原口議員、コロナワクチン巡り国会質疑 企業カルテル、ワクチン基金不正流用を問う
きのう27日、第217回通常国会「予算委員会第五分科会」において、新型コロナワクチン接種に関する質疑が行われた。質問に立ったのは立憲民主党の原口一博衆議院議員。福岡資麿厚生労働大臣、法務省、財務省、公正取引委員会、会計検査院を相手取り約30分にわたり、コロナワクチン接種を巡る疑問について、副反応に苦しむ健康被害者の気持ちを代弁した。
原口議員は、「新型コロナワクチン基金の使用方法と価格形成」、「ワクチンメーカーの価格設定と利益率」、「ワクチン接種後の副反応・死亡例の報告と調査」、「基金の流用や補助金の使途」などの不透明な処理が行われている可能性に言及し、答弁者に説明を求めた。
企業カルテルの可能性を指摘
ワクチン生産体制の緊急整備基金の使い方について、7,852億円が不適切に使用されているのではないかとの疑問を述べた。本来、余った基金は国庫に返納しなければならないが、ワクチンメーカー各社で分配したのではないかと質問した。
ワクチン価格がメーカー間で横並びに設定されていることから、カルテルの可能性を指摘。ワクチンの価格については、モデルナ社が1万2,019円、第一三共1万1,990円、武田薬品工業1万1,990円、Meiji Seikaファルマ1万890円で、ファイザー社が公表不可。「平時において3,260円、厚労省も最初は7,000円程度で見積もっていたのが、数カ月で4倍に跳ね上がっている」(原口氏)ことについて、余った基金を注ぎ込むことで価格を吊り上げるように、厚労省がメーカー側に頼まれたのではないかと追及、公正取引委員会に対して独占禁止法違反の構成要件などについて聞いた。
3人が死亡、死亡日不明の理由は?
Meiji Seikaファルマ㈱(東京都中央区、小林大吉郎社長)が販売しているレプリコンワクチン『コスタイベ』について、副反応による死亡者の数とその日時を厚労省に確認した。
厚労省は製造販売会社からの報告として死者は3人、1例目と2例目については死亡日は不明で第1報の入手日が2024年12月17日、3例目については死亡日が同年の12月20日で第1報入手日が翌年1月28日と回答した。
これに対して原口議員は、「PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)が発表したのが12月26日だった」。Meiji Seikaファルマが17日に知ってから1週間以上経っている。「(同社は)極めて恣意的にやっているという印象を持つ」と述べた。そして、「(厚労省やPMDAは)死亡日が不明であるにもかかわらず、『コスタイベ』との因果関係が追及できるのか」、通常だと、死亡や障害などの症例が発生した場合は、イエローレター(緊急安全性情報)の配布など、製販業者による緊急安全措置が取られるはずなのに「今回は出ないのはなぜか?」と厳しく問い詰めた。小林製薬が引き起こした紅麹サプリ問題を引き合いに出して、「(当時の)武見厚労大臣が鬼のような形相で小林製薬けしからんと言ったのに、なぜ違うのか。亡くなった日さえ分からない。調べようと思わないのか」とまくしたてた。
利益率54%、助成金8,300円の謎
Meiji Seikaファルマから届いた訴状にも言及した。同社が昨年11月末時点で見込んでいた売上104億9,000万円、利益57億1,000万円に対して、原口議員のせいで55億6,000万円の利益が失われたと訴えられている点を挙げて、「コスタイベの価格が1万890円。これはもうほとんど、1本当たり8,300円の助成金を乗せた分で終わっている。国民が爪に火をともすようにして1円1銭の利益を上げるのに大変苦労しているのに、実際の54%も利益があるようなものがあるか。結局これは、助成金8,300円を増やして丸ごとこれが利益になっている」と批判。「ということは、ここに厚労省が介在して官製談合である疑いも出てきているというふうに思う」とし、法務省に対して刑法が定めている収賄罪の構成要件について質した。
ファルマ社長の発言は薬機法違反か?
Meiji Seikaファルマの社長が経済誌で発言した問題についても触れた。
「自分たちのワクチンを『打つべきだ』と発信している。こんなことが許されるのか?薬機法違反だと思う」と厚労省の姿勢を福岡厚労相に聞いた。
これに対して福岡厚労相は、医薬品等適正広告基準を例に引き、「禁止かどうかの判断基準としては顧客を誘引する意図が明確であること、特定医薬品の商品名が明らかにされていること、一般人が認知できる状況にあること――のいずれの要件を満たす場合に禁止されている広告と判断し、監視指導を行う。例えば、今回のように雑誌のインタビュー記事の中での発言などで顧客誘引性が必ずしも断定できないものであれば、監視指導の対象とはならないと考えられる」と回答。原口氏は、「製薬メーカーの社長が『打つべき』だというのは、広告よりすごいじゃないですか」と反駁した。
厚労大臣「ワクチンによる健康被害があってはならない」
また、福岡厚労相は先のいくつかの原口議員の質問に対して以下のとおり答えた。
「製薬会社の利益構造について私どもは把握していないが、日本における価格については海外の今の取引価格と比べても遜色のないレベルの取引ということ。日本だけが特別な価格設定をしているという事実はないし、価格決定は市場で決定されているので、その価格決定において厚労省が関与しているという事実はない。そして指摘のあった(安全性などの)データについては、しっかり精査をさせていただく。私たちも、ワクチンが起因として健康被害があるということはあってはならないというふうに思っているので、その辺はしっかり厚生科学審議会『予防接種・ワクチン分科会』とかでもしっかり議論していく」
「当然不可避的に副反応が出る方もいるかと思うが、重症化予防効果として、やっぱりその高い予防効果が認められているという現実がある中で、希望される方にはしっかりワクチンを提供させていただく体制を作っていくというのは私たちの使命。先ほどの死亡された日時が分からないということについても、私たちはそういう調査をしないということを言っているわけではなく、これは元々、製造販売業者が情報提供を受けた医療機関とは別の病院に搬送されて亡くなられており、通報が元々ワクチンを打たれた病院が通報されているために日時がまだはっきりしていないということ。そこはしっかり、調査を引き続き続けていく」
今回行われた質疑の論点はおおよそ以下のとおり。
・新型コロナワクチン基金の使用方法と価格設定について調査を継続すること
・ワクチン接種後の死亡例について詳細な調査を実施すること
・死亡日が不明とされている症例について情報収集を進めること
・厚生科学審議会「予防接種・ワクチン分科会」でワクチンの安全性について継続的に議論すること
・会計検査院による基金や補助事業の適切な検査の実施を行うこと
・製薬会社の価格設定に関する公正取引委員会による調査検討すること
・接種による健康被害についての対応策を検討すること
・基金の使用状況について財務省と厚生労働省による執行管理を継続すること
【田代 宏】
アーカイブ動画はこちら(衆議院インターネット審議中継)2:53:50~
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