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指定成分制度、施行2年目の状況
健康被害情報件数が大幅減 一方で広げられる情報収集の範囲

 2020年6月施行の指定成分等含有食品制度(以下、指定成分制度)。厚労大臣が指定する指定成分等(=特別の注意を必要とする成分等)を含む食品との関連が考えられる健康被害情報について、事業者から行政への届出を義務付けた制度だが、施行2年目の昨年、届け出された当該情報件数が減少傾向を見せた。

 4件。昨年12月の累計報告件数はこうだ。それに対して前年同月は32件。およそ9割も減少した。

 施行初年、20年の累計報告件数は198件に上った。施行は6月だったため、7カ月で200件に迫ったことになる。一方、翌21年はきっちり12カ月で累計190件。毎月の報告件数には凸凹があり、30件を超える月も一部見られたが、「大幅減」といって差し支えなさそうだ。

 指定成分等として厚労大臣に指定されているのは現在4素材。コレウス・フォルスコリー、ドオウレン、プエラリア・ミリフィカ、ブラックコホシュ──の4つだ。このうち報告件数の最多はコレウス。4素材の中で最も多いとみられる市場流通量が報告件数に反映された形といるが、それでも昨年12月はゼロ件だった。

 減少の背景には何があるのか。要因は複合的だとみられるが、市場に流通される指定成分等含有食品の数が減っている可能性が指摘されている。実際、制度施行以降、指定成分等の配合を見直したり、終売したりする動きが伝えられている。

 もっとも、施行から昨年12月まで18カ月の健康被害情報件数は、4素材合わせて累計388件と400件に迫る。多いと見るかどうかは意見が分かれそうだが、「とにかくちょっとでも下痢などをしたときも全て(健康被害情報として届出を)上げていただく」(厚労省)のが指定成分制度の仕組み。そこを考慮に入れておく必要があるだろう。

 他方で、およそ400件が多かろうが少なかろうが、件数がこの先も減ろうが逆に増えようが、今後、健康被害情報の収集範囲は拡大されることになる。指定成分等含有食品「以外」に、だ。

健康食品全般について情報公開へ

 厚労省では、指定成分制度の枠組みを変えることなく、保健機能食品も含めた健康食品全般について関連が疑われる健康被害情報を出来るだけ多く収集し、識者で構成するワーキンググループ(WG)を通じて対応を検討していく構え。年3回程度のWGを開き、指定成分等含有食品と同様に、健康被害情報として公開することにしている。

 同WGの名称は、「指定成分等含有食品等との関連が疑われる健康被害情報への対応WG」。事務局を務めるのは、厚労省食品基準審査課の新開発食品保健対策室。同室の室長は、健康食品の健康被害情報を巡る新たな取り組みについて、昨年12月23日に開かれた薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会の中で次のように述べている。

 「事業者さんにも消費者の皆さんにも、健康被害が起こることはある程度想定はされると思うのですけれども、それが問題ないものかどうかとか、それを食べる消費者の皆さんも、検索したら、これはこういう事象が起こることもあるんだ、じゃあ私にはちょっと合わないかもとか、そういった参考には必ずなるはずなので、そういったこともできるだけ分かりやすいようにホームページにアップしていきたいと思っています」。

 健康食品全般の安全性確保に乗り出した厚労省。単なる規制に終わらせるのではなく、業界とも連携しながら、健康食品・サプリメントの社会的な地位向上につながる取り組みにしてもらいたい。

【石川太郎】

関連記事:食薬区分と指定成分 2大指針を一度に 社福協の健康食品フォーラムに注目 3月2日開催

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