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6・6プレスリリースの「怪」(2) 紛糾する健康食品GMP認証の真相は?

錠剤・カプセル形状が認められた健康食品

 1991年に世界に先駆けて食品の三次機能(身体調節機能)に着目し、特定保健用食品(トクホ)制度を導入した機能性食品先進国の日本。その後、薬事法などの制約を受けて機能性食品独自の表示制度が不完全だったために、我が国の機能性食品はその後、いびつな形で発展することになる。当時、「食品として出発したのが誤りだった」とする関係者の弁もあったほどで、医薬品業界と結びつきの深い厚生省(当時)の風当たりは想像以上に強かったという。  それでも、機能性食品に期待する国民のニーズは大きく、市場は毎年右肩上がりの拡大基調を示した。その陰では、サプリメント摂取による健康被害、虚偽の表示や強制勧誘による悪質な販売など、さまざまな不祥事が引き起こされてもいた。

 米国から規制緩和要請が行われたのは1994年のこと。当時は、我が国の制度と米国の制度の間にはレギュレーション(規則)に大きな開きがあったため、米国が日本市場に参入することができなかった。米国ではすでに、サプリメント法が整備されており日本に市場開放を求めて来た。OTO(市場開放問題苦情処理体制)が窓口となり、米国と厚生省(当時)の間で5年にわたる協議が行われた末、ビタミン・ミネラル・ハーブが食品として認められた。さらに2000年4月には「医薬品の範囲に関する基準(無承認無許可医薬品の指導取締りについて(昭和46年薬発第476号))」が改正され、錠剤・カプセルという形状が健康食品で認められることになった。

 その後、03年から2年間、厚労省主導で開かれた有識者会議「健康食品に係る制度のあり方に関する検討会」において、成分が濃縮された錠剤・カプセル状の食品については、一定の安全性確保の観点から、個々の製品に係る成分の均質化を図るために事業者の自主的な取り組みによる原材料の安全性確保、製造工程管理(適正製造規範/GMP)による安全性の確保の必要性が指摘された。この間、03年8月にアマメシバ葉の抽出物を摂取した人が重度の健康被害を発症。これを受けて同9月、厚生労働省は被害の拡大を防ぐためアマメシバの粉末・錠剤の販売を禁止した。これが後のGMP認証制度発足の後押しにもなった。05年2月、厚労省がGMPガイドラインを公表した。

 検討会で委員を務め、また市場開放に向け、在日米国商工会議所から緩和要請側の代表として奔走したのが、JIHFSの前理事長・大濱宏文氏(故人)だった。同氏は、米国の食品・サプリメントの業界団体であるNNFAの姉妹団体としてNNFAジャパン(現・AIFN)を設立し、規制緩和に向けて行動した。

JCAHFはこうしてできた

 その後、2007年7月から08年7月まで9回にわたって「健康食品の安全性確保に関する検討会」(厚労省)が行われた。その中で、健康食品の原材料の安全性の確保やGMPの実効性の担保を図るための具体的な仕組みとして、学識経験者、消費者、製造事業者らから成る第三者機関による確認制度を導入することが検討され、結果、認証協議会を組織することが決められた。

 検討会の報告書には、「同協議会が要件を定めて認証機関の指定や認証基準の設定等を行うとともに、認証機関の指導監督等も実施することが、認証機関による認証行為が適切になされることを担保する観点から適当であると考える」と記されている。つまり、JHNFAやJIHFSによる健康食品GMP認証の運用が適切に図られているかどうか、客観的な立場からチェックを行う監査業務を同協議会の役割としたのである。初代の委員長に上野川修一氏が就任した。
 ただし検討会報告書には、「第三者認証の実施に当たっては、法令に基づく指定等の形式をとることを想定するものではないが、学識経験者、消費者、製造事業者等からなる認証協議会を組織することとし、同協議会が要件を定めて認証機関の指定や認証基準の設定等を行う」との記述があり、厚生労働省は法的強制力を有しないものとされた。

 続けて、「このような位置付けであっても、認証協議会が果たすべき役割の公益的な性格にかんがみ、実際に認証協議会を設立するに当たっては、行政当局も関係者への広報周知に協力し、その円滑な組織形成を支援するとともに、設立後の同協議会の運営においても、行政当局を含めた関係者間において十分な情報交換、連携が図られることにより、直面する課題解決に努めるべきものと考える」とし、あくまで関係者(認証協議会、JHNFA、JIHFSなど)の広報周知に協力するアドバイザー的な役割にとどまることとなった。

(つづく)
【田代 宏】

(冒頭の写真:冒頭の写真:JCAHFのニュースリリースから転載)

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    :6・6プレスリリースの「怪」番外編 第三者スキームはどうなるのか?

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