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糖質カット炊飯器訴訟 forty-four社の勝訴が確定、措置命令取り消しへ

 糖質カット炊飯器の表示を巡り、消費者庁による景品表示法に基づく措置命令の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が、6月10日に東京高等裁判所で言い渡された。判決では、措置命令を取り消した一審・東京地方裁判所の判決を支持し、国側の控訴を棄却した。
 これを受け消費者庁は、きのう25日、上訴しないことを決定したと発表した。これにより、同措置命令は取り消されることとなった。同日行われた定例記者会見で、堀井奈津子消費者庁長官は「判決内容を精査し関係各所と協議した結果、上訴しないことを決定した。今回の東京高裁の判決も踏まえつつ、引き続き、景品表示法を適切に運用する」と話した。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                
 本件は、㈱forty-four(東京都渋谷区、獅子内善雄社長)が販売する糖質カット炊飯器『LOCABO』の表示について、消費者庁が2023年10月に景表法で禁じる優良誤認表示に該当するとして措置命令を下したことに端を発する。同社はこの処分を不服とし、命令の取り消しを求めて提訴した。

 一審判決では、同社の表示が消費者に誤認を与えるものではないと判断され、措置命令が取り消された。これに対し国側は、一審判決がウェブ表示の評価方法や、一般消費者が受ける全体的な印象を正しく捉えていないと主張。不実証広告規制の解釈や、表示の裏付け資料の評価基準に誤りがあるとして、控訴審で全面的に反論を展開した。

 一方、forty-four社側は、消費者は表示を通じて「通常の炊飯器とは異なる仕上がりの米飯」という認識を抱くと反論。消費者庁の違反認定は、「通常の炊飯器と同等の炊き上がり」という抽象的な比較基準に基づいたものであり、実態に即していないと一貫して主張してきた。

 控訴審を通じ、最大の争点となったのは「一般消費者」の認識と、それを踏まえた「表示の合理性」の解釈。国側は広告表現が消費者に与える印象を重視し、一部に限定的な記載があっても、全体の印象として優良誤認を招く可能性があれば違法性を問うことができると主張した。また、事業者側の資料では表示の裏付けとして不十分であると指摘していた。
 これに対しforty-four社側は、製品の構造や仕組みを明示しており、消費者の合理的な判断を妨げるものではないと反論。第三者機関による試験結果を含め、十分な根拠を揃えていると主張し、真っ向から対立した。

専門家が分析する「おいしさ」表現
 
 景表法に詳しい、のぞみ総合法律事務所の山田瞳弁護士は、ウェルネスニュースグループの取材に対して、報道ベースでの判断という前提の下、本件における表現の評価について次のように見解を示していた。

 当局が認定した問題点は、『LOCABO』の糖質カット機能によって「通常の炊飯器で炊飯した米飯と同様の炊き上がりで、糖質(でんぷん)が45%カットできるかのように表示していた」という印象を消費者に与える点にあった。特に論点となった「美味しさそのまま」や「お米本来の美味しさ」といった表現について、同弁護士は次のように分析する。

 「景表法における主観的・抽象的な表現について、当局は以前より『そのような内容の表示だけの場合には、原則として、直ちに優良誤認表示に該当するおそれはなく、景表法7条2項による資料提出命令の対象とはならない』との指針を公表している」。
 その上で同弁護士は、「forty-four社の広告を見る限り、『美味しさそのまま』等の表現に加えて、具体的かつ著しい便益を主張する表現は見当たらない。上記指針や過去の運用からしても、これらは主観的・抽象的表現として、優良誤認表示には該当しないと判断すべき表現であったと考えられる」と指摘。
 さらに、高裁の三木裁判長が判示した「『おいしさ』は抽象的・主観的な表示に過ぎず、通常の機能と比べて味が劣るものではないことをアピールする表現にとどまる」という点についても、「正当な指摘だ」と評価。
 今回の結果を受け、消費者庁の認定については、「『そのまま』といった表現を過度に重く評価し、不実証広告規制運用指針で示した原則論から例外的な評価をしてしまったのではないか」との見解を示していた。

 同措置命令では、同社の他、3社に同様の措置命令が出されている。それらの事業者への課徴金納付命令はまだ出ていない。現時点で課徴金納付命令が出ていないことと本裁判との関係についての質問に堀井長官は、「今回の当事者以外の他社の詳細については控えるが、個別の各社ごとに課徴金納付命令の要件を満たすかなどの状況が異なるため、一概に同様の状況であるとは言えない」と答えるに留めた。

 また、今回の措置命令取消の公表について同庁は、現在、どのような形で行うのか検討中としている。

【藤田勇一】

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