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龍泉堂、第6回学術セミナーに120人超 「老化や死は不可侵なものではない」(阪大・吉森栄誉教授)

 ㈱龍泉堂(東京都豊島区、塩島由晃社長)は13日、第6回学術セミナーをホテルメトロポリタン(豊島区西池袋)で開催した。125人の招待者が参加した。基調講演では、大阪大学栄誉教授で同大学生命機能研究科及び医学系研究科教授の吉森保医学博士が「健康長寿実現の鍵を握る細胞機能・オートファジー」というテーマで講演した。

「オートファジー」は細胞のリサイクル屋

 オートファジー(以下、Atg)とは、細胞内にある交通網の1経路。一言で言えば細胞の中にあるものを回収・分解・リサイクルする輸送システムのことだ。
 「人間の体が持つ約37兆個の細胞の中には社会がある」と説く吉森教授。人間の社会の発電所や工場、病院などに例えられるミトコンドリアなどの細胞小器官、働くさまざまな職種の人間や建築資材に例えられる数万種類のタンパク質と並んで、それらを輸送する交通機関、交通網がAtgである。

 具体的には、細胞の中に皿のような隔離膜が出現し、(パックマンのように)細胞の中のいろいろな物質を包み込んで口を閉じる(オートファゴソーム)。これが細胞内を交通網に乗って移動し、リソソームというリサイクル工場まで運搬する。そして両者が融合し中身が混ざり合うことで、取り込んだタンパク質などがリソソームの消化酵素によって分解・再利用されるという一連の過程をAtgと呼ぶ。

ヒトに関する約1万報の論文

 これらの仕組みは長らく謎に包まれていたが、1993年、吉森教授の恩師・大隅良典博士が酵母Atg遺伝子の同定を行い、Atgに必要な遺伝子群を14個同定したことがベースとなり、その仕組みが明らかにされた。吉森教授は1996年、岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所に教授として着任した同博士に助教授として招かれ、哺乳類におけるAtgの研究に専念することになった。酵母を研究対象としていた大隅博士は、「将来的にAtgが哺乳類で大きく展開することを予見していた」(吉森教授)という。
 その後、2016年に同博士がノーベル賞を受賞したことでAtgが一躍世に知られることになった。今では年間1万報以上の論文が発表されるなど、まさにAtgに関する研究は発展期にあるとし、「そのうちの多くはヒトに関する論文」(吉森教授)という。

 Atgの役割には主に3つある。まず栄養を得ること。細胞が飢餓状態に陥ると生き死にに関わる。それを回避するために、細胞自身の成分を消化して栄養にすることで、飢餓から救う。
 次に細胞の新陳代謝を行う役割を持つ。たとえ飢餓にならなくとも、毎日少しずつ細胞の中身を入れ替えている。人は食物からタンパク質を1日70g摂取し、尿素やCO2として同量を排泄している。一方、エネルギーを使って1日に240gを体内で合成し、さらに同量を分解している。かつてこのような作業をどういう目的で行っているか分からなかったが、動物実験でAtg作用を止めたところ、動物は病気になってしまった。このように、車に例えるとAtgが毎日部品を交換し新車同様の状態を保っている。つまりAtgは、細胞のホメオスタシス(生体恒常性)を維持し、人体の健康を維持するために必須の機能と言うことができる。特に、細胞自らの力で新陳代謝を行うことのできない神経細胞や心筋細胞にとっては重要な役割を果たすことになる。

Atgの敵「ルビコン」

 以上、栄養の確保や新陳代謝のためにAtgはそこらじゅうの細胞をランダムに分解し再生しているが、吉森教授によれば、場合によっては病原体や認知症の原因になるタンパク質の塊、壊れた細胞小器官、多すぎる細胞小器官などを選択的に選んで壊すこともできるという。
 ところが、Atgは加齢とともに活性が落ちる。その原因となるのがAtgのブレーキ役として働いている「Rubicon(ルビコン)」というタンパク質。同教授は、Rubicon遺伝子破壊マウスを用いた実験によって、Rubiconの増加が脂肪肝を引き起こす原因となっている点を突き止めた。その他、種々の実験を通じてAtgの促進が加齢性疾患を抑制することを確認した。

 吉森教授は、「老化は阻止できる。老化や死は不可侵なものではない」と明言。老化・死がプログラミングされている可能性があるとすればそれを解明すればよいとし、健康寿命の延伸の可能性に言及した。また同教授は、Atgを低下させない生活習慣やAtgを促進する天然食品成分などを紹介した。

 この後、龍泉堂開発室の高橋潤氏が「ストレス社会の光明となるか『ロディオライフ(イワベンケイエキス)』」、塩島社長が「ピロロキノリンキノン二ナトリウム塩(mnemo PQQ®)の筋力及び身体機能への有用性」と題して学術の最新報告を行った。

 龍泉堂の塩島社長は挨拶で、「どこよりも早く当社の学術情報を共有させていただくので、ぜひセミナーの内容を皆さんの会社で活用していただきたい」と期待と感謝の気持ちを述べた。閉会後、別室で懇親会も催され、抽選による景品の進呈も行われるなど同会は賑やかなうちに幕を閉じた。

【田代 宏】

(冒頭の写真:講演する吉森 保 教授、文中の写真:挨拶する塩島由晃社長、会場の様子)

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