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第8回デジタル取引・特商法検討会開催 「中間とりまとめ案」を提示、ダークパターン規制等をめぐり委員から注文相次ぐ

 消費者庁はきのう24日、「デジタル取引・特定商取引法等検討会」の第8回検討会で、これまでの議論を踏まえた「中間とりまとめ案」を示した。案では、SNSなどを通じた「チャット等による勧誘」への規制強化、消費者の意思決定を歪める「ダークパターン」への対応、最終確認画面や解約手続の規律、デジタルプラットフォーム事業者への対応など、インターネット取引を取り巻く幅広い課題について方向性を提示した。

 委員から案を評価する声が上がる一方、「自主的取り組みだけでは不十分」「規制対象をより明確にすべき」「被害救済につながる仕組みを急ぐべき」といった意見も相次いだ。消費者保護を強化する方向性そのものには理解を示しながらも、具体的な制度設計をどうするかが今後の大きな焦点となった。

「チャット勧誘」は電話勧誘と同等の規律を

 中間とりまとめ案では、SNSのメッセージ機能などを使って個別の消費者に働きかける取引について、音声による電話でなくても不意打ち性や誘引性がある場合には電話勧誘販売と共通する性質があると整理。チャット等による勧誘について、勧誘目的や販売業者、勧誘者の氏名などを告げること、不実告知や威迫・困惑行為を禁止すること、拒絶後の再勧誘を禁止することなどを検討するとした。契約後についても、電話勧誘販売等と同様に8日間のクーリング・オフを可能とする方向が示されている。

 島薗委員(弁護士・日本弁護士連合会、小菅・島薗法律事務所)は、特にSNSを使った投資・副業詐欺などでは、事業者の実態がなく、勧誘者が逃亡したり連絡不能になったりするケースが多いとして、勧誘者の氏名は実務上、戸籍上の氏名を告げることが不可欠だと指摘した。

 一方、事業者側からは対象範囲の明確化を求める声も出た。片岡委員((一社)新経済連盟政策部長)は、メルマガなど一方向の情報発信まで規制対象にならないよう、「お互いにやり取りを想定しているもの」が対象であることを明確にすべきだと指摘。また、通常の注文変更など、健全な取引まで規制に巻き込まれないよう配慮を求めた。

 正木委員((一社)日本経済団体連合会ソーシャル・コミュニケーション本部長)も、AIによる自動応答について、単に客観的な商品情報を提供するものまで一律に勧誘規制の対象とするのは適切でないとの考えを示した。

ダークパターン、定義の「狭さ」に懸念

 もう1つの大きな論点がダークパターン。中間とりまとめ案では、支払金額や契約期間などについて正確・容易に認識できない表示、口コミや在庫情報などについて虚偽の表示、操作の反復や威迫的な文言によって申込みを迫る表示・UIなどを規律対象とする方向を示した。また、広告であることが判別しにくい表示への規制も検討するとしている。

 島薗委員は、この「虚偽・不明瞭」「虚偽である表示UI」といった表現では、規制すべきダークパターンを十分にカバーできない可能性があると指摘。「偽りの階層表示」や事前選択、不当な参照価格など、消費者を事業者の望む方向へ誘導し、意思決定を歪める手法も含めるべきだと主張した。また、広告段階の悪質な表示について、行政処分だけでは被害救済に限界があるとして、取消権など民事上の効果についても検討を求めた。

 河村委員(主婦連合会会長)も、広告であることの表示について「広告であることが分かるかどうか」を個別に判断する方式より、原則として広告である旨を表示し、例外を定める方が消費者にも事業者にも分かりやすいとの考えを示した。さらに、ダークパターンや物なしマルチについて、被害拡大のメカニズムそのものに着目して対応すべきだと強調した。

 これに対し事業者側からは、何が違法で何が適法なのかを明確にしてほしいとの声が目立った。土井委員(全国商工会連合会中小企業問題研究所所長)は、悪質な取引への対策強化には賛同しながらも、中小・小規模事業者がデジタル化や人手不足への対応を進める中、対象範囲や判断基準が曖昧なままでは健全な事業活動を萎縮させかねないと指摘。ガイドライン策定に際しては、実際の取引を熟知する事業者の意見を十分に聞くよう求めた。

定期購入、解約、AI活用にも注文

 定期購入などの契約場面では、最終確認画面の表示義務を拡張し、支払総額や取引条件を明確にする方向が示された。注文完了後には契約内容を記載した電子書面等を交付し、その内容について最終確認画面との齟齬がないようにすることも検討される。

 これについて委員からは、電子書面の記載内容や保存方法を含め、現行の取引実務を踏まえた制度設計を求める声が相次いだ。事業者側からはシステム改修に年単位の時間を要するケースもあるとして、十分な準備期間を確保してほしいとの要望も出た。

 また、AIを活用した監視については、片岡委員がSNS上の被害実態なども分析対象に加えるべきだと指摘。消費生活相談の現場からは、PIO-NETに蓄積された相談情報をAIによる早期警戒に活用すべきとの提案もあった。

「総論賛成、各論はこれから」、9月2日に再議論へ

 今回、デジタル取引の変化に合わせて消費者保護を強化する方向性については、おおむね委員の理解が共有された。一方、具体的な規制範囲やプラットフォーム事業者の責任、民事上の救済、事業者負担などをめぐっては、なお議論の余地がある。

 大屋座長(慶應義塾大学法学部法律学科教授)も最後に、消費者側からは「もう一歩踏み込んでほしい」「対応が不十分」との意見が出た一方、事業者側からは総論として賛同しつつ、ガイドライン等の決め方を公正・明確にし、不断に見直してほしいとの要望があったと整理した。

 中間とりまとめ案自体も、対象行為の範囲や判断基準を明確化し、健全な事業活動に過度な負担を生じさせないよう配慮しながら、消費者庁が実務・法技術の両面からさらに検討し、必要な制度整備を早期に実現すべきとしている。

 次回検討会は9月2日を予定。今回出された意見を反映した中間とりまとめ案を改めて提示し、さらに議論を深めるとしている。

【藤田 勇一】

当日の配布資料はこちら(消費者庁のHPより)

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