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「巡る検討会」、安全性に照準 制度見直し後のルール、「法令化が必要」と座長

 機能性表示食品制度の今後のあり方の方向性を5月末までに取りまとめる有識者検討会の2回目の会合を、消費者庁が24日、オンラインで開いた。座長が検討会の射程を整理し、「安全性」に議論の的を絞る方向性で落ち着かせた。

 表示する機能性(効果)の科学的根拠などに関する課題は論点にしない。機能性関与成分を含む原材料の安全性評価、原材料を含む製品の生産体制や製造・品質管理、健康被害の拡大を防止するための健康被害疑い情報の収集と国への報告──といった安全性に関わる現行制度上のルールをどのような方向性で見直していくかが論点になる。この日の会合では、構成員の岡田由美子・国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部第三室長が、製品の製造・品質管理について、「原材料レベルからのGMP(適正製造規範)を進めていくべきだ」と意見した。

 安全性に関わるルールに実効性を持たせるための法的根拠の構築も論点になる。

 構成員の中で唯一の法律家として座長を務める中川丈久・神戸大学大学院法学研究科教授は、実質的にガイドライン(通知)を基軸に運用している機能性表示食品制度の法令上の脆弱性を指摘。「信頼回復の目的も含め、(安全性に関するルールを)法令化し、どのように義務付けていくのかを含めたかたちで最終的な出口を考えればいいのではないか」と述べ、見直しに時間のかかる法律ではなく、政省府令でルールを定めていく方向性を提案した。

「サプリメント法」制定を求める意見も

 一方で、法律の改正を求める声もある。小林製薬㈱の紅麹関連製品による健康被害問題の背景には、機能性表示食品制度の問題があるなどとして、今国会で政権与党を追及している立憲民主党は、すぐにでも食品衛生法を改正し、機能性表示食品に関連する健康被害情報の国への報告を事業者に義務付けるよう求めている。報道によれば、23日までに法改正骨子案を独自にまとめた。5月中旬までに提出する方針という。

 ただ、今回の健康被害事案は、生鮮食品から和菓子までさまざまな食品が届け出されている機能性表示食品の中でも、錠剤やカプセル剤などサプリメント形状の加工食品に生じた。継続摂取しやすいサプリメントは一般的な食品に比べると過剰摂取などのリスクが高いこともあり、構成員の合田幸弘・国立医薬品食品衛生研究所名誉所長は前回の初会合で、「制度の見直しはサプリメントに絞るのはどうか」と提案している。

 また、この日の会合では、一般加工食品以上の安全性レベルを担保できる品質管理が求められるのは、機能性表示食品のサプリメントに限定されない、とする意見があった。原材料についてもGMPを取り入れるよう提案した岡田構成員が、「機能性表示食品に関する検討会であることは承知しているが、長い視点の検討としては、サプリメント形状の加工食品全体について同等の品質管理を求めていくことも検討すべきだ」とした。実際、健康食品市場に流通するサプリメントは、機能性表示食品ではない製品がまだまだ多い。

 「サプリメント法」の制定を求める声もある。検討会はこの日、健康食品事業者団体3団体と消費者団体3団体のヒアリングを実施。その中で、事業者団体の(公社)日本通信販売協会が、天然物由来の濃縮物や化学合成品などを配合したり、錠剤やカプセル剤などといった医薬品的な形状を持っていたりするサプリメントの特性に特化した規制の検討が必要だとし、GMP(適正製造規範)による製造・品質管理や、健康被害の国への報告を義務付けている米国のダイエタリーサプリメント健康教育法(DSHEA)を参考にした立法の検討を提案した。

 同じくヒアリングを受けた事業者団体の(一社)健康食品産業協議会も、制度の見直し議論はサプリメント形状の加工食品に限定するよう提案しつつ、サプリメントの定義を法令で定めている米国やASEAN(東南アジア諸国連合)を引き合いに出し、法令上でサプリメントを明文化するよう求めた。また、製造工程における安全性レベル向上のために、法令に基づくGMPの導入を求め、「国の協力を得ながら(DSHEAが義務付けている)cGMPを目指し、国際的な調和を図りたい」とした。

 構成員からも、法制化を望む声が上がった。合田構成員は、「今回の検討会のタイムスケジュールでは法律をどうするか、というところまではいかないだろう。ただ、私もサプリメント法を作るのが一番良いと思っている」とし、「今回の検討会の最終的な結論は、法的な解決策を明確化していく方向性で良いと思う」と述べた。

【石川 太郎】

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