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PQQを身体的フレイルケアの領域へ 原材料販売手がける龍泉堂、ヒト試験を新たに

 認知機能領域の機能性関与成分として届け出のあるPQQについて、今後、筋力や身体機能に対する有用性を訴求できるようになるかも知れない。原材料の開発・販売を手がける㈱龍泉堂(塩島由晃社長)が国内で臨床試験(RCT)を行い、1日あたり21.5mgのPQQを継続的に摂取することで、健康な成人男女の脚の筋力や運動機能を維持させたり、向上させたりといった、身体的フレイル対策にもつながる知見を得た。

まずは論文投稿、その後届出支援を準備

 「RCTの結果をこれから論文にまとめ、海外誌に投稿する」と同社の研究開発責任者は話す。そのうえで来年をめどに、筋力や身体機能に役立つ旨を訴求できる新たな機能性表示食品対応素材として、販売会社などへの届出サポートを始めたい考え。

 現在は、認知機能領域の機能性関与成分として提案している。国内で行った臨床試験で得られた科学的根拠を背景に、「加齢に伴い低下する認知機能の一部である記憶力、注意力、判断力、認知柔軟性を維持する機能のある」旨のヘルスクレームを届け出られるようにした。

 PQQ(ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩)は、消化や代謝などに必要な酵素の働きを助ける補酵素の一種。体内でナイアシンから変換されるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)などと同じ酸化還元反応に関わる補酵素で、微量だがニンジンやキャベツなどの野菜、納豆などの食品のほか、母乳にも含まれるとされる。

 サプリメントの原材料としての利用は2000年代に米国ではじまった。日本では13年、食薬区分の「非医」リストに新規収載されたのを受けて、サプリメントなど食品への配合がスタート。龍泉堂は20年、機能性表示食品対応素材として展開していくことを目的に、コストパフォーマンスに優れる海外製PQQの取り扱いを決め、「mnemoPQQ(ニーモピーキューキュー)」の製品名で市場開拓を始めていた。

筋力・運動機能に及ぼす働き、RCTで検証

 mnemoPQQの機能性を検証する新しい臨床試験の概要は、同社がことし9月に都内で開催した招待制の学術セミナーに参加した顧客らに初めて伝えた。説明を行った塩島由晃社長によると、試験は日本人の健常な成人男女62名を対象に実施。試験食品摂取群には1日あたり21.5mgのmnemoPQQを12週間摂取してもらい、下肢伸展筋力を主要アウトカム、握力をはじめ10mシャトルウォーキングテスト、6分間ウォーキングテストなどを副次アウトカムとするかたちで、摂取後の筋力や運動パフォーマンスがプラセボ群との比較で有意に向上されるかどうかを調べた。

 その結果、いわゆる「ロコモ健診」(運動器健診)に使われることもある測定機器(ロコモスキャン)で計測した下肢伸展筋力が、摂取12週目の実測値と変化量がプラセボ群との比較で有意に向上。また、握力や歩行能力など、運動パフォーマンスへの影響を調べることを目的にした副次アウトカムについても、同様にプラセボ群と比べ実測値、変化量ともに有意な向上が認められたほか、探索的アウトカムに設定していた立ち上がりテストなどにおいては、変化量に関して有意な改善が見られたという。

 PQQには、体を動かすために必要なミトコンドリアを産生する働きがあると報告されている。そのため、米国など海外では、スポーツニュートリションとして配合した製品も出ている。塩島氏はこの日の講演で、筋力や身体機能の維持などに働くメカニズムとして、ミトコンドリアの産生やミトコンドリア機能の活性化をはじめ「骨格筋におけるタンパク質分解抑制や抗酸化作用による骨格筋萎縮因子の増加抑制など、さまざまなメカニズムが複合的に作用している」と考察した。

【石川太郎】

(冒頭の写真:9月に都内で行われた龍泉堂主催学術セミナーの様子。招待制で120人超が参加した)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都豊島区西池袋1-5-3
TEL:03-3985-8346
URL:http://www.ryusendo.co.jp
事業内容:サプリメント原材料の輸出入・卸・販売、サプリメントの製造・卸・販売

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