ヤクルト、養殖ウナギの免疫向上へ 乳酸菌投与で腸内環境改善と自然免疫活性化を実証
㈱ヤクルト本社(東京都港区、成田裕社長)、山田水産㈱(大分県佐伯市、山田信太郎社長)、岡山理科大学はこのほど、養殖ニホンウナギへの乳酸菌「ラクチプランチバチルス プランタルム YIT 0132」の投与による、免疫機構および腸内環境への影響を検証するフィールド試験を実施したと発表した。その結果、自然免疫関連経路の活性化と腸内細菌叢の改善が示唆された。
日本国内のニホンウナギ養殖では、細菌性疾患による被害が深刻な課題となっており、抗菌剤への依存が問題視されている。これに対し、腸内環境改善や免疫機能強化を図るプロバイオティクスの活用が注目されているが、実養殖環境下での検証事例は限られていた。
今回、鹿児島県志布志市の山田水産の養鰻場で、シラスウナギからクロコ以降の中間育成段階までを対象に給餌試験を実施した。基礎飼料のみの対照群と、基礎飼料に「L. プランタルム YIT 0132」を添加した群を比較した。
岡山理科大学による分析の結果、乳酸菌投与群では脾臓における遺伝子発現プロファイルに明確な変化が認められ、自然免疫関連経路の活性化が確認された。また、過剰な免疫応答を抑制する負の調節因子に関連する遺伝子の発現上昇も見られ、免疫応答の調節への関与が示された。
さらに腸内細菌叢の解析では、投与群で「L. plantarum」の相対存在量が高まった一方、対照群では魚類病原菌として知られる「Lactococcus garvieae」や「E. anguillarum」と推定される細菌群の相対存在量が高いことが判明した。投与群ではこれらの病原菌がほぼ検出されず、腸内環境の改善が示唆された。なお、試験期間中、増体率や生存率等の指標に異常はなく、安全性が確認されている。
今回の成果は、養殖現場での健康維持や感染性疾患の予防に寄与する可能性を示す。ヤクルトは、当該乳酸菌を『プラナクア乳酸菌』(商標出願中)の名称で水産養殖領域向けに展開する予定。また、山田水産の協力の下、同菌を給餌して育てたウナギの蒲焼の販売も計画している。今後も3者は連携し、安全・安心なウナギの生産と日本の水産養殖産業の発展に貢献するとしている。
(冒頭の写真:同社リリースより)

