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機能性表示制度の方向性をあす提示 巡る検討会、義務表示事項の見直しも提言へ

 機能性表示食品制度の見直しに向けた議論を進めている有識者検討会は21日、5回目の会合をオンラインで開き、見直しの方向性をあす23日に提示することを確認した。

 検討会は先月中旬にスタート。これまでの議論で意見が一致しているのは、医師の診断を伴う健康被害情報の報告と、「サプリメント」についてGMP(適正製造規範)に基づく製造・品質管理をそれぞれ事業者(届出者)の義務とする方向性だ。法令で義務付けようとしている。21日の会合では、容器包装(商品パッケージ)の義務表示事項を見直し、医薬品や特定保健用食品(トクホ)とは異なるものであることを明確に伝える表示などを義務付ける方向で意見がほぼまとまった。「医薬品ではない」、「トクホではない」などといった書きぶりが想定されている。義務表示を通じて、機能性表示食品が医薬品やトクホと誤認されることを防止する狙い。

 また、消費者に対して摂取上の注意を促すため、医薬品などとの飲み合わせや、過剰摂取を防止するための注意喚起表示を強化しようとしている。機能性関与成分の安全性に関する科学的根拠情報を踏まえ、個別具体的な記載を義務化する方向だ。それを現行の義務表示事項である機能性表示食品である旨、届出番号とともに商品パッケージの主要面に目立つように表示する案が出ている。義務表示事項の見直しは、広告表示にも影響を与えることになる。

 小林製薬㈱(大阪市中央区)が販売していた機能性表示食品のサプリメントを使用した消費者に死亡事例を含む健康被害が生じたことを受けて、政府はすぐさま機能性表示食品制度の見直しを決めた。制度を所管する消費者庁は、検討会が提示する方向性を受け、今月末までに制度の見直し案を取りまとめる。制度施行10年目の節目に、届出制の大枠は残しつつ、法令に基づく要件が大きく改められそうだ。

届出情報「更新制」導入案が浮上

 消費者庁が立ち上げた「機能性表示食品を巡る検討会」は21日午後、引き続き関係団体への意見聴取を行いながら、消費者への情報伝達のあり方をテーマに議論。同庁が取りまとめた義務表示事項の見直しに関する論点に反対意見はほとんど出なかった。最終製品について、安全性や有効性が個別に審査されているトクホと誤認されるような表示を新たな禁止事項とすることなどを含め、現行の義務表示事項を見直す方向で議論が進んだ。行政法を専門とする座長の中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授は、新しく定める義務表示を、届け出済みの製品にも適用することに問題はないとする見解を示した。

 同庁は、新たな義務表示事項などによって、審査を受けているわけではないにせよ、安全性と有効性について一定の科学的根拠があり、根拠を全面的に開示している機能性表示食品が、根拠を開示する必要のない「いわゆる健康食品」よりも信頼できないものだとの誤認を消費者に与えないようにしたい考え。そのため、科学的根拠情報などの届出情報が同庁のウェブサイトで確認できることが機能性表示食品の要件であることを法令で明示するほか、消費者による届出情報へのアクセス改善の観点から、QRコードの活用を推奨する案を示している。

 検討会ではまた、消費者への情報伝達に絡み、届出情報の実質的な「更新制」を導入する案も浮上している。安全性などに関わる義務事項を遵守していることの報告を事業者に求め、報告がなかった場合、機能性表示食品を名乗れなくするような権限を行政に付与する。これにより、消費者が届出情報を確認することで、現在販売されている製品の最新情報を把握できるようにするという案だ。これに関連する義務事項として、販売後の同等性を担保するため、機能性関与成分の分析試験の実施や健康被害情報の報告義務化を前提に、新たな科学的知見の収集などを事業者に求める案が出ている。

原材料の製造・品質管理情報も開示へ

 また、原材料の製造・品質管理に関する情報開示を強化する方向性も検討されている。現行制度では、最終製品の製造や品質管理に関する情報を開示する必要があるが、そうした決まりは原材料にはない。小林製薬が販売していた健康被害が生じた機能性表示食品でも、原材料の製造や品質管理に関する情報は、同社が健康被害を公表するまでほとんど不明だった。

 さらに、届出実績のない新規の機能性関与成分について、届出から販売開始までの期間を延長する案も出ている。現在は、一律に、販売開始の60日前までに消費者庁へ届け出ることになっている。その中で、新規成分に関しては特別な対応を取り、行政や専門家が介入するかたちで、届け出られた安全性に関する科学的根拠情報を精査しようとしている。そのために、期間を延長する方向性が提案されているとみられる。

 検討会は、最終回となる6回目の会合を、あす23日午後5時から7時までの予定でオンライン開催し、機能性表示食品制度の見直しに向けた方向性を提示する。

【石川 太郎】

(冒頭のイラスト:巡る検討会の有識者構成員全9人の似顔絵、文中の画像:21日オンライン開催された会合の様子)

関連資料:巡る検討会第5回配布資料「消費者等への情報伝達の在り方等について」(消費者庁のホームページへ)
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