当し得る具体例をガイドラインで明確化する方向性を提示した。例えば、「工事が終わっているから半額は支払わなければならない」「手元にお金がないから返金できない」といった説明や、返金する意思や体制が無いにもかかわらず「クーリング・オフできます」と説明するケースなどが例示された。委員からは、「契約書や規約にクーリング・オフ可能と記載している場合も、不実告知に含めるべきだ」「連絡先が実際には機能していない場合も同様だ」と、対象範囲の拡大を求める意見が相次いだ。

 消費生活相談の現場からは、「契約書にクーリング・オフの記載があることで『お金は戻る』と安心する消費者は非常に多い。返金資力が無いにもかかわらず記載している事業者には厳しい評価が必要だ」との意見があった。 さらに、「反復して返金拒否を行う業者は非常に多い。『やり得は許さない』という姿勢を制度として示す必要がある」と述べ、刑事罰も含めた実効性確保を求めた。

海外事業者、決済事業者との連携も課題

 海外事業者への対応についても、多くの委員が課題を共有した。事務局は、海外事業者にも特商法は適用されるものの、送達や行政処分には国際法上の制約があると説明。その一方で、違法事業者名の公表やプラットフォームとの連携による注意喚起など、実効性を高める方策を検討していく考えを示した。これに対し委員からは、「決済事業者との連携が特に重要」「海外決済代行業者を経由すると返金が極めて困難になる」「広告や販売だけでなく決済も含めた対策が必要」といった意見が続いた。また、「日本政府の考え方を英語だけでなく中国語や韓国語でも発信すべき」「海外事業者にも日本のルールを明確に伝える必要がある」との提案もあった。

デジタル時代の消費者保護へ制度設計本格化
 
 会議の最後に座長は、「大筋では事務局の方向性について理解が得られた」と総括した。その上で、有利条件提示型広告の具体化、景品表示法との連携、レスキュー商法の要件整理、クーリング・オフ妨害の判断基準、海外事業者への対応などについて、「もう一段工夫できないか引き続き検討してほしい」と注文を付けた。

 今回の議論では、従来の訪問販売や通信販売という枠組みだけでは対応しきれないデジタル取引の実態が改めて浮き彫りとなった。SNS広告や検索広告が消費者の意思形成に与える影響は大きく、悪質事業者の広告掲載や被害拡大を防ぐためには、販売事業者だけでなく、広告事業者やSNS、取引デジタルプラットフォームなど取引基盤全体での対応が不可欠との認識がおおむね共有された。
 
 今回の議論で第1回に示した議題を一通り網羅した。次回、今回の議論を踏まえて事務局で内容を整理した上で、プラットフォームに関する議論の振り返りを行う。また、それと並行する形で「中間取りまとめ案」を作成し提示する予定。次回の会議では、プラットフォーム議論の総括に加え、中間取りまとめに向けた議論を深めるとしている。開催時期は8月下旬を目途に調整を進めている。

【藤田 勇一】


当日の配布資料はこちら(消費者庁のHPより)

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