1. HOME
  2. 通販
  3. 第4回デジタル取引・特商法検討会 ダークパターン規制を具体化、契約・解約場面における規律の在り方も議論

第4回デジタル取引・特商法検討会 ダークパターン規制を具体化、契約・解約場面における規律の在り方も議論

 消費者庁はきのう16日、第4回デジタル取引・特定商取引法等検討会を開催した。今回、2つの議題について議論が行われた。前半では、前回から継続して「誘導的な表示・UIへの対応」について議論。
 事務局より、悪質なUI、いわゆるダークパターンに関する規制の具体化について、前回の議論を踏まえた整理と提案が行われた。まず、議論の対象を明確にするため、消費者庁が実施した実態調査に基づき、日本国内の比較サイト等で頻繁に確認されるダークパターンに焦点を当てることが提案された。OECDの分類に基づき、「インターフェース干渉・こっそり」「社会的証明」「緊急性」「執拗な繰り返し」の4つの主要なパターンが具体的な事例とともに提示され、これらの行為をいかに法的に規律していくかについて議論が展開された。

 事務局は、OECDによるダークパターンの包括的な分類(20種類以上)を提示しつつ、全ての類型を一度に議論するのではなく、国内での実態調査で10件以上確認された「頻出するパターン」に議論を集中させる方針を示した。ただし、個人情報保護法など他法令との関連が深い「行為の強制」や、こども家庭庁で別途検討が進められている「未成年者の同意確認」に関する論点は、本検討会での主要な議論からは一旦除外することが提案された。これにより、契約の成立や解約に直接関わる悪質な手法に議論を絞り、具体的な規制のレベル感を揃えることを目指した。

・パターン1:インターフェース干渉(隠され情報・偽りの階層表示)・こっそり(隠れたコスト・隠れ定期購入)

 事務局は、手数料や契約の重要事項が意図的に分かりにくい場所(長大なスクロールの先や小さい文字など)に記載される「インターフェース干渉」や「こっそり」というパターンを提示。これは、日本の定期購入トラブルで頻出する手口であり、契約の核心的要素(支払総額、解約条件等)を一般消費者が通常の注意を払っても正確に認識できないような表示を禁止すべきだと提案された。これに対し、片岡康子委員((一社)新経済連盟政策部長)からは、単に情報が長く分かりにくいだけでなく、事前の広告内容と矛盾する情報が隠されていることが問題の本質であるとの指摘があった。また、事業活動において表示が長くなることは避けられない場合もあり、何を表示の優先順位上位に置くべきか、という「ホワイト(適法)」な事例の確認も重要であると述べられた。

・パターン2:社会的証明(アクティビティメッセージ・お客様の声・NO.1表示/高満足度)

 「〇人が見ています」といったアクティビティ表示や、顧客の声を装った「口コミ」を捏造する手法が問題として挙げられた。事務局は、真実の情報表示自体は問題ないが、消費者の判断を誤らせるための虚偽の表示は禁止すべきとの考えを示した。片岡委員は、これらの表示が景品表示法の規制対象と重複する点を指摘し、特定商取引法で独自に規制する場合の考え方の整理を求めた。特に「〇人が見ています」という表示が、どの程度契約を促す効果があるのか、またシステム上のタイムラグ等も考慮する必要があると言及。お客様の声についても、ステマ規制との関連を整理し、アイコン使用など正当な口コミ表示の事例(ホワイトなケース)も確認すべきだと述べた。また河村真紀子委員(主婦連合会会長)からは、一般的な消費者の注意力を基準にするまでもなく、虚偽の表示はそれ自体が禁止されるべきだとの意見があった。

パターン3:緊急性(在庫僅か・カウントダウンタイマー)

 「在庫残りわずか」や「セール終了まであと〇分」といった表示は、真実であれば有用な情報だが、消費者を不当に急がせるための虚偽の情報である場合は禁止すべきだと提案された。特に、カウントダウンがゼロになっても価格が変わらない、再読み込みでタイマーがリセットされるといった具体例が挙げられた。片岡委員は、実際のセールやセッション管理など、正当な理由で緊急性を示す場面は多く、「消費者を急かすこと」自体が悪と捉えられないような制度設計を求めた。虚偽であるかどうかが判断の核心であるべきとし、表示の真実性を誰がどう判断し、監視するのかという運用面の課題を河野委員が指摘した。

パターン4:執拗な繰り返し

 ドイツの事例を参考に、チケット保険への加入を何度も促し、最終的に「私は全リスクを負います」というボタンを押させるような、威圧的な文言や操作の反復によって消費者に不本意な選択を迫る手法が提示された。事務局は、このような迷惑や不安を生じさせる手法を禁止対象とすることを提案した。

広告・勧誘に関する規制の具体化

 インターネット取引における広告・勧誘行為について、その特性に応じた規律の具体化が議論された。特に、SNSチャットなど不意打ち性の高い「2階部分」の勧誘と、一般的なウェブ広告などの「1階部分」を区別し、それぞれに適した規制を設けるという事務局の考え方が示された。
 広告であることが一見して分かりにくい表示に対し、「広告」「PR」等の表示を義務付けるべきかについて、活発な議論が交わされた。消費者の誤認を防ぐため、原則として表示を義務付け、明らかに広告と分かるもの(ECサイトの商品ページなど)を例外とすべきだといった主張や、インターネット上の事業者の発信はほぼ全てが広告的目的を持つため、何を表示対象とするのか具体的な範囲を明確にしなければ、事業者に過度な負担がかかるといった声もあった。大屋雄裕座長(慶應義塾大学法学部法律学科教授)は、通販カタログのようにサイトの性質から広告であることが明らかな場合は表示不要とし、それ以外のケース、特に記事風広告などを中心に検討を進める方向性を示唆した。

 不意打ち性の高い勧誘(SNSチャット等)において、勧誘者の氏名を告知する義務について議論された。論点は、告知すべき氏名が「戸籍上の氏名」である必要があるか否かに集中。詐欺的な投資勧誘などを念頭に、責任の所在を明確化するため戸籍上の氏名(または通称名)の告知が不可欠であるとの主張があったのに対して、オペレーターがカスタマーハラスメントに晒されるリスクを指摘し、事業者が管理・特定できるビジネスネームやニックネームの使用を認めるべきだとの反論もあった。

 一度断った消費者に対する再勧誘の禁止を、SNSチャット等のデジタルコミュニケーションにどう適用するかが議論された。事務局は、電話勧誘における「無言で電話を切る」行為と同様に、SNSでメッセージを読んでも返信しない「既読スルー」が繰り返される場合、それは事実上の拒絶の意思表示とみなし、それを超えて執拗にメッセージを送り続ける行為は再勧誘の禁止に該当し得るとの考え方を示した。

 今回の検討事項が、景品表示法や消費者契約法など、他の消費者保護法制と密接に関連することが複数の委員から指摘され、その整理が重要な課題として浮かび上がった。
 特にダークパターンの「社会的証明」(口コミ)や「緊急性」(タイムセール)に関する表示は、景表法における「有利誤認表示」や「優良誤認表示」の規制と大きく重なる。複数の委員から、両法の規制が重複することによる事業者の混乱を避けるため、それぞれの法律の役割分担や関係性を明確に整理すべきだとの意見が出された。

 また、ダークパターンの背景にあるプロファイリング(個人の属性や行動履歴の分析)が、日本の個人情報保護法では十分に規制されていない点を指摘し、この問題を抜きにダークパターンの議論を進めることの限界を示唆する意見もあった。また、未成年者保護に関する論点をこども家庭庁の検討に委ねる方針について、他省庁の検討の進捗が不透明であることや、そもそも問題は未成年者に限らず判断能力が不十分な消費者全般に関わる「脆弱性」の問題であるとして、本検討会でも議論を続けるべきだとの意見があった。

 後半では、「契約・解約場面における規律のあり方」について議論された。
 次回の第5回検討会は、5月18日(月)の午後2時から5時に開催される予定。

(藤田 勇一)

後半部分は会員ページへ(⇒会員専用記事閲覧ページはこちら

関連記事:デジタル取引規制の再設計へ初会合 特商法検討会が始動、定期購入とSNS勧誘が焦点
    :第2回デジタル取引・特商法検討会 デジタル時代へ再設計、SNS勧誘に法の網を
    :デジタル特商法検討会、規制方向整理 消費者庁が論点提示 ダークパターン対応焦点

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ