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消費者庁の研究会、消契法改正へ提言 つけ込み型に「浅慮」「幻惑」

<SF商法による高揚感で高価な健康食品を購入>

 消費者庁の「消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会」は6日、さまざまな悪質商法から消費者を守るための環境整備に向けて、消費者契約法改正の方向性を提言した報告書を取りまとめた。つけ込み型勧誘の類型に「浅慮」「幻惑」を設けるなど、新たな施策を打ち出した。報告書は、今後検討される法改正の“たたき台”の位置づけとなる。

 判断能力が低下した高齢者や、社会経験が浅い若年層を狙った悪質商法による被害が増加傾向にあり、その手口も多様化している。そうした状況に対応するため、消費者庁は2016年と18年の2度にわって消費者契約法を改正。今年6月に施行した改正法では、事業者・消費者間の契約を取り消せる不当な勧誘行為に、「不安を煽る告知」や「人間関係の濫用(いわゆるデート商法)」などを追加した。

 しかし、現行の法律でカバーできない手口が次々と登場し、悪質商法による被害は後を絶たない。また、18年の改正時に国会で、「つけ込み型」勧誘や「平均的な損害の額」の立証負担の軽減などについて、早急な対応を求める附帯決議が行われた。

 報告書はつけ込み型勧誘について、従来の「誤認(不実告知など)」や「困惑(不退去など)」という消費者の心理状態を要件とする規定では、多様化する手口への対応が困難と指摘。「誤認」「困惑」以外の心理状態として、「浅慮」と「幻惑」に着目したアプローチを提言している。

 「浅慮」は、契約を結ぶかどうかを考えるための十分な時間を与えず、契約しなければ利益を得られないと告げるような場合を指す。例えば、末期がん患者が免疫療法を行うクリニックを受診し、医師からほかの治療方法を否定され、「本日中に」と施術をせかされたために、不安を感じて施術を受けてしまうケースが該当する。

 報告書は、消費者を不意打ちにする訪問販売などではクーリング・オフ制度が備わっているが、消費者契約法でもつけ込み型勧誘に「浅慮」を加え、短期の解除権や、意思表示の瑕疵による取消権の規定を設ける方向性を示した。

 一方、「幻惑」は、消費者の期待や高揚感を煽って契約を結ばせる場合を指す。現行の法律は、「この健康食品を摂取しなければ、病気は改善しない」と告げて商品を購入させるといった、不安を煽る告知に対しては対応が可能。しかし、将来的な期待や高揚感を煽る手口については規定がない。

 例えば、健康食品販売で見られるSF商法(催眠商法)も「高揚感を煽る」に該当する。SF商法とは、「米1kgと卵1パック合わせて100円」とうたった折り込みチラシを配布し、閉鎖的な会場に消費者を集めて健康講座を開き、何度か通ったタイミングで高価な健康食品などを売り付けるというもの。SF商法では、「私もこの健康食品を飲んで、目がすっきりした」といった参加者の言動による高揚感から、高価な商品を購入してしまうことがある。

 この「幻惑」について報告書は、消費者が健康や結婚などに願望を持っていると知りながら、その期待を煽り、契約すれば実現すると告げる行為などを不当な勧誘行為として定める考え方を示した。

<解約に伴う「平均的な損害の額」を推定>

 消費者契約法は、契約解除に伴う損害賠償や違約金について、事業者に生じる「平均的な損額の額」を超える部分を無効としている。ただし、平均的な損害の額の立証責任は消費者が負い、大きな負担がかかる。不当に高額な解約料を設定する事業者もいるため、対応が求められている。

 報告書は消費者の負担軽減の観点から、「同種の事業者」で発生する平均的な損害の額を用いて、「当該事業者」でも同様の額であると推定する規定の導入を検討課題に挙げた。これによって消費者は、「同種の事業者」または「当該事業者」のどちらかを選択して立証できるようになり、負担軽減につながるとしている。

 このほかにも、判断能力が低下した高齢者の被害が多発していることから、消費者の判断力に着目した規定を提言。本来不要で高価な物を購入するケースについては、取消権の付与を原則として、「適当な第三者」(親族など)が契約締結時に同席した場合には考慮を加え、取り消しの可否が決まるような仕組みの検討を求めている。

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