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消費者庁、第1回「疾病リスク低減表示トクホ検討会」開催(後)

 25日に開催された検討会では、米国・カナダ・EUで認められている疾病リスク低減表示について、各委員の意見が述べられた。特に、「ナトリウムと高血圧」、「カルシウム・ビタミンDと骨粗しょう症」、「非う蝕性糖質甘味料・フッ素添加水と虫歯」について踏み込んだ議論が行われた。

 ナトリウムについては事務局(消費者庁)から冒頭、「トクホに馴染まない」との見解が示された。理由として、トクホは関与成分の摂取によって健康の保持増進に寄与するという考え方にある。従って、「低ナトリウムの食事は高血圧になるリスクを減らします」などと、成分の摂取量を減らすことによって健康の保持増進を目指す考えはトクホとは逆の考え方になるとし、また「すでに特別用途食品で許可されている表示でもある」と説明した。

 各委員からも、「消費者の立場からすると、低ナトリウムは健康に対するメリットが感じられるが、特別用途食品など他の制度とのからみを考えないと消費者に誤認を与える」、「低ナトリウム食品だというので、消費者が過剰に摂取してしまう危険も」、「トクホの枠組みで議論するのが重要で、ナトリウムは必要なし」、「減塩しょうゆだけを使っていいものかどうか、消費者教育も含めて、(食事として)減塩を進める方向がいいのではないか」などの慎重な意見が多数出た。
 佐々木座長は「飽和脂肪酸、食事性脂肪も考え方として同じ」とし、ナトリウムは飽和脂肪酸・食事性脂肪と共に議論の俎上から外れたかたちとなった。

 ビタミンDについては、「トクホを健康寿命延伸の視点で考えることは大事。ビタミンDの摂取は必要」、「ビタミンDとカルシウムの関係を考えた場合、(吸収促進を考えると)カルシウムだけを摂取すればよいという問題ではなく、総合的に骨代謝を考える必要がある」、「食品にからむ栄養素というより、サプリメントで食事にオンするという点で有効だと思う」、「カルシウムとビタミンDに関して、骨粗しょう症との関係はよく分かっており、疾病リスク低減表示で説明しやすい」という積極的な意見が出た一方、紫外線を浴びることでビタミンDが体内で生成される現象を示し、「栄養素だけで疾病リスク低減表示に落とし込むのはどうか?」、「成分だけで考えず、食事とのバランスも考慮する必要がある」との疑問も提示された。
 佐々木座長は、「食事摂取基準に照らすと、日本人でどれだけ必要か、大変難しい問題」としながらも、「カルシウムとビタミンDは、世界的な研究では同列に扱っているので、セットで考えるというのは総意としていいのではないか」と、今後の検討課題とした。

 非う蝕性糖質甘味料及びフッ素添加水と虫歯に関する表示について、そもそも「虫歯は疾病ではないのか?疾病であれば疾病リスク低減表示(のカテゴリー)に入るのではないか」との問題提起が行われた。事務局からは、「歯を健康で丈夫に保つ」という表示は、疾病に対する直接的な表現ではないとの説明があったが、委員からは「認めた方が消費者には伝わりやすい」、「疾病リスクに入れた方がよいのではないか」との意見が出された。
 一方、「甘いものを食べ過ぎないように、などのメッセージも伝える必要がある」、「利用法が大事だが、消費者はほとんど(情報収集などは)やっていないのではないか」との慎重論もあった。これに対し、「消費者の立場としては、なかなかそこまで捉えられない。消費者はトクホマークを信じる。消費者目線が大事なので、そういう(細かい)メッセージを出せばよいというわけではない」と指摘する声もあった。
 
 委員の中には、疾病リスク低減表示も含め、トクホ制度の整備も必要だが、「実際にこれまで、消費者にどれだけ必要とされ、どれだけ活用されているのか。国民の健康増進にどれだけ役立っているのか」について、事務局にデータを求める声も上がった。
 次回検討会は2021年1月下旬で調整中。

【田代 宏】

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