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6・6プレスリリースの「怪」(6) JHNFA、JCAHFに白紙撤回求める

 7月4日に行われた厚労省を交えた会合の後、(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA、矢島鉄也理事長)は理事長の名前で(一社)日本健康食品認証制度協議会(JCAHF)信川理事長宛てに8月1日、質問書を送った。
 その前置きとして、「平成17年(2005年)通知」、「検討会報告書(2008年)」を引き、その理念に基づいた関係者の役割について再確認している。

 ここに言う2005年通知というのは、原材料の受け入れから最終製品の出荷まで、適切な製造管理と品質管理の構築や作業管理の実施、構造設備の構築などを行うことで製品の品質と一定の安全性確保を自主的に図ることを目的とするために同2月1日に厚生労働省食品安全部が発出した通知(平成17年2月1日付け食安発第0201003号)のことである。
 また、検討会報告書というのは、前回紹介した、07年から08年7月まで厚労省が開いた「健康食品の安全性確保に関する検討会」報告書のことを指している。7月4日に取りまとめられた報告書には、トクホ以外のいわゆる健康食品の安全性確保を大前提とし、そのための実効性を確保するための施策として、おおよそ次のような提言を行っている。

・より質の高い製品の普及や消費者の選択可能性の向上につなげるために、事業者がより安全性の高い製品を製造する技術力を強化していく一助とするために、「健康食品の原材料の安全性確保やGMPに関して第三者機関による確認(第三者認証)を導入する。
・第三者認証機関については法令に基づく指定等ではなく、学識経験者や消費者、製造事業者等からなる認証協議会を組織し、認証機関の指定、認証基準の設定、認証機関の指導監督等を行う。
・認証協議会の設立・運営等に当たっては、行政当局も情報交換、連携を図るべき。
・認証を受けたことを示すマークを統一する。
 
 これらの提言に基づき、JHNFAは8月1日、JCAHFが提示する各種改定(料金改定、マーク変更、指定基準改定など)について、その理由が不明確、公益性に疑問があるとし、以下のとおりに指摘し、その後、11項目にわたる質問を行っている。

 「JCAHFの決定は単独で行われており、関係者との十分なる協議に基づいたものとは到底言えない。公益的性格、および行政当局を含めた関係者(認証機関、製造事業者等)との十分なる協議が果たされていない。平成17年(2005年)通知の目的「消費者に対する健康食品の品質確保ができなくなる」。

 以下、質問書のまま紹介する。ただし、一部用字用語については編集部の規定に従い修正している。

1. 事前説明について
 料金改定、ロゴマーク変更、指定基準の変更等については、事前協議が全く行われていない。貴協議会は事前に説明は行ったとの見解のようであるが、十分で丁寧な説明とは考えられない。一方的な連絡であり、質問やこちらからの意見を聞く場を設けていない。
 貴協議会では、理事会等の決定であれば各種規定類の変更は可能であるとの認識のようであるが、前述したように「行政当局を含めた関係者間」の協議が必要であるのに、それら無にこれを決定し、強制することは問題があると考える。

2. プレスリリースについて
 厚労省、指定機関、事業者への事前連絡もなく、関係者へのコンセンサスを得ることもなく、プレスリリースすることは、社会通念上、到底納得できるものではない。プレスリリースしたことにより、混乱を招いた上に、事業者、メディアに不信感が出てきているばかりか、混乱を生じさせており、ひいては、業界の信頼性の低下につながっている。

<料金改定について>
3. 改定の理由について
 認証に関する基準や事務手続き等が従来と全く変わっていないのに、なぜ料金改定が必要なのか。過去の料金の経緯、協議会の収支、繰越金の状況などはどのようになっているのか。明確に示していただきたい。

4.2021年度分請求書について(表示料および監査料)
 当協会は、21年度分の費用は従来費用としての支払いを準備していた。21年度分の請求金額が料金改定後(値上後)にさかのぼって請求されるのはなぜか。その理由を明確に説明していただきたい。
 また、21年度分(表示料・監査料)については、従来料金で支払いを行う用意がある旨の連絡をしたが、受け入れられないのはなぜか。併せて、理由を説明していただきたい。

5.(一社)日本健康食品認証制度協議会の収支について
 貴協議会の収支の中で第三者認証(GMP・指定機関監査など)に関わる収支はどのくらいの割合になるのか、明細を示していただきたい。また、協議会発足からこれまでの収支の状況の推移はどのようになっているのか。貴協議会内での経費削減の検討状況はどのようになっているのか。明確に示していただきたい。

<ロゴマークについて>
6.ロゴマークの変更について
 現行マークについては、制度開始から長年の活動によって浸透していると考える。また、厚労省もGMP普及のPRに使用している。認証内容やスキームが変わらないのにマークを変えるメリットは何か。なぜこのタイミングで行うのか。マークの変更に伴って、関係者に多大な負担を強いることになるが、その点について事業者や厚労省の意見を聞いているのか。

<指定基準について>
7.指定基準について

 これまで継続してきた指定基準の改定には、合理的な理由と相手方の同意が必要であると考える。今回、貴協議会から示された改定は、一方的に指定機関に従わせる内容となっている。特に、第6条は、公表について指定機関に義務化する内容となっている。また、「合理的な理由がある場合は使用許可料をいつでも変更できる」など、いつでも何でもできる規定と読み取れる。とても、「公益性」を有する「協議会」の規定とは考えられない。

<認証制度協議会について>
8.協議会のメンバー構成
 協議会は、事業者、消費者、有識者から構成することと認識している。最近、事業者代表が少なくなっており、協議会の「公益性」が薄れ、バランスが崩れているように見受けられる。これはいかなる理由か。

<7/4の説明について>
9.「ロゴマークの統一」に関する説明(7/4)について
 「マークの統一について何度も議論し、指定機関には受け入れられなかった」との説明があったが、最近はマークの統一に関する議論は行っていない。過去には議論したかもしれないが、指定機関が拒否したとの認識はない。当協会としては、長年、GMPを運営してきており、制度が軌道に乗っており、マークの認知も向上していると考えている。協議会、指定機関、事業者、厚労省の間で認識に食い違いがあると考える。まさに今こそ、「行政当局を含めた関係者間」の協議が必要である。

10.「資料提出の拒否」に関する説明(7/4)について
 「指定機関から決算報告書等の経営状況に関する資料の提出を拒否された」との説明があったが、決算報告等の提出を拒否したことはない。また、具体的に要求されたこともない。公益財団法人なので、全ての情報が開示されている。協議会と当協会の認識に食い違いがあると考える。

<今後の対応>
11.継続協議について

 現状では、協議会、指定機関、厚労省、事業者の間で、意見や認識に食い違いが認められる。第三者認証スキーム、それに伴う料金、ロゴマーク、指定機関指定基準の変更を検討するには、協議に時間を要すると考える。また、協議会、指定機関、厚労省での協議と事業者、業界のコンセンサスを得る必要がある。「報告書」の原点に立ち返って考えるべきである。
 現在、貴協議会から通知のあった料金改定、ロゴマークの変更、指定基準等を、一旦、白紙とし、2021年度の料金について従来金額で支払い、監査を行い、通常の状態に戻して、2022年度中に厚労省を含めて時間をかけて協議を進めるのはどうか。

 以上の質問全てについて、「この件に関する貴協議会の見解を説明していただきたい」との要求が付してある。

 この質問書に対し、JCAHFは11月24日、「貴協会の2022年8月1日付質問書に本書により回答いたします」とする回答書を送付した。

(つづく)
【田代 宏】

(冒頭の写真:8月1日付「質問書」)
 
関連記事: 6・6プレスリリースの「怪」(1)
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    :6・6プレスリリースの「怪」番外編 第三者スキームはどうなるのか?

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