1. HOME
  2. 学術トピックス
  3. 死亡リスクが最も低くなるBMI フレイルの有無で異なる、国内研究グループが論文発表

死亡リスクが最も低くなるBMI フレイルの有無で異なる、国内研究グループが論文発表

 死亡リスクが最も低くなるBMI(Body Mass Index)は、健康な状態と要介護状態の中間に位置付けられるフレイルの有無により異なる──そんな研究結果を早稲田大学スポーツ科学学術院の渡邊大輝助教と宮地元彦教授らの研究グループが17日までに論文発表した。

フレイルでない高齢者、BMI23~24が最も死亡リスク低い値

 65歳以上の日本人高齢者約1万人を対象に、BMIと死亡との量的反応関係を検証した。その結果、BMIが「普通」(21.5~24.9kg/㎡)の人と比べて「やせ」(18.5 kg/㎡未満)は、フレイルに該当するかどうかに関わらず生存率が有意に低かった。また、「普通」のフレイルでない人と比べて「肥満」(25.0kg/㎡以上)のフレイルの人は死亡率が高かった。さらに、フレイルに該当した高齢者では、BMIが高ければ高いほど死亡リスクが下がった一方で、フレイルではない場合、BMI23.0~24.0kg/㎡が最も死亡リスクが低い値であることが分かったという。

 フレイルであるかどうかに関わらず、高齢者にとって「やせ」は、死亡リスクを高める可能性が示唆されたことになる。かといって、「太っている方が長生き、と判断することは危険」だと研究グループは警鐘を鳴らす。適度な運動やバランスの良い食事を通じて、「やせ」でなく「肥満」でもない体型を維持することが肝要と言えそうだ。

 この研究は、介護予防の推進などを目的に、2011年から京都府亀岡市で進められている前向きコホート研究「京都亀岡スタディ」に参加した1万912人のデータを使用して解析したもの。BMIを評価した上で、中央値で約5年間の追跡調査を行った。調査期間中に亡くなった高齢者は約1,300人。また、この研究における高齢者全体のフレイル該当割合は約44%だったという。

肥満のパラドックス、フレイルが要因の1つ?

 研究グループの渡邊助教は、研究結果について、「健康的な普通体重の者よりもBMIが高い者で死亡リスクが低い『肥満のパラドックス』を引き起こさせる要因の1つとしてフレイルがある可能性を示した。日本人の食事摂取基準2020年版からフレイルの発症および重症化予防の観点が考慮されており、フレイルの有無によって目標とするBMIが異なることを示したわれわれのデータは、よりきめ細かい食事・栄養指導や健康政策の立案に役立つエビデンスだと思う」とコメントした。

 早稲田大学の発表によると、研究成果をまとめた論文は今月4日、海外科学誌『Clinical Nutrition』のオンライン版に掲載された。論文名は「Frailty modifies the association of body mass index with mortality among older adults: Kyoto-Kameoka study」。来月には雑誌に掲載される予定だという。

【石川太郎】

関連記事
フレイル対策と機能性食品 ターゲットとなる骨・関節・筋肉の健康維持
フレイル対策と機能性食品、「足元に多くの対応素材」 早稲田大・矢澤氏に聞く

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ