薫製倶楽部、紅麹公表巡り国賠訴訟 企業名掲載を問題視、国に原因物質の見解求める
小林製薬㈱(大阪市中央区、豊田賀一社長)の紅麹サプリメントによる健康被害を巡り、紅麹を使用した食品を製造・販売する㈱薫製倶楽部(岡山県早島町、森雅昭社長)が国に5,000万円の損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が8日、岡山地方裁判所353号法廷で開かれた。
法廷では、正面に裁判官と書記官が着席し、これに向き合うかたちで原告の森社長と国側の代理人が出席した。また、厚生労働省の担当者7人が本省からオンラインで参加した。
原告の森社長(=写真)は、厚生労働省が2024年3月に紅麹関連事業者225社の名称を公表したことに加え、その後も企業名の掲載を続けたことが違法であると主張している。
今回の期日では、健康被害の原因物質とされるプベルル酸について、国の見解を明らかにするよう求める申立書も提出した。

企業名公表の継続を問題視
訴訟は、厚労省が24年3月28日に小林製薬の紅麹原料を取り扱う事業者225社の名称を公表したことなどにより、薫製倶楽部の事業上の信用が毀損され、損害を被ったとして、同社が今年5月8日に提起したもの。損害の一部として5,000万円と、これに対する遅延損害金などを求めている。

岡山地方裁判所
訴状では、企業名公表の法的根拠の欠如、食品衛生法第28条に基づく収去検査の不実施、プベルル酸の同定に関する科学的根拠の問題を挙げ、国の対応には3つの側面から違法性があると主張。個々の事業者の状況を十分に確認しないまま、225社を一律に公表したことを問題視している。
また、国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)がプベルル酸の分析に使用した標準品や試料が小林製薬から提供されたものであり、分析報告書にも矛盾があると指摘している。
原告は、自社が使用していた紅麹原料「5P-D」について、全37ロットからプベルル酸が検出されず、地元保健所からも食品衛生法上の問題はないと判断されたと主張。それにもかかわらず、企業名公表によって取引先などからの信用を失い、逸失利益や工場投資計画の遅延などの損害が生じたとしている。
これに対し、国は8月4日付の第1準備書面で、企業名の公表は国民に情報を提供する非権力的な事実行為であり、法律上の根拠を必要としないと反論。食品衛生法には、事業者名の公表に際して収去検査を義務付ける規定はないとし、当時の健康被害の発生状況などから、公表には必要性と相当性があったと主張している。
原告は9月提出の準備書面(4)で、公表時点の違法性に関する主張を維持しつつ、企業名の掲載を継続したことの違法性に争点を集約した。
厚労省は24年3月29日、小林製薬から紅麹原料を直接仕入れた52社について、自主点検の結果、所定の要件に該当する製品は確認されなかったと発表。同年4月5日には、間接的に原料を入手した173社についても、同様の結果を公表していた。
原告側は、こうした点検結果が公表されたにもかかわらず、少なくとも今年5月21日まで企業名の掲載が続いていたとして、その必要性と相当性を問題視している。
プベルル酸巡り国に釈明要求
今回の期日では、原告が10月8日付の求釈明申立書を提出した。
申立書では、厚労省がプベルル酸に関する情報を公表してきたにもかかわらず、今年4月22日付の行政文書不開示決定通知書では、「プベルル酸を原因物質として位置付け、公表した事実はない」と回答している点を取り上げた。
原告は国に対して、健康被害の原因物質がプベルル酸であると主張するのか否かを明らかにするよう求めた。
主張する場合には、同物質の同定や紅麹原料・製品への含有を裏付ける証拠の提出を求め、主張しない場合には、これまでの公表内容を現在どのように位置付けているのか、訂正・撤回の有無とその理由について説明を求めている。
ただし、厚労省の不開示決定は、原告が請求した特定の行政文書を保有していないとするものであり、プベルル酸に関する科学的証拠が一切存在しないことを確定するものではない。

次回期日は来年1月28日
今回の口頭弁論で、国側は原告の提出書面などに対する反論を準備する意向を示した。国側の次回書面提出期限は12月21日。次回の第4回口頭弁論は、2027年1月28日午前10時30分から岡山地裁で開かれる予定。
裁判では、企業名公表時点の行政判断に加え、その後の調査結果を踏まえて掲載を継続したことの適法性、プベルル酸を巡る国の説明との整合性などが争われている。
【田代 宏】
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