1. HOME
  2. 学術トピックス
  3. NMNの摂取、抗加齢に有用か ヒト試験で運動機能改善が示唆 東大研究チーム報告

NMNの摂取、抗加齢に有用か 
ヒト試験で運動機能改善が示唆 東大研究チーム報告

 高齢男性がNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を1日あたり250mg、12週間経口摂取すると、筋力と運動機能を改善する可能性が健常者を対象にしたRCT(ランダム化比較試験)で示唆された。NMNは、サプリメントの原材料として利用されている。

 東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科の山内敏正教授らの研究グループが25日、発表した。三菱商事ライフサイエンス㈱(東京都千代田区)の受託研究として実施したもので、65歳以上の健常高齢者男性42人を対象に、無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を行った。

 試験は2019年に国内で行ったという。研究結果をまとめた論文は、英国の科学誌『NPJ Aging』のオンライン版に同日付で掲載。研究グループでは、NMNに関して「高齢男性を対象として初めて発表された臨床試験だ」としている。

NAD+の血中濃度が上昇

 研究グループは発表で、「NMNを継続的に経口摂取することは、サルコペニアのような加齢に伴う筋力低下の予防において大変有効な手段であると考えられる」などと研究成果を評価。発表によると、研究の結果、1日あたり250㎎のNMNを12週間継続摂取すると、ニコチンアミドアデニジンヌクレオチド(NAD+)の血中濃度が上昇し、歩行速度や握力などの運動機能を向上させることが分かったという。加えて、聴力の改善傾向も見られた。

 NMNはNAD+の前駆体で、NAD+の低下は老化や加齢性疾患の発症に関連していると考えられている。今回の研究では、血液中のNAD+および関連代謝物質がプラセボ群との比較で有意に増加することが確認できたという。

 併せて安全性も評価。その結果、「血液検査の結果も含めて明らかな有害事象は認められなかった」としている。

機能性表示を視野に? 三菱商事LSの動向注目

 この研究に関連している三菱商事ライフサイエンスは昨年7月、NMNに関してニュースリリースを行い、NMNの経口摂取が高齢者の運動機能の一部を改善することを確認したなどと発表していた。同社は今後、NMN市場に参入するのかどうか。健常者対象のヒト試験を実施したことを踏まえれば、機能性表示食品市場にNMNを投入することも視野に入れている可能性が考えられる。今後の動向が注目だ。

【石川太郎】

(冒頭のグラフ:研究結果の一部。試験開始12週間後、NMN摂取群の血中NAD+濃度はプラセボ群に比べて2倍程度まで増加したという。ニュースリリースより)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ