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沖縄ブランドの確立を目指す 【九州・沖縄】WELLNESS OKINAWA JAPAN座談会(前)

沖縄ブランドの確立を目指す
認知度と参画企業数に課題も

 産学官連携による地域のヘルスケア産業振興策が各地で進む中、2018年、(一社)沖縄県健康産業協議会(宮城幹夫会長)が主体となり、沖縄県産健康食品ブランド WELLNESS OKINAWA JAPAN認証制度(WOJ)がスタートした。WOJのこれまでを振り返ると同時に、現在の状況、今後の課題・展望をテーマに座談会を開いた。

【パネラー】沖縄県健康産業協議会会長 宮城 幹夫 氏(金秀バイオ㈱ 代表取締役社長)
      沖縄県健康産業協議会理事 宮國 良和 氏(㈱沖縄美健販売 代表取締役社長) 
      沖縄県健康産業協議会企画運営部会長 稲福 直 氏(㈱カタリスト琉球 専務取締役)

【司会】沖縄県健康産業協議会専門コーディネーター 照屋 隆司 氏

WOJの創設時から奮闘
沖縄の健康産業業界をけん引

照屋 今回参加の皆さんは、沖縄県の健康産業業界においては、実績のある方ばかりです。皆さんから見たWOJの現状や課題、沖縄県のヘルスケア産業界の現状など、ご意見をお聞きできればと思います。まずは自己紹介を兼ねて、会社の事業内容などを説明してください。


宮城 当社は、沖縄の基幹作物さとうきびの製糖副産物・バガスの活用を図り、沖縄県経済振興に役立てることを目的として、(財)農技協、経済連、民間企業数社からなる株式構成で、㈱沖縄発酵化学として1988年に創業しました。91年に金秀グループの一員として新たなスタートを切り、98年に沖縄産モズクから「フコイダン」の抽出に成功、現在の主力商品となっています。そのほか、ウコンや沖縄由来の野草などの原料販売、これらを使った健康食品・飲料の受託製造などを手掛けております。販売チャネルは国内だけでなく、米国・東南アジア・EUなど海外にも展開しております。ISO22000、健康食品GMPを取得するなど、品質管理にも注力しております。

照屋 金秀バイオ㈱の代表を務める傍ら、沖縄県健康産業協議会の会長を務めていただいております。沖縄の健康産業業界の発展に注力しており、研究開発体制も整っている企業です。

宮國 ㈱沖縄美健販売の代表を務めております。同時に、同協議会の理事として活動させていただいております。当社は2016年に創業しました。前身の企業で、約15年間、健康食品を取り扱ってきましたこともあり、同協議会には、個人的に約20年間会員として参画してまいりました。取り扱い品目は、シークワーサー、ウコン、もろみ酢などの沖縄県産素材にこだわった商品を展開しております。とくにシークワーサーに関しては、沖縄本島の北部に関係会社が保有する農園がございますので、6次化までできる環境が整っています。

浦添市から養蚕事業を引継
WOJの運営から活用まで

宮國 当社は今年度から、那覇市に隣接する浦添市から、蚕の飼育・販売、浦添織と言われ、「かりゆしウエア」などに使われる繭の販売、桑の葉・桑の実の畑の管理・収穫などの養蚕事業を引き継ぎました。畑の管理・運営は当社としては初めてでしたので不安もありましたが、長年、養蚕事業に携わってきたスタッフが新たに加わりましたので、今、着々と準備を進めております。今後は、桑事業を拡大しつつ、機能性表示食品の届出も視野に入れた事業展開を目指しています。沖縄県の健康産業にはより深く携わっていきたいと思っています。


照屋 浦添市では、約10年間養蚕事業を行ってきました。今回、市の事業の民間移転に伴う承継で、浦添市に本社がある、もしくは本社移転の計画、2年以内に事務所の新設があることを条件に企業を募り、沖縄美健販売さんが採択されたということですね。


宮國 同事業は、もともと、浦添市が、浦添市シルバー人材センターに委託し行ってきた事業ですが、委託期間が期限を迎えたタイミングで、民間承継というかたちになったということです。


稲福 当社は2016年に創業し、シークワーサーの機能性成分としても注目度が高い、ヘスペリジンを使ったサプリメントなどを開発・販売しています。(一社)トロピカルテクノプラス(TPP)さんが管理・運営する沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターに工場を置いております。WOJ事業の前身である、「沖縄ブランド商品創出促進支援事業」に2017年に県から採択され、その後のWOJ制度の設計から設立まで一連の流れの中で事業を行ってきました。同制度の「三拍子基準」という考え方に感銘を受け、現在、WOJとして4商品の認証商品を展開しています。当社は、研究開発事業がメインでしたので、シークワーサーを丸ごと活用するということで、当時からSDGsにからめて、自然環境を守りながら効率よく生産していこうと事業を進めてまいりました。前年度で、県の研究開発事業は終了しましたので、今年度から当社は本格的に事業化に向けた取り組みを行い、WOJ認証商品の拡販を行いたいと思っております。


照屋 稲福さんは、前身の企業から沖縄県の健康産業事業に携わっておられ、ウコンブームの火付け役の1人と言っても良いかもしれません。

WOJの経緯を振り返る
沖縄商品の競争力を高める

照屋 改めてWOJ誕生の経緯について説明したいと思います。沖縄県には、沖縄21世紀ビジョンというものがあり、その中に「沖縄ブランドをつくり推進していく」という考えが根底にはあるのですが、15年の機能性表示食品制度がスタートするとなった時に、これを機に競争環境が変わり、機能性のエビデンスが普及することが予想されました。

 そこで、沖縄県産品の競争力を高めるための具体的な仕組みづくりが求められ、沖縄県ものづくり振興課から、同年に事業委託を受けました。業界内企業の調査、エビデンスの調査などが始まり、同制度の骨格ができ、16年度~17年度にかけて制度設計が本格化しました。17年度以降は協議会が認証制度の主体となって県の補助を受ける体制に切り替わり、その後18年度に制度発足しました。

 現在までに7回の審査が行われ、認証数は延べ数で28商品となりました。企業の方針で、認証商品の販売終了や同事業からの撤退もあり、現在は13社23商品となっています。特徴としては三拍子基準で、科学的エビデンスに基づく機能的価値、沖縄ならではのストーリー性などを盛り込んだ情緒的価値、適切な品質管理に沿った安全安心に基づいて審査されています。それでは、各社の認証商品について紹介してください。

宮城 当社は、『与那国長命草青汁』を認証商品として展開しております。20年11月の第5回に認証されました。産地拠点に認定された与那国島で農薬不使用栽培されたボタンボウフウ(長命草)を100%使用した青汁粉末です。長命草を手軽に摂取できる形態に加工し、苦みやクセがなく、口当たりの良い商品に仕上げました。

 与那国にこだわっている理由としては、産業構造に偏りのある同地域に、新たな産業をもたらすことで地域貢献をしていきたいという思いもあります。最終商品としてBtoCでの拡販というよりも、『与那国長命草青汁』を販売展開しながら、原料としても長命草を青汁市場へ展開していきたいと考えております。

 また、長命草だけでなく、他にも地元農家さんと一緒になって、さまざまな地域由来素材を探求しながら離島の産業への貢献を目指します。

(つづく)

(藤田 勇一)

(冒頭の写真:宮國氏(左手前)、稲福氏(左奥)、照屋氏(右奥)、宮城氏(右手前)

関連記事:沖縄ブランドの確立を目指す 【九州・沖縄】WELLNESS OKINAWA JAPAN座談会(中)

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