1. HOME
  2. 健康食品
  3. 6・6プレスリリースの「怪」(3) 紛糾する健康食品GMP認証の真相は?

6・6プレスリリースの「怪」(3) 紛糾する健康食品GMP認証の真相は?

6つの指定要件とは何か?

 編集部の取材に対し、(一社)日本健康食品認証制度協議会(JCAHF)はプレスリリースを発信する前に、厚生労働省と(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)、(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS)の2機関に対して、あらかじめ(1)認証機関 指定基準、(2)指定基準に基づく審査・運用規程、(3)「指定基準に基づく審査・運用規程」実施細則、(4)「指定基準に基づく審査・運用規程」に基づく認証機関の業務監査細則、(5)JCAHF認証マーク取扱細則、(6)認証機関の指定等に関する料金――の6つの指定要件に関する改訂の通知を行ったと話している。これらの要件に関する告知は、JCAHFのホームページ5月30日付「お知らせ」でも掲載されている。

 6月8日、記者がJCAHFの信川理事長本人を平河町に訪ねて確認したところ、これらの改定は上記3者に書面で通知済みとの回答だった。それぞれ3者に確認したところ、厚労省は6月6日にメールで受信。書面は6日当日、室長の元に届いたという。だが、2機関については、手元に届いたのは翌7日のことで、事前に何ら打診はなかったと話している。

 これに対して信川理事長は、「協議会(JCAHF)というのはどこからも独立している。指定認証基準とは、指定認証機関を指定する元となる考え方。それは、協議会が独自に決められる」とし、「協議会が認証機関(JHNFA、JIHFS)に強制的にやらせているわけではない。こうやらなければという契約をしているわけじゃない。協議会には専門の先生がいて、委員会を持ち、そこで相談して今の時代に合った指定認証機関が備えるべき要件を考える。それは厚労省でも認証機関でもなく、私たちが独自に必要だと思うことを盛り込む。つまり、認証機関としてふさわしい条件を考えるのが私たちの役目。それに合ったところが申請を出して、指定基準の合ったところと私たちがやれば良い。それに合わないところに強制的に私たちが一緒にやっていこうと言ってるわけではない」とJCAHFのスタンスを説明した。そこで記者が「両機関がやめると言ったらどうするか」と質問したところ、「しょうがない」と回答した。

2機関に対して料金の値上げを要求

 JCAHFは6番目の要件「認証機関の指定等に関する料金」として、2機関に対して料金の追加と値上げを要求した。ここには、「申請サポート料」など15項目にわたる料金表が掲載されているが、認証機関によれば、これまで発生していた料金は「初回審査申請料」、「更新審査申請料」、「監査料(GMP認証)」、「監査料(安全性認証)」、「マーク使用料」に過ぎず、その余については事前協議もなく、JCAHFが新たに追加した項目だという。例を挙げると、これまでもあった更新審査申請料は3年毎に50万円(3年毎)が150万円、GMP認証の監査料30万円が60万円などと値上がりしている。
 取材に対して信川理事長は、「認証制度の目的は健康食品の品質と安全性の確保。そのために必要なのは公正性と公平性をいかに保つかの仕組み作り」と述べ、それは事業者のためであり、引いては消費者のためと繰り返す。一方的な通知に戸惑いと憤りを隠さない2機関と、頑として主張を譲ろうとしないJCAHF。それでも08年の報告書には、「十分な情報交換と連携」を図ることで課題解決に努めるべきとの記述を見出すことができる。確執を生む以前に、厚労省を含めた4社の間でどのような調整が図られたのか、大いに疑問を残すところである。

GMPマークの統一は必要なのか?

 健康食品GMP認証制度の発足当時、一部関係者の反感を買ったのが、認証基準とマークが違う2つの認証機関による「ダブルスタンダード」の問題である。
 ある識者などはセミナーで、2つの認証機関が存在することに言及し、「国民に混乱をもたらすばかりか、製品の安全性確保をめぐって価格競争になれば質の確保ができなくなる」と問題視。公的機関による認証制度を立ち上げるか、それが難しければ健康食品企業とは無関係の機関による新たな認証制度の創設が必要だと訴えていた。

 前述したJIHFSの前理事長・大濱氏自身も生前、品質が第一とされる健康食品において「有効性と安全性」が担保されなければならない。日本以外の海外の主要国には健康食品とサプリメントに関する法律が整備されており、GMPは法律に基づいて要求されている。したがって、「国が法律に基づいて規定しているGMPにダブルスタンダードは存在しない」と述べていた。さらに踏み込んで、「法律に基づいてGMP基準が見直され、GMPマークも1つに統一され、その上で認証機関が複数存在するというのが正常な姿だ」と語っている。裏を返せば、GMPの根拠となる法律がない我が国では、各認証機関の異なるGMPレベルと認証方法によって運用されているGMPを一本化するのは容易ではないということにもなるのだが――。

「マークを統一後に基準も変える」(信川氏)

 JCAHFの信川理事長も取材に対し、ダブルスタンダードに言及した。最終的に消費者のためによくないこととしながらも、今の段階で「真面目に取り組んでいる事業者に最も分かりやすいのはマークの問題」だと述べ、マークを1つにした後に基準を変えるとの考えを示していた。確かに当時は、JIHFSが「バリデーション」と呼ぶのに対して、JHNFAが「妥当性の確認」と呼ぶなど、文言の違いをはじめ、監査のあり方など、両機関の基準には違いが見られた。ただし今日、JIHFSの池田理事長も、JHNFAの増山部長も共に、今に至って両機関のレギュレーションに大きな違いはないと口を揃えている。
 マーク統一の問題について増山部長は「200を超える事業者がマークを使用している中で現実的に見て無理」と否定。池田理事長も「ISOも認証機関によってロゴは違うが、それでもISOだと分かるようになっている。同じように健康食品GMPであることが分かるロゴにしている」と否定。さらに、「いろいろな工場のいろいろな状況を基本データとして持ちながら、次のステップに行くための審査を行っているので(両指定機関のレギュレーションは)ある程度一定になっている」とダブルスタンダードについても否定している。

(つづく)
【田代 宏】

関連記事:6・6プレスリリースの「怪」(1)
    :6・6プレスリリースの「怪」(2)
    :6・6プレスリリースの「怪」(3)
    :6・6プレスリリースの「怪」(4)
    :6・6プレスリリースの「怪」(5)
    :6・6プレスリリースの「怪」(6)
    :6・6プレスリリースの「怪」(7)
    :6・6プレスリリースの「怪」(8)
    :6・6プレスリリースの「怪」(9)
    :6・6プレスリリースの「怪」番外編 第三者スキームはどうなるのか?

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ