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消費者庁、景表法違反処理状況を公表 措置命令は前年と同じ41件、課徴金17件

 消費者庁はこのほど、2022年度「景品表示法の運用状況および表示等の適正化への取組」(22年4月1日~23年3月31日)を公表、これまでの景表法違反被疑事件の調査について、措置命令・課徴金納付命令の他、行政処分取消訴訟などについて報告した。

274件のうち200件を処理

 22年度の調査件数は、前年度から繰越した85件と、年度内に新規に着手した189件の合計274件だった。一方で、処理件数は、措置命令41件、課徴金納付命令17件、指導112件の他、都道府県に移送した事案8件、公正競争規約を運用している公正取引協議会などに移送した事案14件の合計200件だった。
措置命令の件数は、20年度33件、21年度41件に対し、22年度は前年と同じ41件となった。
 その他、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所などの調査結果に基づき消費者庁が行った処理は、措置命令4件(近畿中国四国事務所、近畿中国四国事務所中国支所、九州事務所、沖縄総合事務局)、指導32件だった。
 また、22年度には15人の事業者に対して17件の課徴金納付命令を行った(3億441万円)。同年度までに認定された実施予定返金措置計画はなかった。

健康食品販売事業者の処分に注力

 健康食品の普及に伴う虚偽・誇大広告や不当表示に対して同庁は、表示対策課、ヘルスケア表示指導室で「健康食品に関する景品法事法及び健康増進法上の留意事項について」などの周知に注力。また、インターネット上の食品の虚偽・誇大広告の監視を行い、健康増進法第65条第1項の規定に違反する恐れのある804事業者に対して表示の改善指導を行った。
22年度において、景品表示法に基づく措置命令8件以外に、健康増進法に基づき12件の指導を行っている。

新型コロナ予防関連の不当表示続出

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、同ウイルスへの効果効能を標ぼうする表示が目立ったことから、その適正化にも取り組んだ。21年度には、新型コロナウイルスの感染予防効果や消毒、除菌などの効果に関する不当表示に対して4件の措置命令を行っている。
 また21年10月、新型コロナウイルスの抗原定性検査キットの購入における注意点について厚生労働省と合同で公表し、一般用抗原訂正検査キットが医薬品医療機器等法の規定に基づき承認を得て製造販売されることになったことを踏まえ、22年9月、消費者へ改めて注意喚起を行っている。

ナンバーワン表示2件に措置命令も

 持続可能な開発目標(SDGs)と連携したプラスチック製品の生分解性能に関する不当な表示に対し、全10件の措置命令を行った。また、「No.1」、「第1位」、「トップ」、「日本一」などと強調するナンバーワン表示に関する不当表示について2件の措置命令を行った。

 22年度に措置命令を行った事件は、次のとおり。41件は全てが表示事件である。
 「健康食品の痩身効果に関する不当表示」1件、「空間除菌用品の効果に関する不当表示」1件、「就職支援サービスの実績に関する不当表示」2件、「健康食品の栄養成分の含有量に関する不当表示」1件、「消火用具の消火性能に関する不当表示」5件、「健康食品の糖尿病等の疾病を改善する効果に関する不当表示」、1件、「衣料品の痩身効果又は筋肉増強効果に関する不当表示」4件、「回転寿司のキャンペーン対象料理の提供に関する不当表示」1件、「バストアップ及びボディ痩身に係る役務のNo.1表示に関する不当表示」1件、「食品の「通常価格」と称する価額に関する不当表示」1件、「果実ミックスジュースの果汁の含有割合に関する不当表示」1件、「健康食品の新型コロナウイルスの感染予防効果に関する不当表示」1件、「健康食品等のがんや難治性の疾患を改善する効果や新型コロナウイルスの感染予防効果に関する不当表示」4件、「プラスチック製品の生分解性能に関する不当表示」10件、「オンライン個別学習指導に係るNo.1表示及び期限限定表示に関する不当表示」1件、「四輪車等の燃費向上効果等を標ぼうする商品に関する不当表示」2件、「コンサートの座席レイアウトに関する不当表示」3件、「学習塾の個別指導の料金に関する不当表示」1件。

行政処分取消訴訟の現状

 19年7月4日、『パブロンマスク365』を販売する大正製薬㈱(東京都豊島区)に対して措置命令を出した。21年9月30日、同社は命令の取消を求めて提訴した(訴訟係属中)。また同日、同命令の執行停止を申し立てたが、同11月11日に却下。同社は、却下された部分の取り消しを求めて即時抗告を行ったが、同12月22日に東京高等裁判所が抗告を棄却した。

 20年8月28日、空間除菌商品を販売する㈱東亜産業(東京都千代田区)に対する景品表示法に基づく措置命令が行われた。22年7月29日、同社は命令の取消を求めて訴訟を提起した(訴訟係属中)。

 21年2月3日、サプリメントを販売していた㈱だいにち堂(長野県安曇野市)に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令が行われた。22年12月26日、同社は命令の取消を求めて訴訟を起こした(訴訟係属中)。

 21年3月23日、ダイエット茶を販売するティーライフ㈱(静岡県島田市)に対する2度目の措置命令が行われた。同4月12日、同社は命令の取り消しを求めて提訴し、命令の執行停止を申し立てた。この申し立てについては、同6月4日に効力が停止する決定がされた。しかし、同訴訟については、22年4月28日に東京地方裁判所が原告の請求を棄却した。

 21年4月9日、空間除菌スプレーを販売するレック㈱(東京都中央区)に対して措置命令が行われた。同4月30日、同社は命令の取消を求めて提訴し、同6月4日に命令の執行停止を申し立てた。この申し立てについては、同8月18日に却下された。23年2月2日には東京地方裁判所が原告の請求を棄却した。

 21年12月14日、空間除菌関連商品を販売する大幸薬品㈱(大阪府吹田市)は景品表示法の規定に基づく措置命令の差止めを求めて提訴し、命令の仮の差止めを申し立てた。この申し立てについては、22年1月12日、東京地裁が申し立てを一部却下。その結果、申し立て人と国(消費者庁)はそれぞれ敗訴部分の取り消しを求めて即時抗告を行った。同4月13日、東京高裁は地裁の決定のうち国(消費者庁)の敗訴部分を取り消し、申し立て人の抗告を棄却した。上記の差止めを求める訴訟については、同月25日、同社はこれを取り下げた。

 22年3月3日、脱毛施術を行うセブンエー美容㈱(福岡市中央区)ら3社に対する景品表示法に基づく措置命令が行われた。同8月9日、3社は命令の取消を求めて訴訟を起こしたが、23年1月20日、3社は当該訴訟を取り下げた。

規制強化へ向けた法改正・指針改正相次ぐ

 インターネットやSNS上で増え続ける、広告主と情報発信者との関係が明らかでないアフィリエイトサイトやステルスマーケティングに対する取組について報告した。
 アフィリエイト広告については、22年6月に報告書を取りまとめ、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」を改訂し、責任が事業者にあることを明確化した。そのことを周知徹底させるために12月5日、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を改訂、公表した。「妊活」、「腸活」などの事例を追加した。

 同9月16日から「ステルスマーケティングに関する検討会」を開催。同12月28日に報告書を公表した。「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」について景表法5条3号の告示案・運用基準案を23年3月28日に公表し、10月1日からの施行が決まっている。
 22年3月16日にスタートした「景品表示法検討会」は23年1月13日に報告書を公表。確約手続、繰り返し違反行為事業者に対する課徴金の割増、悪質事業者への直罰規定、適格消費者団体に対する開示請求権の付与などが規定された。同5月10日に可決、17日に公布した。1年半以内に施行される予定だ。
「表示規制に向けた行政の動き」(ウェルネスデイリーニュース編集部で作成)

【田代 宏】

景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組(消費者庁ホームページより)

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