乳酸菌のOLL1073R-1株が産生する多糖体の一種、R-1EPSを6.6ミリグラム含むヨーグルトを一定期間摂取すると、激しい運動に伴う一時的な免疫機能の低下抑制につながることが、学生アスリートを対象にしたヒト試験で確認された。㈱明治（東京都中央区）と順天堂大学の共同研究で確認されたもので、激しい運動に伴う腸管機能の低下を抑制するなどして身体のコンディションを良好に保つ可能性もあるという。同社がこのほど発表した。

　発表によれば、18歳以上の健常な陸上選手（長距離選手18人、投てき選手13人）を対象にしたヒト試験（ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験）を実施した。試験期間は2週間。

　その結果、同ヨーグルトを摂取することで、免疫機能の低下リスクが高まる激しい運動後においても、主要評価項目としたNK活性（ナチュラルキラー細胞活性）をはじめとする免疫指標の低下が認められず、正常な免疫機能が維持された。また、激しい運動後の筋損傷からの回復に必要なアミノ酸の血中濃度の低下を抑制することも確認された、という。

　研究結果をまとめた論文は今月、（一社）日本体力医学会が発行するジャーナル『体力科学』に掲載された。論文タイトルは「ヨーグルトの摂取が大学生男子陸上選手の免疫機能に及ぼす影響 －ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験－」。

　明治は発表の中で、今回のヒト対象研究結果の意義について、「免疫機能の低下リスクが高い方に対しても、正常な免疫機能の維持に有効であることを明らかにした」などとした。OLL1073R-1株が産生するR-1EPSが免疫機能に及ぼす働きについて同社はこれまでに、正常な免疫機能の維持に有用性が認められることを報告してきたが、今回の研究結果は、これまでの試験の2倍量に相当する6.6ミリグラムを摂取してもらうことで初めて見出せたという。

【石川太郎】

（下のグラフ：ヒト対象研究結果の一部。NK活性の変動を示す。明治のプレスリリースから）